いつの世にも男と女の事ですから、後先考えずに情事に走ってしまうこともあるというのが人情というもので、後からしまった!では済まないことも多々あります。
しかし、それにつけ込み、金員を喝取しようとする悪い輩も世の中にはいます。

このような行為を美人局(つつもたせ)と言い、一般に女性と性関係を持たせた後、その行為後または後日、その夫ないしそれに準じる関係のものが脅迫行為を行い、慰謝料名目で法外な金員を喝取する手口です。
このような手口が横行するのは、やはり配偶者等のいる女性と関係を持つことがやはり後ろめたいという気持ちにつけ入れられるので、大抵は被害者が妻子持ちや社会的ステータスのあることが多いようです。むしろ、失うものが何もない人を脅しても全く無駄ですから…。
今回は3つの実際にあった話を紹介しましょう。
いつハメられるか分からない「美人局」実際にあった3つのケース...の画像はこちら >>

●ケース1:地方の役所
実際にあった手口として、地方の役所で土木建築関係を担当している方でした。
出入りしていたスナックのホステスとあろうことか関係をもってしまい、それを知った情夫が、役所の土木建築関係なら金になると考えていたのでしょう。
関係が深まるにつれ、自分にその女性が気があると思い込んだ役所の方は、いわれるまま彼女の自宅に、その後怒り狂った情夫が現れ、とにかく謝ったが許してもらえず、そこでその女性が仲裁に入ってくれる方がいると、ただその仲裁に入っている方が造成工事の会社を経営していて…。後は予想通りの展開でした。

●ケース2:家出少女
また、他にも例は多々あります。私が刑事弁護を担当した方から聞いたのですが、家出少女と組んで、新宿歌舞伎町の街角でいわゆるナンパ待ちをさせて、声をかけてきた男性に、「俺の女になんか用か?」といいつつ、凄みをきかし、「誠意をみせろ!」といい、見舞金とかの名目で有り金のほとんどをもっていってしまうという手口でしのいでいたといいます。
多種多様な美人局がいわゆるソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じて行われているとの報道がなされ警鐘がならされています。

●ケース3:家で鍋をしましょう
わたくしが体験した奇妙な話を最後にしましょう。

歌舞伎町で仕事を終えて、帰宅しようと思っていたやさき、三十代前半くらいのコロコロポロンのような女性が声をかけてきて、「今晩暇なら、家で鍋をしましょうよ。誰も相手がいなくて……」といい、その女性とキムチ鍋の具材を買いに職安通りの韓国スーパーへ、当然買い物代くらいはと出してあげたはいいものの、「ちょっと用があるので、この店によっていい?」ときかれ、さびれたスナックに入りました。彼女は、「ちょっとかかるから、カウンターで水割りでも」といい、店の奥へ…
しかしです、水割りをちびりちびりと始めたところまでは記憶があるものの、意識がもどるとすでに翌日の午前3時、起きてカウンターの初老の方にあの女性はどこにいるかを聞くと、「あなたが帰れっていうから、帰ったよ!ここの勘定52,000円。」といわれました。「やられた!」と思いましたが、これも勉強代と思い、苦笑いを浮かべ勘定を済ませ、歌舞伎町を後にしました。
このように私も女性を使った詐欺まがいの手口にやられたことはありますが、これに注意するのは、あまり簡単に関係を持てるという場合は、注意をしたほうがよいでしょう。私は向こうから声をかけてくる女性には基本的には警戒します。
なんせ、モテませんから!

*著者:弁護士 小西一郎(聖マグダラ法律事務所。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を専門分野とする風俗弁護士として全国を飛び回る。)