江戸期に育まれた日本の美意識は、常に変化する自然と共に無常を受け入れる思想から生まれた。加納節雄氏はその本質を現代に映し出す作家。

9月25日(木)から青山で開催される個展「無常MUJO」では、幅広い作品を公開する。

観る者の想像力を呼び覚まし、見えないものの存在を感じさせる。感性を再発見する機会となるだろう。

東京・青山|日本美学「無常」の世界を伝えるための創造。加納節...の画像はこちら >>

「無常」を描く創作の姿勢

加納節雄氏の作品には一切の下書きがない。襖サイズの和紙キャンバスに水性インクのみで挑み、瞬間の直感をそのまま形にする。描かれるのは山川草木や仏の姿ではなく、無常そのもの。

鑑賞者の想像力に委ねるからこそ、作品にタイトルは与えられていない。観る人が何を感じ取るかは自由であり、そこにこそ日本人が古来から大切にしてきた「見えないものを想像する力」が宿るだろう。

効率と即物的な成果が重視される現代において、その姿勢は忘れられかけた感性を取り戻す試みといえる。

東京・青山|日本美学「無常」の世界を伝えるための創造。加納節雄 個展「無常MUJO」開催

江戸美学と現代をつなぐ

江戸時代、大衆文化は想像力を背景に大きく花開いた。浮世絵や工芸に息づいた美意識は海外でも衝撃を与え、ジャポニスムとして西洋の芸術家に影響を及ぼした。加納氏はその美学を再解釈し、独自の手法で現代に甦らせる。

MUJOシリーズに加え、浮世絵シリーズや鮮烈な色彩を用いたPINKシリーズも展示される予定だ。いずれもジャンルを超え、固定観念に縛られない姿勢から生まれている。

江戸と現代を架けるその挑戦は、日本の美を未来へつなぐ役割を果たしているといえるだろう。

東京・青山|日本美学「無常」の世界を伝えるための創造。加納節雄 個展「無常MUJO」開催

想像力を呼び覚ます展覧会

本展は東京・青山の「La Collezione uno」で4日間にわたり開催される。会場には未発表の新作を含む多数の作品が並び、これまで語られることのなかった「無常」の思想も初めて物語として紹介される。入場無料で事前予約も不要。誰もが立ち寄れる気軽さの中に、深く心を揺さぶる体験が待っている。

東京・青山|日本美学「無常」の世界を伝えるための創造。加納節雄 個展「無常MUJO」開催

作品に触れることは、変化を受け入れながら生きるための感性を再確認する時間となるだろう。加納節雄氏の眼差しを通して、今一度「見えないものの力」に耳を澄ませたい。

SETSUO KANO -無常 MUJO- 展
会場:La Collezione uno
所在地:東京都港区南青山6-1-3
会期:9⽉25⽇(木)~9⽉28⽇(日)
開催時間:11:00~19:00 ※最終日は17:00まで
入場:無料、事前予約不要
公式サイト:http://setsuokano.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/setsuo_kano/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000168410.html

(Fumiya MAki)

編集部おすすめ