華道歴40年を超えた假屋崎省吾氏が、山形県酒田市の本間美術館・清遠閣で初となる個展を開催する。京風建築と大正ロマンを感じさせる迎賓館の空間を舞台に、花と建築が織りなす世界が広がる。
いけばなデモンストレーションや限定グッズ販売も行われ、来場者は唯一無二の芸術体験を味わえる特別な11日間となるだろう。
清遠閣と花が響き合う舞台
本間美術館・清遠閣は、藩主酒井侯の休憩所として築かれ、やがて迎賓館として昭和天皇も宿泊した歴史を持つ建築である。京風の精緻な木造と大正ロマンを感じさせる調度品が残り、往時の文化の香りを漂わせる空間だ。

その格式ある建物に假屋崎氏の華やかな花々が加わることで、和の美意識と自然的で創造的な美が共鳴し、訪れる者に新たな時間の流れを体感させる。訪れる者を物語の登場人物のように包み込んでいくだろう。

いけばなの新たな体験
今回の展覧会では、假屋崎氏自身によるデモンストレーションが連日行われる。平日は午前と午後の2回、週末は1日3回開催され、花が生けられていく瞬間を間近で見届けられる。切り取られた花材が指先と感性によって形を変え、呼吸を宿していく過程は、完成品の鑑賞とは異なる生命感を伴う体験だ。作品が誕生する瞬間を共有することは、作家の思考や感情を追体験することでもある。
さらに、特別展示としてLotus Garden 畠山秀樹氏の作品も並び、異なる視点の美が交錯することで、展覧会全体に厚みが増している。訪れる者は単に作品を鑑賞するだけでなく、いけばなが持つ即興性と一期一会の精神に触れることができるだろう。

歴史と庭園が織りなす時間
展覧会の舞台となる本間美術館は、地域文化に寄与してきた本間家の精神を継承し、戦後の混乱期に人々へ芸術を開放した場所でもある。清遠閣とともに公開される庭園「鶴舞園」は、鳥海山を借景に配された池泉回遊式の名勝で、初夏の白ツツジや秋の紅葉が彩る景観は訪れる者を魅了する。庭園の石や樹木に込められた歴史は、花と同じく時を重ねながら美を育んできたものであり、假屋崎氏の作品が置かれることで新たな物語が生まれる。

花、建築、庭園が一体となり、時間を超えて美を伝える空間での展覧会は、華道家・假屋崎省吾氏が歩んだ40年の軌跡をより深く感じさせるものとなる。芸術を通して土地の歴史や自然を知る機会となり、訪れる者の感性に豊かな余韻を残すだろう。
華道家 假屋崎省吾の世界展 in 清遠閣
会期:11月13日(木)~11月24日(月・祝)
会場:本間美術館・清遠閣
所在地:山形県酒田市御成町7-7
開館時間:9:00~16:30(最終入館16:00まで)
入館料:一般/1,100円 ※清遠閣の個展観覧は無料
假屋崎省吾いけばなデモンストレーション
開催時間:平日/10:30~、13:30~ 土日祝/110:00~、2:00~、14:00~
実施時間:各回30分程度予定
※いけばなデモンストレーションの観覧料は別途700円、先着順定員40名程度
※スケジュールの都合上、中止になる場合あり
本間美術館 公式サイト:https://www.homma-museum.or.jp/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000090586.html
(Fumiya Maki)