日常にふと差し込む“夢”という曖昧な存在。その内側に、仏教の壮大な世界観が重ねられてきた歴史をご存知だろうか。
釈尊誕生の神秘譚から高僧たちの霊夢、聖地や儀礼との関係まで──“夢”を起点に仏教の多層的な信仰世界を読み解く展覧会。
京都・龍谷ミュージアムにて、秋季特別展「仏教と夢」が9月20日(土)から11月24日(月・振休)まで開催される。
仏教における“夢”の諸相を辿る
展覧会の起点は、釈尊の母である摩耶夫人がみた「托胎霊夢」の物語。仏教における夢の記述は、まさにここから始まる。
本展ではこの夢を手がかりに、経典や霊験譚、高僧の逸話、儀礼との関係、さらには聖地との接点まで、“夢”が織りなす仏教の多層的な世界をひもといていく。
仏伝浮彫「托胎霊夢」 スワートまたはディール 1~2世紀
構成は5章立て。「夢と霊験譚」「経典に説かれる夢」「高僧がみた夢」「夢と儀礼」「夢と聖地」とテーマごとに展開され、仏教における夢の捉え方が、地域や時代を超えて広がっていく様子が浮かび上がる。
重要文化財や仏教美術の名品が多数集結
会場では、スワートまたはディール出土の仏伝浮彫「托胎霊夢」や、南北朝時代の「釈迦八相図」など、貴重な仏教美術作品を多数展示。
とくに注目したいのが、鎌倉時代の仏師・快慶が手がけた木造「深沙大将立像」や、「石山寺縁起絵巻 巻第二」といった重要文化財の数々。展示期間中には巻替えも予定されており、異なる表情に出会えるのも見どころだ。
重要文化財 石山寺縁起絵巻 巻第二(部分) 絵:鎌倉・正中年間(1324~26) 詞:南北朝時代(14世紀) 滋賀・石山寺

重要文化財 木造 深沙大将立像 快慶作 鎌倉時代(12~13世紀) 京都・金剛院 画像提供:奈良国立博物館
記念講演や対話イベントなど、関連企画も多数開催
展覧会の開催にあわせ、関連イベントも充実している。
龍谷大学理事長の入澤崇氏による記念講演や、京都文教大学客員教授で心理占星術研究家の鏡リュウジ氏らを招いたトークセッション「〈夢〉がつむぐ宗教世界」など、多角的な視点から“夢”と仏教を見つめ直す機会が用意されている。
ナーガ上のヴィシュヌ インド 19世紀 東京国立博物館 Image: TNM Image Archives
また、開催日限定で行われる学芸員によるスペシャルトークも見逃せない。作品鑑賞とあわせて耳を傾けることで、展示内容がより立体的に深まっていくだろう。
秋季特別展「仏教と夢」
開催期間:9月20日(土)~11月24日(月・振休)
会場:龍谷大学 龍谷ミュージアム
所在地:京都府京都市下京区堀川通正面下ル 西本願寺前
開館時間:10:00~17:00(最終入館 16:30)
休館日:月曜日 ※祝日、10月14日(火)、11月4日(火)は開館
入館料:一般1,600円(前売1,400円)
公式サイト:https://museum.ryukoku.ac.jp/exhibition/2025/yume/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000171.000108310.html
(山之内渉)