流行や機能に流されず、素材そのものと誠実に向き合う──。金属加工メーカーのカツデン社が立ち上げた新ブランド『hylē(ヒュレー)』は、「素材中心設計」を掲げる家具ブランドとして、本格始動した。
第一弾として発表されたのは、スチール素材の魅力を静かに引き出す3点のファニチャー。長く共に過ごすことを前提にした、余白と緊張を宿す佇まいが空間の質を高めていく。
流行でも、価格でもなく。素材を起点としたものづくり
hylēが見つめるのは、「消費される家具」ではなく「深まる家具」のあり方。
ブランド名は古代ギリシャ語の「素材(ヒュレー)」に由来し、機能や装飾の前にある“本質的な豊かさ”を空間にもたらす存在を目指している。
立ち上げの背景には、利便性や流行に価値が偏る現代に対し、素材が持つ本来の風合いや経年変化を受け止める美意識を持つ家具づくりを目指したいという思いがある。
『hylē』では「静けさ」と「余白」を大切にしながら、素材の声に耳を澄ませるようにプロダクトを設計している。
スチールが描く、詩的なかたちの3プロダクト
発表された3点の家具はいずれもスチール素材を用いながら、緊張感と静けさを同時にまとった造形が印象的だ。
それぞれのプロダクトが、素材と空間の関係を新たに描き出す。
Orb(オーブ)|最小限の構造が生む緊張と静寂
「Orb」は、宙に浮かぶ円盤のような座面と、それに寄り添うような背もたれを持つスツール。構造を極限までミニマルにした一脚は、止まり木のように静かに佇み、空間に張りつめたような緊張感とリズムをもたらす。
定価:180,000円(税抜)
Vellum(ヴェラム)|記憶を受け止める、柔らかな曲面
「Vellum」は、かつて言葉を刻むために使われた高級紙「羊皮紙」の名を冠した椅子。
スチールをあえてやわらかく巻き込むことで生まれた流麗な曲面が、思考や沈黙を包み込むような存在感を放つ。その場所に刻まれる記憶と静けさをそっと受け止めるかのような一脚だ。
定価:260,000円(税抜)
Cliff(クリフ)|余白が息づくローテーブル
「Cliff」は、中央に凹んだ余白を持つ重厚なローテーブル。その余白には石や植栽を飾ることも、何も置かず“間”として残すこともできる。
切り立ったようなエッジの効いたフォルムと、空間に自然を招き入れる柔軟性が共存し、彫刻としての存在感すら感じさせるプロダクトだ。
定価:380,000円(税抜)
長く共にある、“素材と暮らす”という選択
『hylē』の家具には、装飾でも機能でもない「素材の声」が静かに息づいている。日々の暮らしのなかで表情を変えながら、時とともに深みを増していく風合いこそが『hylē』が見つめる本質的な価値だ。
流行を追いかけるのではなく、空間にひとつの静けさを加えるように。素材と誠実に向き合う家具は、使い手の感性とともに成熟していく。
hylē 公式サイト:https://hyle-brand.com/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000040.000125308.html
(山之内渉)