ゲームクリエイター・稲船敬二氏とインティ・クリエイツがタッグを組んで生み出したアクションゲーム『蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト』。ロックオンを併用する強力な攻撃「電撃鱗」と絶対回避の「電磁結界」による爽快なゲーム性が好評を博しました。
また、ライトノベルを思わせるような濃密な設定や個性的なキャラクターに彩られた物語は、プレイに刺激を与えると共に劇的な展開がユーザーの心を揺さぶります。そのストーリーを、フルボイスによる声優の熱演と豊かな音楽が支え、エンターテイメント性の高い一作としても高い評判を獲得しました。
さらに、「電磁結界(カゲロウ)」により、アクションゲーム初心者でもゲームが進めやすく、またハイスコアを狙う上級者向けの遊び方も同時に提案。ひとつのゲームバランスの中で、双方のプレイを可能としたユニークなデザインも注目を集める大きな理由のひとつです。
独自性と間口の広さを合わせ持つ『ガンヴォルト』は多くのユーザーに支えられ、コンサートの開演やアニメ化プロジェクトの進行、そして続編となる『蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 爪(ソウ)』の発売と、更なる躍進を迎えます。
今回は、続編となるDL版『蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪』および、前作と『爪』をセットにしたパッケージ版となる「蒼き雷霆 ガンヴォルト ストライカーパック」の発売を記念し、シリーズが持つ魅力や『爪』でパワーアップした要素の数々を、インティ・クリエイツの開発陣に直接訊ねるインタビューを行いました。
制作の裏側からこぼれ話までたっぷりと伺いましたので、シリーズファンはもちろん、未プレイだけど『ガンヴォルト』が気になる方も、開発陣の生の声をじっくりとご覧ください。
◆『ガンヴォルト』シリーズを手がけた開発メンバーに迫る!
──それではよろしくお願いします。まずは、読者の方々に向けて自己紹介をお願いします。
津田氏
津田氏:前作含め、ディレクターを担当している津田祥寿です。原作というか、元ネタも担当していますね。
荒木氏:荒木宗弘です。
──では『爪』では、始めからデザイン監修をされたんですね。
荒木氏
荒木氏:はい。畠山さんから上がってきたものに対して、「これは違います」とか「世界観的にこういう形にしてください」といった指示を出させていただきました。
津田氏:シナリオやグラフィックなどの確認は、最終的に僕のところにくるようになっているんですが、「絵に関しては専任を置いたほうがいいんじゃないかな」と、前作の終盤辺りに思いまして(笑)。それで荒木の方にお願いし、『爪』も引き続き担当してもらいました。
荒木氏:前作の時は、確認の仕方が煩雑になっていた面がありまして。当時畠山さんは社内にいらしたんですけど、「その件は津田さんに聞いてください」みたいなたらい回しになっていて、それで「最終的には僕の方で」という話になりました。
──前作の経験を活かし、より整った形で『爪』が開発されたと。
津田氏:そうですね。
荒木氏:あと補足になりますが、主人公の「ガンヴォルト」(GV)のデザインだけは、前作も『爪』も、僕が担当しています。
──そうだったんですね。では最後に山田さんお願いします。
山田氏
山田氏:サウンドプロデューサーの山田一法です。音楽や効果音など、サウンド関連全般に携わっています。あと音声や収録関係も自分の担当です。音作りなどの実務は色んなメンバーで取り込んでおり、自分も音楽や効果を作ってます。
──耳に入ってくるものを総括している立場、と考えてよろしいでしょうか。
山田氏:もうひとり、川上という人間がいて、彼と二人三脚でやっているような形です。あと音声収録に関しては、田井と一緒に演出の確認などしています。
◆「このゲーム死なない」「大丈夫?」と言われてきた『蒼き雷霆 ガンヴォルト』制作現場
──ではまず、3DSでリリースされ、Steamでの配信も行われた、前作『蒼き雷霆 ガンヴォルト』の反響についてお聞かせください。
津田氏:TwitterなどのSNSで語っていただけることもあり、ユーザーさんのコメントを見るたびに嬉しく思います。また体験会やイベントを実施した際に、「遊びましたよ」と言ってくださる方が思っていた以上にいて驚きます。E3のような海外のゲームショウにも、『蒼き雷霆 ガンヴォルト』を知っていただいている方がいて、なんだか新鮮な感じです(笑)。
山田氏:前作の時に、イベントを平日に行ったことがあるんです。ほとんど告知もしていないような状態だったんですけども、すごく多くの方に集まっていただけました。ちょっとした列ができて、警察の方から注意されたほどです(笑)。
──まさに、目に見える手応えですね。
津田氏:ほかのタイトルでも幾度もイベントを行っていたので、これくらいだろうという想定があったんですが、それを上回る人数がいらっしゃって。それを見た時に、「ユーザーさんにちょっとは刺さったのかな」と実感しました。実は最初椅子を並べていたんですが、(人が入らないので)全部外してイベントを行うほどで。
荒木氏:そのイベント、僕はスタッフではなく客の立場で行ったんですが、結果的に誘導役として駆りだされてしまいました(笑)。
山田氏:『ガンヴォルト』は歌もポイントになっている作品でして、コンサートなどもやらせていただきましたが、あの時のイベントがそのきっかけになりました。
──ユーザーさんの反応が、その後の広がりに繋がっていったんですか。嬉しい流れですね。多くのユーザーさんに支持されている『ガンヴォルト』ですが、アクションというジャンル自体は最盛期と比べるといささか縮小傾向にあります。それでも新規IPによるアクションゲームを作ろうと決めた原動力は何なのでしょうか。
津田氏:他の人の原動力は分かりませんが、私自身は「2Dアクションならなんとか作れるかなー」という人間でして、それ以外のゲームは作れる自信がまだないんですよ(笑)。
あと私自身、2Dアクションが好きというのもあります。TVゲームの一番面白い部分は、「リアルタイム性」だと思っているんですが、その方向性と2Dアクションの性質が非常にマッチしているスタイルだなと感じていて、作るなら2Dアクションがいいなと常日頃考えています。
加えて、言われた通りアクションゲームの全体のユーザー数というのは減ってきていますし、プレイする方の年齢層も比較的高めの方が多いんですよね。ともすれば、オールドゲームなジャンルに取られることもありますし。なので『ガンヴォルト』は、いかに初心者や低年齢層を開拓できるかというのを目指しました。
──ジャンルの活性化、新しい風を吹き込みたいという想いもあったんですね。
津田氏:入門的なゲームになればいいな、という想いがありまして。アクションが得意ではない方でも最低限クリアまではできるように、「電磁結界(カゲロウ)」や「復活」というシステムを用意しました。
例えば、『スーパーマリオ』の3面くらいまでは、みんな楽しめると思うんですよ。なので「その辺りまで進められるユーザーがクリアできるゲームを作りましょう」と開発を立ち上げ、進めていきました。できるだけ簡単に簡単に……と。
ところがですね、社内の人間は難しいゲームが好きなので、放っておくと難易度が上がるんですよ(笑)。「こんな難しくしないでー!」って言ってるのに、どんどん難易度が上がりまして。
──アクションの間口を拡げる考えと、手応えを求める考えがせめぎ合ったんですね(笑)。
津田氏:「復活」するとEPゲージが減らないというかなり強力な状態になるんですが、これくらいしないと(アクションが得意じゃない人は)クリアできないんじゃないかなと思って調整したんです。「復活」のシステムを最初に考えた時は、そこまで強くするつもりはなかったんですよ、実は(笑)。
直接目には見えないんですが、こういった考えや、その結果として導入したシステムなどが、今遊んでくれている方々に刺さっているのだとしたら、本当に嬉しいですね。
山田氏:『ガンヴォルト』を作っている時、「このゲーム死なない」ってみんな言ってたんですよ。
──これまで作ってきたアクションゲームとはどこか違うぞ、と。
山田氏:そうですね。最初は「死なないゲーム」だと思っていたんですが、これは「自分で難しくしていくゲーム」だなと気付きまして。十字キーの下を連打していれば、ほとんどの攻撃は「電磁結界」で無効化できるわけですが、いざ攻撃しようとすると相手の攻撃も当たる。このジレンマがゲーム性なんだなと分かって、これまでの旧態然としたアクションゲームとは真逆なんだなと感じました。
──スコアを稼ごうと思ったら、「電磁結界」に頼らず自力で避けないといけませんしね。
山田氏:クリアするだけなら、「電磁結界」を使って攻撃を回避しつつ、その合間にちょっとずつダメージを与えていく。このプレイスタイルの提案が、今までアクションゲームに手を出さなかった人たちへの間口を拡げて、裾野を拡げていったのかなと思っています。
津田氏:アクション初心者の人がクリアでき、かつ上級者の方向けのシステムも用意する。その考えは、『ガンヴォルト』制作当初からずっと持っていました。ただ、その考えを理解してもらうまで長かったですね(笑)。途中までは、荒木さんとかにボロボロに言われてましたから。
荒木氏:その節はすみませんでした(笑)。いやその、開発はそれぞれが部分部分で取り組むじゃないですか。それらが繋がって遊べるようになったのが、『ガンヴォルト』の時は結構終盤だったんですよ。
それまで全体の形が分からなくて不安でした。津田さんとかみんなに集まってもらって、「このゲーム大丈夫なんですか?」と聞いたりして(笑)。ただ、繋がって遊んでみたら、それまで作ってきたゲームにはない初めての感覚があって、「このゲームすごく面白いんじゃないか!」って(笑)。
──評価が一変した、と(笑)。
荒木氏:内部で「このゲームすごく面白い」とかって、あまり言わないんですよ。でも開発中に『ガンヴォルト』をプレイしてる時、一緒にチェックしてる人と「このゲーム、ヤバくない?」みたいな話をしてしまうほど、衝撃的でした。その時に初めて、「こういうゲームだったんだ」と分かった瞬間でした。
──アクションゲームに慣れているほど、「電磁結界」は驚きのシステムですよね。操作しない方が安全、という(笑)。
津田氏:子供とかにゲームをやらせてみると、やっぱりクリアできない子も多いんですよね。そして、進まない時って、大体止まるんですよ。穴の手前とかで。
──「どうしたらいいんだろう」みたいな戸惑いがあるんですね。
津田氏:こういう子たちのプレイを見ていると、「無敵にでもしないとクリアできないんじゃないの?」みたいに思うわけですよ(笑)。だから、穴に落ちて死ぬというアクションゲームお馴染みの要素も、できるだけ減らしてみたんです。
ただ、「夜のビルの上に立つ主人公」というイメージも大事にしたかったので、それを表現しようと思うと、どうしても高さが必要になるんですよね。なので『ガンヴォルト』の開発中盤くらいに「穴があるのは仕方ないよね」と、そこは考えを改めました(笑)。
──上下が反転するステージもありましたしね。よく上に“落ち”ました(笑)。「電磁結界」といい、印象深い仕掛けやシステムが多い作品ですよね。
山田氏:アクションゲームに慣れていると、(「電磁結界」で攻撃が回避できるなど)このゲームはなんなの? って思ってしまうんですよね、最初は。でも実際にゲームをやってみると「あ、こういうことだったんだ」と気付かされるんですが、それまではやはりなかなかイメージできなくて。「こんなの死なないじゃん」って(笑)。
──「電磁結界」のシステムなどを聞くと、死なないゲームだと思いますよね。
山田氏:でも死ぬんですよね、意外と(笑)。
津田氏:最終的にはいいバランスに落ち着いたのかなと思っています。
──難易設定ではなく、プレイスタイルによって難しさが変化するゲームデザインは、刺激的でしたし魅力でもありました。
津田氏:そこまではしっかり考えて作っていたんですが、クードスが1000を超えるとモルフォが歌い出すというシステムに関しては、バランス面で心残りのある部分でして。元々は「ドキドキさせるシステムを用意したい」と考えていて、1000を超えると心臓音が鳴る、という形だったんです。でもあるタイミングで、「クードスに歌を当てはめたら面白いのでは」と思いついて、山田に歌を一曲作ってもらいました。
その感触が想像以上によかったので、モルフォが歌うシステムという形になったんですが……プレイした方なら分かると思うんですが、クードスが1000を超え、またその状態を維持し続けるのって結構難しいんですよね。後から加えたシステムだったので、ここのバランスだけはちょっとちぐはぐだったかなと感じています。もう少し優しいバランスで曲が流れてもよかったのかなと。
その点を踏まえて『爪』では、スコア清算率は低いものの被弾しても減らない「アパシー」や、逆に清算率は高いものの一度の被弾で0になる「レックスレス」、3回被弾するまで維持される「ティミッド」という3つのモードを用意し、より遊びやすくしてあります。
山田氏:ご褒美を難しいところに置く、というのはゲームバランス的にやってしまいがちなんですよね。初心者向けのアイテムを入手しづらい場所に用意する、みたいな(笑)。それに近いことをしてしまった感覚があったので、『爪』では調整が入って安心しました。
荒木氏:前作のシステムも、あれはあれで「1000超えよう!」というモチベーションに繋がるんですけどね。
津田氏:シンプルで分かりやすいので、前作のシステムもひとつの形かなと思います。そして『爪』では、色んなユーザーに楽しんでもらえるようにしましたので、前作と本作それぞれを出す意味がある形になったのかもしれませんね。いきなり『爪』のシステムだと、分かりにくかったかもしれませんし。
──前作の経験や反響が、『爪』に活かされているんですね。
津田氏:前作は、アクション初心者の方と上級者の人、それぞれを意識したシステムやバランスを心がけましたが、中級者向けのシステムはあまりなかったんですよね。なので『爪』では、そこも少し厚くしてみました。
──中級者に向けた要素を伺ってもよろしいですか?
津田氏:一例としては、「ノーマルスキル」の存在ですね。ゲージを使わないで使用できる「ノーマルスキル」というのがGVにあるんですが、これを探す遊びなどは中間層向けかなと思っています。ステージのあちこちを回って、見つける楽しさを味わえます。
あとアキュラで言えば、プログラムをどんどん増やせるチップを隠してあるので、それも見つけてみてください。……ぶっちゃけて言うと『ロックマンX』ですよね(笑)。
──ぶっちゃけましたね!(笑)
津田氏:あの辺りを参考にして(笑)。「隠しハンマー」を見つける楽しさとかは、中級者向けの遊びかなと。上級者になると、見つけたアイテムを駆使してタイムアタックに挑む、みたいな。前作は「簡単」と「難しい」の両立を中心にしていたので、『爪』では中間層にも向けて作ってみました。
──『爪』は、より多くの人に向けて作られた一作なんでですね。プレイできる日が楽しみです。
◆『爪』の結末は衝撃の展開!?
──ここからは『蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪』の様々な魅力についてお聞かせください。まず物語面ですが、前作は「スメラギ」という能力者を抑圧する存在が敵でしたが、今回は能力者連合が立ちはだかります。まったく逆の存在に立ち向かうという切り口は、ライトノベル好きな層をくすぐるなと思いました。
津田氏:前作の終わりの時に、あるキャラクターがそういう話(能力者側の結束)を少し出していたので、『爪』で戦う相手は自然な流れで決まりました。
──では『爪』の物語面に関しては、開発当初からある程度固まっていたわけですか。
津田氏:決まっていたかと言われると、ほとんど決まってない状態でした。前作の段階で、物語面でやりたかったことは全て盛り込んでいたので。
──前作の時点でやり切っていたため、続編で何を描くのか改めて悩んだと。
津田氏:続編で何をしたらファンの人が喜んでくれるのか、頭を捻りましたね。
山田氏:何をやっても蛇足感がありそうで(笑)。ネタ自体はあったんですけどね。
──ストーリーが固まるまで、どれくらいかかりましたか?
津田氏:開発が始まって最初の二ヶ月くらいは、物語をどうするか考えていましたね。そんな時ふと、「これならいけるかも」というオチを思いつきまして……ネタバレになるので、そこは説明はできないんですが(笑)。でも、蛇足ではない「続編の物語」になる手応えを感じました。
ちなみにそのオチを思いついた時、荒木さんとかは賛同してくれたんですが、一部の人間は猛反対に合いました(笑)。
──おお……それだけ衝撃的な展開なんですね。
津田氏:オチを見た時にみんながどう思うか、楽しみですし心配でもありますね(笑)。『ガンヴォルト』シリーズは、明るいハッピーエンドではなく、どこかビターな味わいを持たせたいんです。今回も、『ガンヴォルト』らしい、いい終わり方になっていると思います。
──それは『爪』でも引き継がれているんですね。手応えのあるエンディング、楽しみにしています。ちなみにゲームに落とし込んでいく中で、シナリオ面で削られた部分などはありますか?
津田氏:最初にいくらか削りましたが、それくらいですね。
山田氏:前作の時は、色々と盛り込もうとして大変だったんですよ。そのため開発終盤で削った部分があったんです。なので『爪』開発の時は、やりすぎないように最初から絞り込んでいました。……ですが、最終的には盛りだくさんな内容に(笑)。最初に整理しすぎたので、削りようがなかったんですよね。
津田氏:最後は削ぎようがなくて、大変なことになってましたから(笑)。
◆クードスの上限突破はユーザーへの挑戦状?
──それでは次に、『爪』でプレイアブルとなったアキュラについてお聞かせ下さい。
津田氏:アキュラですが、GVよりもテンポのいいアクションにしようと心がけました。ただ作ってるうちに、アキュラがどんどんと強くなってしまい(笑)、相対的にGVが地味になってしまった時がありました。もちろんその後、しっかり調整しましたけどね。
──敵のセブンスを使えるというアキュラの特長は、ゲームファンとしてはやはりグッと来るポイントですから、テンポよく楽しめるというのは嬉しいですね。
津田氏:まぁいわゆる「あの」システムですよね(笑)。
──まぁいわゆるそれですよね(笑)。ちなみにGVが『爪』でパワーアップした部分は?
津田氏:基本的なシステムを継承しつつ、新しいスキルの追加や、先ほど触れたノーマルスキルの存在がGVのパワーアップ部分になります。ノーマルスキルは、使用してもクードスが清算されないので、スコア狙いのプレイに組み込んでいくという楽しさがプラスされています。
例えばボスラッシュの時とかにノーマルスキルでとどめを刺すと、スコアがどんどん伸びていきますから。クードスが6000や7000とか溜まっていくのは、結構快感じゃないかなと思います(笑)。ちなみに前作では、クードスの上限が9999でしたが、『爪』ではそれ以上溜められるようになりました。10000越えは確認しています。
──ユーザーさんがどんな数字を叩き出してくれるか、こちらも楽しみですね。続いてはビジュアル面に関して伺いたいのですが、前作を経たことでGVの心境に大きな変化があったと思いますが、心境の変化はデザイン面にも影響していますか?
荒木氏:シナリオが出てきたのはデザインよりも後だったので、GVの成長といった部分をデザインに盛り込む意識はそれほどありませんでした。むしろGVのデザインは「変えなくていい」と言われていたんですが、デザインした本人的には納得できてない部分もあったので、その辺りに手を入れました。
あと、「ビルの上に立つ主人公」などの、ちょっとダークな雰囲気を持たせるような形を改めて起こしたいなという気持ちもありまして、『爪』のGVをデザインしました。全身が蒼だったので、ダークヒーローを想起してもらえるよう、ネイビー系の色も盛り込んであります。
──なるほど、そういった想いが新たな形になった新生GVなんですね。では、今回から登場する新キャラに関して、デザイン上で意識した部分などはありますか?
荒木氏:そうですね……『爪』が出ることでシリーズ化した形になったので、前作でユーザーさんが抱いたイメージを壊さないように意識しました。もちろん同じ事をやってもつまらないので、イメージを大事にしつつもプラスアルファを加え、より見映えが良くなるよう調整しました。
◆“シューティングゲームなイメージ”で作られていた『ガンヴォルト』の音楽、デザインのこだわりにも言及
──それでは、音楽面に関しても伺えればと思います。『ガンヴォルト』というゲームシリーズの音楽作りに関して、重視している部分などはありますか?
山田氏:まずは「スピード感」。そして「ノンストップ」ですね。アクションゲームというよりも、シューティングゲームのイメージで作っています。アクションゲームは地に足着けて進むというイメージですが、『ガンヴォルト』の場合、上手くなるほどガンガン進んで、通り過ぎてから敵を撃破する……みたいなプレイになるんですよ。
──なるほど。確かにそのシチュエーションは、シューティングゲームに近いテイストですね。
山田氏:そういう風に遊んで欲しいところもあるので、シューティングゲームを意識した音作りをしてますね。飛んでいる感覚を味わって欲しいというのが、コンセプトのひとつです。
あとはノンストップということで、流れを止めたくなかったんですよ。どんどんクロスフェードで繋げていきたくて、ローテンポだろうがハイテンポだろうが全て同じクリックで曲を作っています。
──1曲1曲が完成されているのはもちろん、ステージ全体を通して大きな1曲でもあるわけですね。
山田氏:そうですね。ステージ全体を組曲のように楽しんでもらうという試みは以前も行ったことがあるんですが、(『ガンヴォルト』で)やれたかなと思います。
ちなみに『爪』はダブル主人公です。普通は「同じステージを異なる主人公で楽しめる」という形が一般的ですが、本作ではGVとアキュラでプレイするステージはそれぞれ異なりますし、BGMもGVの方は従来に近くて、アキュラの方はアレンジを全て変えています。レイヴ系に近い感じですかね。
もちろんGVとアキュラでは、クードスで流れる歌も違うので、アクション性や物語だけでなく、音楽面でもひと味違うものを楽しむことができます。「違うゲームが2本入ってる」みたいな作品にしたいなと思って頑張りました。……何度か挫けそうになって、「それはやめようか」みたいな話も出ましたが(笑)、でもなんとか形になりました。
──GVとアキュラ、それぞれで異なるゲーム体験が楽しめるんですね。
山田氏:あともうひとつ言わせて欲しいのが、敵キャラクターについてです。前作の敵も個性的だったんですが、『爪』では輪をかけて個性的にしすぎてしまいました(笑)。
津田氏:前作であれだけやったので、『爪』ではもっと上回らないと、みたいな感じでやってましたね(笑)。
山田氏:例えば今回、ガウリというラップのリズムを刻んで戦うキャラがいるんですが、ラッパーのACE君にガウリの台詞を全部ラップしてもらったんですよ。それを声優さんに学んでもらって音声収録してもらいました。
あと、ニケーというロシア系のキャラがいるんですが、彼女はカタコトで喋るので、ロシア生まれのジェーニャさんをキャスティングした上で、ロシア訛りな感じで発音してもらったこともありました。こんな感じで、表現もキャラごとに拘ったんですが、そのためクセが付きすぎてしまったかもしれません(笑)。
津田氏:ちなみにジェーニャさん、別に日本語下手じゃないですからね?(笑) 上手なのに、わざとロシア語訛りを入れて喋ってもらったんです。
──では、そういった部分もデザインに反映されているんですか?
荒木氏:んー……いや、ないですね(笑)。そういう個性付けは田井が考えていて、デザインの段階では普通に喋る恰好いいヤツだと思ってます。だから、声が入った時に驚きます。「こんなヤツだったんだ!」って(笑)。
山田氏:デザインコンセプトとキャラコンセプトは、ちょっと別ですよね。特にデザインコンセプトは……これ言っちゃっていいのかな?
荒木氏:あれですよね。前作の時は「七つの大罪」がモチーフでしたよね。『爪』で同じ事やるのもどうかなと思いまして、今回は「童話の女の子」をモチーフして盛り込んでみます。キャラクター性とはちょっと違う部分ですよね。
山田氏:童話モチーフのテイストがあって、そこから転じた性格をそれぞれが持っているんです。だから、一段階踏んだキャラクター造詣なんですよ。
──関連性があった上で、ひと味違う仕上がりになっているんですね。
山田氏:前作の時は、「七つの大罪」だったので、モチーフと性格付けがイコールに近かったんです。なので、音楽とデザインとキャストの声がひとうのコンセプトで通っていたんですよ。でも今回はちょっと複雑で、全体的にヒネりのある感じになっています。出身も様々なので、音楽的にもちょっと民族色が感じられると思います。テンジアンだとちょっと中国風だったりと。
──そういった民族的な拡がりも、前作とは違う音楽面のひとつと。
荒木氏:ちなみにキャラクターをTwitterとかで公表すると、モチーフになった童話がバレちゃったりしてますね。バレるまでは「そうじゃないんだなー」みたいな気持ちで楽しませてもらってます(笑)。
◆『ガンヴォルト3』の構想は? 今後の展開は!?
──ここまで、『爪』でパワーアップした面をたっぷりと聞かせていただきましたが、仮に『3』を作るとしたら、これを更に超えてるのは相当大変になりそうですね。
津田氏:モルフォとかどうなるんだろうね。
荒木氏:全ては津田さん次第なところがあるので、僕は知りません(笑)。
山田氏:そもそも『3』でGVいるんですかね?
津田氏:そこもありますよね。『爪』は『爪』で、なんだかんだありながらも物語として綺麗にまとまっているんですよ。だから次どうするのと聞かれたら、まったく違う世界にするのもアリかもしれません。300年後くらい先がいいんじゃないかなって僕は思います。ただ、この話をするとみんな冷たいんですよ(笑)。
──津田さんの気持ちも分かりますし、周りの方々の反応も納得できますね(笑)。ちなみに『爪』で実現できなかったことはありますか? それを『3』でやってみたい、みたいな。
津田氏:実現できなかったというと大げさなんですが、最初企画を立てた時に「プレイヤーキャラは3人にしよう」って言ってたんです。でも開発に入る以前の段階で「それは無理」とハネられまして(笑)。
なのでもし『3』が出るとしたら、それも再考してみたいですね。とはいえ、現時点では全然何もありません(笑)。『1』はいくつか考えていたものがあって、そこから作り上げていったんですが、今回の『爪』ですら、最初はほとんど何もありませんでしたしね。
荒木氏:何も決まってないのに、ボスのデザインだけは始まってましたからね(笑)。
山田氏:ロロに和風な要素があるというのもあんまり理解してなくて、曲が出来上がった後にその話を改めて聞いたんです。で、それを前提として聞いてみると、結構ハマってる感じだったので、「ああ、良かったな」と思いました(笑)。
津田氏:知らなかったんですか!(笑)
山田氏:作詞を担当した人がデザインから読み解いてくれたようで。「これ、巫女デザインでしょ?」みたいな。
荒木氏:おお、そういう形で伝わっていたんですね。デザインでモメた甲斐がありました(笑)。
山田氏:色々あったけど、最終的には収まるところに収まってくれた感じになりましたね。
──『3』も、そういう形で上手くハマってくれることを願ってます(笑)。ちなみに続編ではなく、『爪』自体の今後の展開などはありますか?
山田氏:前作ではコンサートなどやらせていただきましたが、最初から決めていたわけではないんですよね。前にお話した通り、イベントでの成功がきっかけとなって動き始めたわけでして。だから『爪』の展開も、ネタやタイミング、ユーザーさんからの要望がハマった時にやれればなと考えています。
津田氏:前作関連ではアニメ化が進んでいますので、そちらも楽しみにしてもらえると嬉しいです。今、すごくチェックしてます(笑)。
──『ガンヴォルト』『爪』ともに、今後の展開も楽しみにしています。それでは最後になりますが、読者の方々に向けたメッセージをお願いします。
津田氏:シナリオ、アクション性、キャラクター、音楽、いずれも高いレベルでまとまった作品になりました。特にシナリオは、“アクションゲームなのに泣けるストーリー”に挑戦しましたので。こういうゲームはあまりないと思うので、ぜひ最後まで遊んでもらって、本当に泣けた時はTwitterに「泣けた!」と書いてもらえると嬉しいです(笑)。ともあれ、楽しんでいただければなによりですね!
荒木氏:僕も、お話を楽しんで欲しいと思ってます。イラストやデザインというのは、その入り口でもありますから。そこから入った新しいユーザーさんが、物語を楽しんでくれれば幸いです。あとユーザーさんがTwitterとかで、『ガンヴォルト』のイラストとか書いてくれてるのを見ると嬉しいですね。結構見てたりするので(笑)。『爪』や「ストライカーパック」をご堪能ください。
山田氏:自信作になったと思います。『ガンヴォルト』から『爪』になったことで確実にパワーアップしてますし、前作でちゃんと終わった物語にしっかりと上乗せする形で新たなストーリーが紡がれています。前作を遊んだ人にも気になる内容になってますし、初めて遊ぶ方は「ストライカーパック」で一気に楽しむ絶好の機会なので、『ガンヴォルト』世界にたっぷりと満喫してください。
──本日はありがとうございました!
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
(C)INTI CREATES CO.,LTD.2016 ALL RIGHTS RESERVED.
また、ライトノベルを思わせるような濃密な設定や個性的なキャラクターに彩られた物語は、プレイに刺激を与えると共に劇的な展開がユーザーの心を揺さぶります。そのストーリーを、フルボイスによる声優の熱演と豊かな音楽が支え、エンターテイメント性の高い一作としても高い評判を獲得しました。
さらに、「電磁結界(カゲロウ)」により、アクションゲーム初心者でもゲームが進めやすく、またハイスコアを狙う上級者向けの遊び方も同時に提案。ひとつのゲームバランスの中で、双方のプレイを可能としたユニークなデザインも注目を集める大きな理由のひとつです。
独自性と間口の広さを合わせ持つ『ガンヴォルト』は多くのユーザーに支えられ、コンサートの開演やアニメ化プロジェクトの進行、そして続編となる『蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 爪(ソウ)』の発売と、更なる躍進を迎えます。
今回は、続編となるDL版『蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪』および、前作と『爪』をセットにしたパッケージ版となる「蒼き雷霆 ガンヴォルト ストライカーパック」の発売を記念し、シリーズが持つ魅力や『爪』でパワーアップした要素の数々を、インティ・クリエイツの開発陣に直接訊ねるインタビューを行いました。
制作の裏側からこぼれ話までたっぷりと伺いましたので、シリーズファンはもちろん、未プレイだけど『ガンヴォルト』が気になる方も、開発陣の生の声をじっくりとご覧ください。
◆『ガンヴォルト』シリーズを手がけた開発メンバーに迫る!
──それではよろしくお願いします。まずは、読者の方々に向けて自己紹介をお願いします。
津田氏
津田氏:前作含め、ディレクターを担当している津田祥寿です。原作というか、元ネタも担当していますね。
荒木氏:荒木宗弘です。
僕も前作から関わっているんですが、前作では主に背景を担当していました。あと前作の開発後半に「デザインの監修をしてくれ」と言われたんですが、大詰めだったのであまり機能しませんでした(笑)。ですがその引き続きで『爪』のデザイン監修も担当し、キャラクターデザインの畠山義崇さんとやりとりをしました。
──では『爪』では、始めからデザイン監修をされたんですね。
荒木氏
荒木氏:はい。畠山さんから上がってきたものに対して、「これは違います」とか「世界観的にこういう形にしてください」といった指示を出させていただきました。
津田氏:シナリオやグラフィックなどの確認は、最終的に僕のところにくるようになっているんですが、「絵に関しては専任を置いたほうがいいんじゃないかな」と、前作の終盤辺りに思いまして(笑)。それで荒木の方にお願いし、『爪』も引き続き担当してもらいました。
荒木氏:前作の時は、確認の仕方が煩雑になっていた面がありまして。当時畠山さんは社内にいらしたんですけど、「その件は津田さんに聞いてください」みたいなたらい回しになっていて、それで「最終的には僕の方で」という話になりました。
──前作の経験を活かし、より整った形で『爪』が開発されたと。
津田氏:そうですね。
僕の方で大まかに考えたものを、荒木とシナリオ担当の田井利明で世界観的なものを構築してもらう、という形で『爪』の開発に取り掛かりました。
荒木氏:あと補足になりますが、主人公の「ガンヴォルト」(GV)のデザインだけは、前作も『爪』も、僕が担当しています。
──そうだったんですね。では最後に山田さんお願いします。
山田氏
山田氏:サウンドプロデューサーの山田一法です。音楽や効果音など、サウンド関連全般に携わっています。あと音声や収録関係も自分の担当です。音作りなどの実務は色んなメンバーで取り込んでおり、自分も音楽や効果を作ってます。
──耳に入ってくるものを総括している立場、と考えてよろしいでしょうか。
山田氏:もうひとり、川上という人間がいて、彼と二人三脚でやっているような形です。あと音声収録に関しては、田井と一緒に演出の確認などしています。
◆「このゲーム死なない」「大丈夫?」と言われてきた『蒼き雷霆 ガンヴォルト』制作現場
──ではまず、3DSでリリースされ、Steamでの配信も行われた、前作『蒼き雷霆 ガンヴォルト』の反響についてお聞かせください。
津田氏:TwitterなどのSNSで語っていただけることもあり、ユーザーさんのコメントを見るたびに嬉しく思います。また体験会やイベントを実施した際に、「遊びましたよ」と言ってくださる方が思っていた以上にいて驚きます。E3のような海外のゲームショウにも、『蒼き雷霆 ガンヴォルト』を知っていただいている方がいて、なんだか新鮮な感じです(笑)。
山田氏:前作の時に、イベントを平日に行ったことがあるんです。ほとんど告知もしていないような状態だったんですけども、すごく多くの方に集まっていただけました。ちょっとした列ができて、警察の方から注意されたほどです(笑)。
──まさに、目に見える手応えですね。
津田氏:ほかのタイトルでも幾度もイベントを行っていたので、これくらいだろうという想定があったんですが、それを上回る人数がいらっしゃって。それを見た時に、「ユーザーさんにちょっとは刺さったのかな」と実感しました。実は最初椅子を並べていたんですが、(人が入らないので)全部外してイベントを行うほどで。
荒木氏:そのイベント、僕はスタッフではなく客の立場で行ったんですが、結果的に誘導役として駆りだされてしまいました(笑)。
山田氏:『ガンヴォルト』は歌もポイントになっている作品でして、コンサートなどもやらせていただきましたが、あの時のイベントがそのきっかけになりました。
すごく感触がよかったので、今後も色々とやってみようかという流れに。
──ユーザーさんの反応が、その後の広がりに繋がっていったんですか。嬉しい流れですね。多くのユーザーさんに支持されている『ガンヴォルト』ですが、アクションというジャンル自体は最盛期と比べるといささか縮小傾向にあります。それでも新規IPによるアクションゲームを作ろうと決めた原動力は何なのでしょうか。
津田氏:他の人の原動力は分かりませんが、私自身は「2Dアクションならなんとか作れるかなー」という人間でして、それ以外のゲームは作れる自信がまだないんですよ(笑)。
あと私自身、2Dアクションが好きというのもあります。TVゲームの一番面白い部分は、「リアルタイム性」だと思っているんですが、その方向性と2Dアクションの性質が非常にマッチしているスタイルだなと感じていて、作るなら2Dアクションがいいなと常日頃考えています。
加えて、言われた通りアクションゲームの全体のユーザー数というのは減ってきていますし、プレイする方の年齢層も比較的高めの方が多いんですよね。ともすれば、オールドゲームなジャンルに取られることもありますし。なので『ガンヴォルト』は、いかに初心者や低年齢層を開拓できるかというのを目指しました。
──ジャンルの活性化、新しい風を吹き込みたいという想いもあったんですね。
津田氏:入門的なゲームになればいいな、という想いがありまして。アクションが得意ではない方でも最低限クリアまではできるように、「電磁結界(カゲロウ)」や「復活」というシステムを用意しました。
例えば、『スーパーマリオ』の3面くらいまでは、みんな楽しめると思うんですよ。なので「その辺りまで進められるユーザーがクリアできるゲームを作りましょう」と開発を立ち上げ、進めていきました。できるだけ簡単に簡単に……と。
ところがですね、社内の人間は難しいゲームが好きなので、放っておくと難易度が上がるんですよ(笑)。「こんな難しくしないでー!」って言ってるのに、どんどん難易度が上がりまして。
──アクションの間口を拡げる考えと、手応えを求める考えがせめぎ合ったんですね(笑)。
津田氏:「復活」するとEPゲージが減らないというかなり強力な状態になるんですが、これくらいしないと(アクションが得意じゃない人は)クリアできないんじゃないかなと思って調整したんです。「復活」のシステムを最初に考えた時は、そこまで強くするつもりはなかったんですよ、実は(笑)。
直接目には見えないんですが、こういった考えや、その結果として導入したシステムなどが、今遊んでくれている方々に刺さっているのだとしたら、本当に嬉しいですね。
山田氏:『ガンヴォルト』を作っている時、「このゲーム死なない」ってみんな言ってたんですよ。
「これでいいの?」って(笑)。開発スタッフは、手強いアクションゲームをずっと作り続けてきたメンバーですから。
──これまで作ってきたアクションゲームとはどこか違うぞ、と。
山田氏:そうですね。最初は「死なないゲーム」だと思っていたんですが、これは「自分で難しくしていくゲーム」だなと気付きまして。十字キーの下を連打していれば、ほとんどの攻撃は「電磁結界」で無効化できるわけですが、いざ攻撃しようとすると相手の攻撃も当たる。このジレンマがゲーム性なんだなと分かって、これまでの旧態然としたアクションゲームとは真逆なんだなと感じました。
──スコアを稼ごうと思ったら、「電磁結界」に頼らず自力で避けないといけませんしね。
山田氏:クリアするだけなら、「電磁結界」を使って攻撃を回避しつつ、その合間にちょっとずつダメージを与えていく。このプレイスタイルの提案が、今までアクションゲームに手を出さなかった人たちへの間口を拡げて、裾野を拡げていったのかなと思っています。
津田氏:アクション初心者の人がクリアでき、かつ上級者の方向けのシステムも用意する。その考えは、『ガンヴォルト』制作当初からずっと持っていました。ただ、その考えを理解してもらうまで長かったですね(笑)。途中までは、荒木さんとかにボロボロに言われてましたから。
荒木氏:その節はすみませんでした(笑)。いやその、開発はそれぞれが部分部分で取り組むじゃないですか。それらが繋がって遊べるようになったのが、『ガンヴォルト』の時は結構終盤だったんですよ。
それまで全体の形が分からなくて不安でした。津田さんとかみんなに集まってもらって、「このゲーム大丈夫なんですか?」と聞いたりして(笑)。ただ、繋がって遊んでみたら、それまで作ってきたゲームにはない初めての感覚があって、「このゲームすごく面白いんじゃないか!」って(笑)。
──評価が一変した、と(笑)。
荒木氏:内部で「このゲームすごく面白い」とかって、あまり言わないんですよ。でも開発中に『ガンヴォルト』をプレイしてる時、一緒にチェックしてる人と「このゲーム、ヤバくない?」みたいな話をしてしまうほど、衝撃的でした。その時に初めて、「こういうゲームだったんだ」と分かった瞬間でした。
──アクションゲームに慣れているほど、「電磁結界」は驚きのシステムですよね。操作しない方が安全、という(笑)。
津田氏:子供とかにゲームをやらせてみると、やっぱりクリアできない子も多いんですよね。そして、進まない時って、大体止まるんですよ。穴の手前とかで。
──「どうしたらいいんだろう」みたいな戸惑いがあるんですね。
津田氏:こういう子たちのプレイを見ていると、「無敵にでもしないとクリアできないんじゃないの?」みたいに思うわけですよ(笑)。だから、穴に落ちて死ぬというアクションゲームお馴染みの要素も、できるだけ減らしてみたんです。
ただ、「夜のビルの上に立つ主人公」というイメージも大事にしたかったので、それを表現しようと思うと、どうしても高さが必要になるんですよね。なので『ガンヴォルト』の開発中盤くらいに「穴があるのは仕方ないよね」と、そこは考えを改めました(笑)。
──上下が反転するステージもありましたしね。よく上に“落ち”ました(笑)。「電磁結界」といい、印象深い仕掛けやシステムが多い作品ですよね。
山田氏:アクションゲームに慣れていると、(「電磁結界」で攻撃が回避できるなど)このゲームはなんなの? って思ってしまうんですよね、最初は。でも実際にゲームをやってみると「あ、こういうことだったんだ」と気付かされるんですが、それまではやはりなかなかイメージできなくて。「こんなの死なないじゃん」って(笑)。
──「電磁結界」のシステムなどを聞くと、死なないゲームだと思いますよね。
山田氏:でも死ぬんですよね、意外と(笑)。
津田氏:最終的にはいいバランスに落ち着いたのかなと思っています。
──難易設定ではなく、プレイスタイルによって難しさが変化するゲームデザインは、刺激的でしたし魅力でもありました。
津田氏:そこまではしっかり考えて作っていたんですが、クードスが1000を超えるとモルフォが歌い出すというシステムに関しては、バランス面で心残りのある部分でして。元々は「ドキドキさせるシステムを用意したい」と考えていて、1000を超えると心臓音が鳴る、という形だったんです。でもあるタイミングで、「クードスに歌を当てはめたら面白いのでは」と思いついて、山田に歌を一曲作ってもらいました。
その感触が想像以上によかったので、モルフォが歌うシステムという形になったんですが……プレイした方なら分かると思うんですが、クードスが1000を超え、またその状態を維持し続けるのって結構難しいんですよね。後から加えたシステムだったので、ここのバランスだけはちょっとちぐはぐだったかなと感じています。もう少し優しいバランスで曲が流れてもよかったのかなと。
その点を踏まえて『爪』では、スコア清算率は低いものの被弾しても減らない「アパシー」や、逆に清算率は高いものの一度の被弾で0になる「レックスレス」、3回被弾するまで維持される「ティミッド」という3つのモードを用意し、より遊びやすくしてあります。
山田氏:ご褒美を難しいところに置く、というのはゲームバランス的にやってしまいがちなんですよね。初心者向けのアイテムを入手しづらい場所に用意する、みたいな(笑)。それに近いことをしてしまった感覚があったので、『爪』では調整が入って安心しました。
荒木氏:前作のシステムも、あれはあれで「1000超えよう!」というモチベーションに繋がるんですけどね。
津田氏:シンプルで分かりやすいので、前作のシステムもひとつの形かなと思います。そして『爪』では、色んなユーザーに楽しんでもらえるようにしましたので、前作と本作それぞれを出す意味がある形になったのかもしれませんね。いきなり『爪』のシステムだと、分かりにくかったかもしれませんし。
──前作の経験や反響が、『爪』に活かされているんですね。
津田氏:前作は、アクション初心者の方と上級者の人、それぞれを意識したシステムやバランスを心がけましたが、中級者向けのシステムはあまりなかったんですよね。なので『爪』では、そこも少し厚くしてみました。
──中級者に向けた要素を伺ってもよろしいですか?
津田氏:一例としては、「ノーマルスキル」の存在ですね。ゲージを使わないで使用できる「ノーマルスキル」というのがGVにあるんですが、これを探す遊びなどは中間層向けかなと思っています。ステージのあちこちを回って、見つける楽しさを味わえます。
あとアキュラで言えば、プログラムをどんどん増やせるチップを隠してあるので、それも見つけてみてください。……ぶっちゃけて言うと『ロックマンX』ですよね(笑)。
──ぶっちゃけましたね!(笑)
津田氏:あの辺りを参考にして(笑)。「隠しハンマー」を見つける楽しさとかは、中級者向けの遊びかなと。上級者になると、見つけたアイテムを駆使してタイムアタックに挑む、みたいな。前作は「簡単」と「難しい」の両立を中心にしていたので、『爪』では中間層にも向けて作ってみました。
──『爪』は、より多くの人に向けて作られた一作なんでですね。プレイできる日が楽しみです。
◆『爪』の結末は衝撃の展開!?
──ここからは『蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪』の様々な魅力についてお聞かせください。まず物語面ですが、前作は「スメラギ」という能力者を抑圧する存在が敵でしたが、今回は能力者連合が立ちはだかります。まったく逆の存在に立ち向かうという切り口は、ライトノベル好きな層をくすぐるなと思いました。
津田氏:前作の終わりの時に、あるキャラクターがそういう話(能力者側の結束)を少し出していたので、『爪』で戦う相手は自然な流れで決まりました。
──では『爪』の物語面に関しては、開発当初からある程度固まっていたわけですか。
津田氏:決まっていたかと言われると、ほとんど決まってない状態でした。前作の段階で、物語面でやりたかったことは全て盛り込んでいたので。
──前作の時点でやり切っていたため、続編で何を描くのか改めて悩んだと。
津田氏:続編で何をしたらファンの人が喜んでくれるのか、頭を捻りましたね。
山田氏:何をやっても蛇足感がありそうで(笑)。ネタ自体はあったんですけどね。
──ストーリーが固まるまで、どれくらいかかりましたか?
津田氏:開発が始まって最初の二ヶ月くらいは、物語をどうするか考えていましたね。そんな時ふと、「これならいけるかも」というオチを思いつきまして……ネタバレになるので、そこは説明はできないんですが(笑)。でも、蛇足ではない「続編の物語」になる手応えを感じました。
ちなみにそのオチを思いついた時、荒木さんとかは賛同してくれたんですが、一部の人間は猛反対に合いました(笑)。
──おお……それだけ衝撃的な展開なんですね。
津田氏:オチを見た時にみんながどう思うか、楽しみですし心配でもありますね(笑)。『ガンヴォルト』シリーズは、明るいハッピーエンドではなく、どこかビターな味わいを持たせたいんです。今回も、『ガンヴォルト』らしい、いい終わり方になっていると思います。
──それは『爪』でも引き継がれているんですね。手応えのあるエンディング、楽しみにしています。ちなみにゲームに落とし込んでいく中で、シナリオ面で削られた部分などはありますか?
津田氏:最初にいくらか削りましたが、それくらいですね。
山田氏:前作の時は、色々と盛り込もうとして大変だったんですよ。そのため開発終盤で削った部分があったんです。なので『爪』開発の時は、やりすぎないように最初から絞り込んでいました。……ですが、最終的には盛りだくさんな内容に(笑)。最初に整理しすぎたので、削りようがなかったんですよね。
津田氏:最後は削ぎようがなくて、大変なことになってましたから(笑)。
◆クードスの上限突破はユーザーへの挑戦状?
──それでは次に、『爪』でプレイアブルとなったアキュラについてお聞かせ下さい。
津田氏:アキュラですが、GVよりもテンポのいいアクションにしようと心がけました。ただ作ってるうちに、アキュラがどんどんと強くなってしまい(笑)、相対的にGVが地味になってしまった時がありました。もちろんその後、しっかり調整しましたけどね。
──敵のセブンスを使えるというアキュラの特長は、ゲームファンとしてはやはりグッと来るポイントですから、テンポよく楽しめるというのは嬉しいですね。
津田氏:まぁいわゆる「あの」システムですよね(笑)。
──まぁいわゆるそれですよね(笑)。ちなみにGVが『爪』でパワーアップした部分は?
津田氏:基本的なシステムを継承しつつ、新しいスキルの追加や、先ほど触れたノーマルスキルの存在がGVのパワーアップ部分になります。ノーマルスキルは、使用してもクードスが清算されないので、スコア狙いのプレイに組み込んでいくという楽しさがプラスされています。
例えばボスラッシュの時とかにノーマルスキルでとどめを刺すと、スコアがどんどん伸びていきますから。クードスが6000や7000とか溜まっていくのは、結構快感じゃないかなと思います(笑)。ちなみに前作では、クードスの上限が9999でしたが、『爪』ではそれ以上溜められるようになりました。10000越えは確認しています。
──ユーザーさんがどんな数字を叩き出してくれるか、こちらも楽しみですね。続いてはビジュアル面に関して伺いたいのですが、前作を経たことでGVの心境に大きな変化があったと思いますが、心境の変化はデザイン面にも影響していますか?
荒木氏:シナリオが出てきたのはデザインよりも後だったので、GVの成長といった部分をデザインに盛り込む意識はそれほどありませんでした。むしろGVのデザインは「変えなくていい」と言われていたんですが、デザインした本人的には納得できてない部分もあったので、その辺りに手を入れました。
あと、「ビルの上に立つ主人公」などの、ちょっとダークな雰囲気を持たせるような形を改めて起こしたいなという気持ちもありまして、『爪』のGVをデザインしました。全身が蒼だったので、ダークヒーローを想起してもらえるよう、ネイビー系の色も盛り込んであります。
──なるほど、そういった想いが新たな形になった新生GVなんですね。では、今回から登場する新キャラに関して、デザイン上で意識した部分などはありますか?
荒木氏:そうですね……『爪』が出ることでシリーズ化した形になったので、前作でユーザーさんが抱いたイメージを壊さないように意識しました。もちろん同じ事をやってもつまらないので、イメージを大事にしつつもプラスアルファを加え、より見映えが良くなるよう調整しました。
◆“シューティングゲームなイメージ”で作られていた『ガンヴォルト』の音楽、デザインのこだわりにも言及
──それでは、音楽面に関しても伺えればと思います。『ガンヴォルト』というゲームシリーズの音楽作りに関して、重視している部分などはありますか?
山田氏:まずは「スピード感」。そして「ノンストップ」ですね。アクションゲームというよりも、シューティングゲームのイメージで作っています。アクションゲームは地に足着けて進むというイメージですが、『ガンヴォルト』の場合、上手くなるほどガンガン進んで、通り過ぎてから敵を撃破する……みたいなプレイになるんですよ。
──なるほど。確かにそのシチュエーションは、シューティングゲームに近いテイストですね。
山田氏:そういう風に遊んで欲しいところもあるので、シューティングゲームを意識した音作りをしてますね。飛んでいる感覚を味わって欲しいというのが、コンセプトのひとつです。
あとはノンストップということで、流れを止めたくなかったんですよ。どんどんクロスフェードで繋げていきたくて、ローテンポだろうがハイテンポだろうが全て同じクリックで曲を作っています。
──1曲1曲が完成されているのはもちろん、ステージ全体を通して大きな1曲でもあるわけですね。
山田氏:そうですね。ステージ全体を組曲のように楽しんでもらうという試みは以前も行ったことがあるんですが、(『ガンヴォルト』で)やれたかなと思います。
ちなみに『爪』はダブル主人公です。普通は「同じステージを異なる主人公で楽しめる」という形が一般的ですが、本作ではGVとアキュラでプレイするステージはそれぞれ異なりますし、BGMもGVの方は従来に近くて、アキュラの方はアレンジを全て変えています。レイヴ系に近い感じですかね。
もちろんGVとアキュラでは、クードスで流れる歌も違うので、アクション性や物語だけでなく、音楽面でもひと味違うものを楽しむことができます。「違うゲームが2本入ってる」みたいな作品にしたいなと思って頑張りました。……何度か挫けそうになって、「それはやめようか」みたいな話も出ましたが(笑)、でもなんとか形になりました。
──GVとアキュラ、それぞれで異なるゲーム体験が楽しめるんですね。
山田氏:あともうひとつ言わせて欲しいのが、敵キャラクターについてです。前作の敵も個性的だったんですが、『爪』では輪をかけて個性的にしすぎてしまいました(笑)。
津田氏:前作であれだけやったので、『爪』ではもっと上回らないと、みたいな感じでやってましたね(笑)。
山田氏:例えば今回、ガウリというラップのリズムを刻んで戦うキャラがいるんですが、ラッパーのACE君にガウリの台詞を全部ラップしてもらったんですよ。それを声優さんに学んでもらって音声収録してもらいました。
あと、ニケーというロシア系のキャラがいるんですが、彼女はカタコトで喋るので、ロシア生まれのジェーニャさんをキャスティングした上で、ロシア訛りな感じで発音してもらったこともありました。こんな感じで、表現もキャラごとに拘ったんですが、そのためクセが付きすぎてしまったかもしれません(笑)。
津田氏:ちなみにジェーニャさん、別に日本語下手じゃないですからね?(笑) 上手なのに、わざとロシア語訛りを入れて喋ってもらったんです。
──では、そういった部分もデザインに反映されているんですか?
荒木氏:んー……いや、ないですね(笑)。そういう個性付けは田井が考えていて、デザインの段階では普通に喋る恰好いいヤツだと思ってます。だから、声が入った時に驚きます。「こんなヤツだったんだ!」って(笑)。
山田氏:デザインコンセプトとキャラコンセプトは、ちょっと別ですよね。特にデザインコンセプトは……これ言っちゃっていいのかな?
荒木氏:あれですよね。前作の時は「七つの大罪」がモチーフでしたよね。『爪』で同じ事やるのもどうかなと思いまして、今回は「童話の女の子」をモチーフして盛り込んでみます。キャラクター性とはちょっと違う部分ですよね。
山田氏:童話モチーフのテイストがあって、そこから転じた性格をそれぞれが持っているんです。だから、一段階踏んだキャラクター造詣なんですよ。
──関連性があった上で、ひと味違う仕上がりになっているんですね。
山田氏:前作の時は、「七つの大罪」だったので、モチーフと性格付けがイコールに近かったんです。なので、音楽とデザインとキャストの声がひとうのコンセプトで通っていたんですよ。でも今回はちょっと複雑で、全体的にヒネりのある感じになっています。出身も様々なので、音楽的にもちょっと民族色が感じられると思います。テンジアンだとちょっと中国風だったりと。
──そういった民族的な拡がりも、前作とは違う音楽面のひとつと。
荒木氏:ちなみにキャラクターをTwitterとかで公表すると、モチーフになった童話がバレちゃったりしてますね。バレるまでは「そうじゃないんだなー」みたいな気持ちで楽しませてもらってます(笑)。
◆『ガンヴォルト3』の構想は? 今後の展開は!?
──ここまで、『爪』でパワーアップした面をたっぷりと聞かせていただきましたが、仮に『3』を作るとしたら、これを更に超えてるのは相当大変になりそうですね。
津田氏:モルフォとかどうなるんだろうね。
荒木氏:全ては津田さん次第なところがあるので、僕は知りません(笑)。
山田氏:そもそも『3』でGVいるんですかね?
津田氏:そこもありますよね。『爪』は『爪』で、なんだかんだありながらも物語として綺麗にまとまっているんですよ。だから次どうするのと聞かれたら、まったく違う世界にするのもアリかもしれません。300年後くらい先がいいんじゃないかなって僕は思います。ただ、この話をするとみんな冷たいんですよ(笑)。
──津田さんの気持ちも分かりますし、周りの方々の反応も納得できますね(笑)。ちなみに『爪』で実現できなかったことはありますか? それを『3』でやってみたい、みたいな。
津田氏:実現できなかったというと大げさなんですが、最初企画を立てた時に「プレイヤーキャラは3人にしよう」って言ってたんです。でも開発に入る以前の段階で「それは無理」とハネられまして(笑)。
なのでもし『3』が出るとしたら、それも再考してみたいですね。とはいえ、現時点では全然何もありません(笑)。『1』はいくつか考えていたものがあって、そこから作り上げていったんですが、今回の『爪』ですら、最初はほとんど何もありませんでしたしね。
荒木氏:何も決まってないのに、ボスのデザインだけは始まってましたからね(笑)。
山田氏:ロロに和風な要素があるというのもあんまり理解してなくて、曲が出来上がった後にその話を改めて聞いたんです。で、それを前提として聞いてみると、結構ハマってる感じだったので、「ああ、良かったな」と思いました(笑)。
津田氏:知らなかったんですか!(笑)
山田氏:作詞を担当した人がデザインから読み解いてくれたようで。「これ、巫女デザインでしょ?」みたいな。
荒木氏:おお、そういう形で伝わっていたんですね。デザインでモメた甲斐がありました(笑)。
山田氏:色々あったけど、最終的には収まるところに収まってくれた感じになりましたね。
──『3』も、そういう形で上手くハマってくれることを願ってます(笑)。ちなみに続編ではなく、『爪』自体の今後の展開などはありますか?
山田氏:前作ではコンサートなどやらせていただきましたが、最初から決めていたわけではないんですよね。前にお話した通り、イベントでの成功がきっかけとなって動き始めたわけでして。だから『爪』の展開も、ネタやタイミング、ユーザーさんからの要望がハマった時にやれればなと考えています。
津田氏:前作関連ではアニメ化が進んでいますので、そちらも楽しみにしてもらえると嬉しいです。今、すごくチェックしてます(笑)。
──『ガンヴォルト』『爪』ともに、今後の展開も楽しみにしています。それでは最後になりますが、読者の方々に向けたメッセージをお願いします。
津田氏:シナリオ、アクション性、キャラクター、音楽、いずれも高いレベルでまとまった作品になりました。特にシナリオは、“アクションゲームなのに泣けるストーリー”に挑戦しましたので。こういうゲームはあまりないと思うので、ぜひ最後まで遊んでもらって、本当に泣けた時はTwitterに「泣けた!」と書いてもらえると嬉しいです(笑)。ともあれ、楽しんでいただければなによりですね!
荒木氏:僕も、お話を楽しんで欲しいと思ってます。イラストやデザインというのは、その入り口でもありますから。そこから入った新しいユーザーさんが、物語を楽しんでくれれば幸いです。あとユーザーさんがTwitterとかで、『ガンヴォルト』のイラストとか書いてくれてるのを見ると嬉しいですね。結構見てたりするので(笑)。『爪』や「ストライカーパック」をご堪能ください。
山田氏:自信作になったと思います。『ガンヴォルト』から『爪』になったことで確実にパワーアップしてますし、前作でちゃんと終わった物語にしっかりと上乗せする形で新たなストーリーが紡がれています。前作を遊んだ人にも気になる内容になってますし、初めて遊ぶ方は「ストライカーパック」で一気に楽しむ絶好の機会なので、『ガンヴォルト』世界にたっぷりと満喫してください。
──本日はありがとうございました!
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