京都・祇園の「ギャラリー白川」で続いてきた「現代アートうちわ展」が20周年を迎え、その歩みをまとめた図録が発売される。アーティスト・松谷武判氏の代表的な作品群と、20年にわたって発表された多彩なうちわ芸術の記録を収めた一冊は、日本美術と現代表現をつなぐ貴重な図録となる。
また、セレクトされた作品を展示する「Part Ⅱセレクト展」も開催中だ。
松谷武判氏のうちわ芸術と図録の魅力
2006年から開催されてきた「現代アートうちわ展」は、江戸期の大衆文化を現代に再解釈し、日本のアートに新たな視点を加えてきた。その20年の節目を記録する図録には、世界的に評価を受ける松谷武判氏の作品19点が収録されている。ボンドと鉛筆を駆使した独自の質感表現は、長年の創作活動を象徴するものであり、日常的な工芸品である「うちわ」を現代美術の領域へと引き上げる試みとなった。2016年より同展に参加した松谷氏は、時代ごとに変遷する自身の表現をうちわへ託し、素材と形態の新たな可能性を示し続けている。

PartⅠ 松谷武判展(7月4日(金)~7月27日(日)/京都ギャラリー白川)
今回刊行される図録では、会場展示を超えた未公開作品も収録。パリを拠点に国際的活動を続ける松谷氏の視点を通じ、伝統工芸と現代美術の融合を深く味わうことができる。
20年の歩みを記録するセレクト展
図録には松谷武判展と並行して行われる「セレクト展」の出展作家35名の作品も掲載。日本画や油彩、版画、立体、漆、織、ガラスといった幅広い素材を用いた作品群は、現代アートの多様性を映し出すとともに、うちわという日常道具の枠を超えた芸術的価値を再確認させるものとなるだろう。

図録より/PartⅡ 2025年第20回セレクト展(8月8日(金)~8月30日(土)開催/京都ギャラリー白川)
「セレクト展」にはこれまでの20年間で披露された珠玉の作品が集められ、アートの潮流や時代の変化を映す記録集としての性格も備えている。展示そのものを体感できなかった人にとっても、この図録は作品世界を追体験できる貴重な手引きだ。
京都から世界へ続くアートの発信
京都・東山の「ギャラリー白川」は、日本文化の伝統と現代表現を結ぶ場として多くのアーティストを紹介してきた。今回の図録もその活動の一環であり、芸術を鑑賞するだけでなく、暮らしの中に取り入れる視点を提供している。

図録より/PartⅡ 2025年第20回セレクト展(8月8日(金)~8月30日(土)開催/京都ギャラリー白川)
松谷武判氏が築いた独自の芸術世界と、20年にわたり紡がれた多彩なアートの軌跡。
第20回「現代アートうちわ展 2025」図録
発行日:8月22日(金)
仕様:A4正方形 カラー
ページ数:42ページ
価格:2,200円(税別)※セレクト展会期中のみ特別価格1,980円(税込)
オンラインストア:https://gshirakawa.theshop.jp/items/116062229
PartⅡ セレクト展
会期:8月8日(金)~8月30日(土)
会場:京都 ギャラリー白川
所在地:京都府京都市東山区上弁天町430-1
営業時間:12時~18時
定休日:月、火曜
公式サイト:https://www.galleryshirakawa.com/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000147340.html
(Fumiya Maki)