読者の皆様、立秋と言えば八月八日頃で、これを過ぎた後の暑さを残暑と言います。まだまだ残暑が厳しい日差しに照らされるよりも屋内でゲームをやりましょう!さて、ゲームといえば海外製作の作品が特に取り沙汰されている昨今ですが、今回の記事では国内を中心に有名なものから隠れた良作まで、無料故に手に取りやすい「10本のフリーゲーム」を皆様にご紹介致します。


さあそれでは!有料ゲームを食いかねないほどの品質を持ったフリーゲーム10選始めますよっ!

◆『ざくざくアクターズ』
制作者:はむすた 配信:2012年開始
制作者サイト:はむすたブログ http://hamusuta.blog-rpg.com/
配布サイト: http://hamusuta.blog-rpg.com/Category/3/

――ハグレ者のお仲間ざくざく!
『ざくざくアクターズ』は「舞台となる世界では召喚技術が発達しており様々な者達が連れてこられたが、余剰するほど召喚された末“ハグレ”と呼ばれるやることもない“召喚人”が溢れてしまう。彼らが迫害を受けた結果、暴徒と化し国家と戦争をして国々が疲弊し、そして時は経ち騒乱は落ち着いたようにみえたが…」という流れで物語が始まるRPGです。本作の目的は「ハグレ達を集めて新たな国家を作る」というもの。シンボルエンカウントで始まる戦闘ではHP・MPに加え、行動を取る度に貯まる「TP」という特殊な行動ポイントを採用しています。「TP」によって発動する特殊行動ではここぞという時のものから普段の戦闘で使用出来る汎用性のあるものまで様々な種類があり戦略の幅を広げてくれます。また本作はアイテム収集(図鑑も有り)や王国運営、キャラクター育成にパーティ編成などやりこみ要素の強いゲームで、戦闘や会話のペースも非常に心地よいテンポでかなり遊べる作品となっております。

◆『巡り廻る。』
制作者:耕(コウ) 配信:2010~2011年開始
制作者サイト:ゲ製うんかん。 http://rebellionrpg.blog80.fc2.com/
配布サイト: http://rebellionrpg.blog80.fc2.com/

――めぐりめぐってウン十時間!
通称“めぐめぐ”(タイトルの読みが“めぐりめぐる”の為)こと本作はフリーゲームファンの間では有名作品ですが、こちらは最初にキャラクターメイキングが可能で一見ローグライク、その実戦闘は行動順が可視化されていて隊列の概念があったりと、分類されるとすればRPGとなるでしょうが、一筋縄ではいきません。また、本作には1993年にARTDINKが開発した『ルナティックドーン』の影響を感じさせる要素もあり、冒険者へ向けた魔物の討伐依頼などが特徴的です。キャラクターが弱い最初の内は戦闘を避けて配達などの簡単な依頼をこなしてみるのも良いでしょう。そしてそのうちどっぷりとハマってウン十時間費やすことに……!

◆『帽子世界』
制作者:えぬ(RPG探検隊) 配信:2013年開始
制作者サイト:RPG探検隊 http://rpgex.sakura.ne.jp/home/
配布サイト: http://rpgex.sakura.ne.jp/littleworld/download.html

――帽子の個性は少女と世界の個性!
本作では六人の主人公から一人を選択して物語を進行させるRPGです。
この世界には“管理人”と呼ばれる世界の創造主が存在します。管理人達は目の模様が入った帽子を被っており、帽子は管理人から生まれた帽子の力によって世界が作られます。主人公たちはそれぞれの世界を司っていて、例えば“ドーラ”という主人公のひとりは「玩具の世界」を受け持っています。移動は横スクロールアクションで、シンボルエンカウントにて戦闘に入るとコマンド式戦闘になります。そのほか、隊列の概念や必殺技のコンボ要素も盛り込まれている上、ストーリーラインまでかなり作り込まれた奥深い作品となっています。

◆『混沌のルーシー』
制作者:ジスカルド・アンディーメンテ 配信:2015年開始
制作者サイト:まおうせい http://andymente.moo.jp/
配布サイト: http://sky.geocities.jp/hersky9999/sd2.htm

――ねえルーシー教えてよ空で花を見たか
基本プレイ無料ですが、ゲーム内課金も可能なフリーゲームとして新たなる可能性を切り拓く本作。とは言え、課金なしでも全く遊べます。基本システムは非常に独特で、カードバトルノンフィールドRPGとでも呼びましょうか、ダンジョンに潜る際に「カードを消費して行動を取りながら進む」といった感じです。例えば“足”のカードを使ってダンジョンの中を進み、敵とエンカウントすれば“指”を使ってダメージを与えるといった具合。本作はいわゆるフィールドが登場しない“ノンフィールドRPG”というカテゴリーにある作品ですが、シンプルであるが故についつい時間を忘れるような中毒性があります。

◆『四月馬鹿達の宴 』
制作者:西高科学部 配信:2010年開始
制作者サイト:西高科学部 http://www.geocities.jp/nishikou_kagakubu/
配布サイト: http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se485729.html

――四月馬鹿達よ永遠なれ!
独特な台詞回しが特徴的な、アドベンチャー色の強いRPGです。様々な国や土地を探索することで物語が進みます。
サブイベントが豊富でメインストーリーそっちのけでプレイしてしまうこと間違いなしでしょう。また、エンディングも一つではなくキャラクター育成の要素もあるのでやり込みたい人にもうってつけとなっております。台詞回しの中には、ひょっとしたら好き嫌いが分かれるものもあるかも知れません。「四月馬鹿達よ永遠なれ!」……こんなフレーズがお気に召したのであれば、この宴にずっと参加していたくなることでしょう。

◆『雪道』
制作者:ステッパーズ・ストップ 配信:2005年開始
制作者サイト:ステッパーズ・ストップ http://stst.cocot.jp/index.html
配布サイト: http://stst.cocot.jp/mygame/mygame.html

――行く道、もう、戻れない道
本作は“ノンフィールドRPG”として今なお高い評価を得ています。思いつきそうで思いつかなかったシステムやテキストの雰囲気など、非常に軽妙で素晴らしい出来上がりとなっております。基本的なシステムは「進む」だけ、敵と出会うと「戦う」か「逃げる」だけ。死ねばそこで終わり。歩き回れるフィールドはなし(このことからノンフィールドRPGと呼ばれる)と、とことんシンプルながら非常に中毒性の高い作品です。あなたは雪道の果て、どこかに辿り着くことが出来るでしょうか?ゲームフォルダに出力される“レポート.txt”を振り返り、自身の旅路を思い返してみても良いでしょう。

◆『少女と囚人のジレンマ』
制作者:ステッパーズ・ストップ 配信:2003年開始
制作者サイト:ステッパーズ・ストップ http://stst.cocot.jp/index.html
配布サイト: http://stst.cocot.jp/mygame/mygame.html

――すきときらいの合わせ鏡
『少女と囚人のジレンマ』は“仲良しテスト”のカードの出し合いっこをする作品です。お互いに好きカードと嫌いカードを出し合い、その組み合わせで“トク”というポイントが変動します。
好きと好きならお互いにプラス一点、好きと嫌いなら嫌いを出した方がプラス三点で好きを出した方がマイナス二点というような感じで、最終的に相手のポイントを上回れば勝ちという内容……ですが、たったそれだけのシンプルな内容には作られていません。奥深い駆け引きゲームかと言われれば高度な戦略が求められるわけでもありません。本作においての奥深さとは、ストーリーテリングの妙です。是非プレイして紐解いて下さい。少女と囚人のジレンマを。

◆『撃破伝』
制作者:宮本 完成版配信:2005年開始
制作者サイト:倉庫その二 http://hp.vector.co.jp/authors/VA019938/
配布サイト: http://hp.vector.co.jp/authors/VA019938/adgeki.html

――唯一無二電子射撃遊戯
本作はとても独特な横スクロールシューティングゲームで、スクリーンショットを見て貰えばすぐにお分かりになることでしょうが、なんと全ての要素が「漢字」で表現されています。ゲーマーにはおなじみのサングレア(日光が図形を描いて連なる演出)すらも漢字の文字サイズや並び方での演出で実現しているのです。ただそれだけなら奇をてらった作品でしかないでしょうが、肝心のプレイフィールも優れており、ロックオンシステムなどの搭載や非常にハイスピードな展開も備えてた、射撃感も気持ちいい傑作シューターとなっております。その上巨大ボスまで居るのだからもう堪らない!

◆地下99階のロンド -Mistake Lv99-
制作者:樹ひかり 配信:2010年開始
制作者サイト:ARTIFACTS http://artifacts.xii.jp/
配布サイト: http://artifacts.xii.jp/products.html

――1階から地下99階へ戻るはめに!?
二人の冒険者が地下ダンジョンから生還しようとしたそのとき――!といった具合で始まる、さくさく読めてしまう(大体二十分かそこらで終了する)短いビジュアルノベルです。全体を通して繰り広げられるのは会話劇ですが、テキストの軽妙なノリが実に素晴らしく、かつ後書きにある製作の裏側にも驚くこと間違いなしの作品です。会話劇であること、そこで好き嫌いが分かれるかも知れませんが、筆者はとても好ましく思いながらプレイしました。

◆『Digital - A Love Story』
制作者:Christine Love 配信:2010年開始
制作者サイト:LOVE CONQUERS ALL GAMES http://loveconquersallgam.es/
日本語版配布サイト: http://scoutshonour.com/digital/jp.html

――旧いwebを通した、愛に関する、物語
今回の特集の中で一点だけの黒船(海外製作品)で制作者のChristine Love氏は、この他にも『Analogue: A Hate Story(2012年からSteamで販売中)』などを手がけられています。
本作は処女作ではあるのですが、意外にもその仕上がりはなかなかに洗練されたもの。作品自体はオールドインターネットを舞台にしたアドベンチャーに分類されますが、かつてのインターネット体験(本作のベースは海外ですが)を追体験出来るようなメカニクスがあり、あの頃のインターネットを知らなくてもどこか懐かしい気持ちになることは間違いないでしょう。二転三転する展開、敢えてアナログな入力を採用しているという点、いずれも作品世界に深みを与えています。また、日本語版翻訳者である『伊東龍』氏にも惜しみないリスペクトを感じる作品でした。

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いかがでしたか? 無料だからといって決して有料ゲームに劣らない作品群ですが、興味を惹くものがあれば是非プレイしてみて下さい!どんな作品であれ、あなたのゲーム体験に深みが増すのは間違いないのですから。
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