江戸期の明石で育まれた“知と美”に光を当てる展覧会が、この秋、明石市立文化博物館で開催される。

9月20日(土)から11月3日(月・祝)まで行われる企画展「明石藩の世界13」では、漢詩人・梁田蛻巌(やなだ・ぜいがん)と画家・渡辺崋山(わたなべ・かざん)という二人の足跡から、“明石と江戸文化の交差点”をひもとく。

3 椿椿山筆「渡辺崋山像」 田原市博物館蔵  展示資料は複製

知識人・梁田蛻巌が遺した、明石の記憶

江戸中期、名だたる儒学者たちと肩を並べた漢詩人・梁田蛻巌は、後半生を明石藩に仕える儒者として過ごした。新井白石や室鳩巣とも交流のあった蛻巌は、俳句にも秀でた多才な人物として知られる。

忘れられた文人の面影を辿って。明石市立文化博物館で企画展「蛻...の画像はこちら >>

1 原穀(池田春翬)筆梁田蛻巌肖像  本立寺蔵写真より

本展では、彼の漢詩や書軸、碑文などから、当時の明石の風景や、藩士・文化人たちとの交流を紐解く。郷土の偉人として再評価されるべき、その静かな情熱が浮かび上がる。

渡辺崋山と明石藩士たちの“知られざる縁”

蘭学者・画家として知られる渡辺崋山もまた、明石とゆかりの深い人物だ。江戸詰めの明石藩士たちと、絵画サロンを通じて交流を重ねた崋山の作品や文献を紹介し、その意外な関係性を明らかにする。

6 明石藩主松平斉宜筆「富士図」  明石市蔵黒田家資料

崋山の高弟・椿椿山(つばき・ちんざん)の絵画、そして椿山に師事した明石藩主・松平斉宜による作品など、師弟の連なりが描き出す美の系譜も見どころだ。

地元ゆかりの作品とともに、“文人のまち”を再発見

京都で活躍した円山派の祖・円山応挙の師もまた、明石出身の石田幽汀。会場には、こうした地元ゆかりの文人・画人の作品が集まり、明石というまちの文化的な厚みを感じさせる構成となっている。

5 椿椿山筆「不二山図」  兵庫県立美術館蔵

“文化都市・明石”の原点を訪ねてみたい人にとって、絶好の機会となりそうだ。

明石藩の世界13 明石で華ひらく知と美の世界 ―蛻巌・崋山が遺したもの―
会期:9月20日(土)~11月3日(月・祝)※月曜休館(10月13日・11月3日は開館)
時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
会場:明石市立文化博物館 特別展示室(兵庫県明石市上ノ丸2丁目13-1)
アクセス:JR・山陽電鉄「明石」駅より北へ徒歩5分
観覧料:大人200円

公式サイト:https://www.akashibunpaku.com/catExhibit/post-63.html

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001597.000002610.html

(山之内渉)

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