読者の皆様、昨今のゲームではフォトリアリスティックなグラフィックによるドラマチックな作品も随分増えましたね。今回の記事では写実的なグラフィックではない作品、それもドット絵の名作Steamゲーム・RPG&ADV編を7選して皆様にお届け致します。


まずはRPGから16bitより愛を込めてライツカメラアクティング!

◆『Undertale』 価格:980円
開発元:tobyfox 開発年:2015年 ジャンル:RPG

――愛と狂気
超有名タイトルとなった本作ですが、グラフィックはドット絵を採用しています。それ故の暖かみや、想像力への働きかけが見事に作用した傑作と言えるでしょう。マルチエンディングを採用している本作の物語は、愛にまつわり、そして狂気も鮮やかに描いています。本作が幅広く受容されている背景にはその多様性があるといえるでしょう。そしてその多様性は多くの二次創作などの発展にも見受けられます。本作は有志翻訳MODによって日本語でプレイする事も可能なので、未プレイの方は是非プレイしてはいかがでしょうか。
※Modの導入は自己責任でお願いいたします。ゲームデータのバックアップは忘れずに

◆『Anodyne』 価格:980円
開発元:Sean Han-Tani-Chen-Hogan and Joni Kittaka 開発年:2013年 ジャンル:RPG

――喪失感を引き連れた旅路に
オールドスクールなゼルダライクRPGである本作は、喪失をテーマに描いた名作です。「鎮痛剤」を意味するタイトルを持っており、それが意味するのは何なのだろうとプレイヤーに問いかけてきます。ゼルダライク、と言うだけあって、様々なパズルは往年のゼルダシリーズに通ずるメカニクスを持っています。本作は、たった二人の大学生が名作を作り上げた、そういった点からも注目を浴びました。

◆『LISA』 価格:980円
開発元:Dingaling 開発年:2014年 ジャンル:RPG

――耐え難い痛みとその果て
男しか居ない世界で、たった一人の赤ん坊、それも女の子の赤ん坊を見つけたところから物語は始まります。
主人公は幼少期のトラウマでドラッグ中毒者、その他の登場人物もどうしようもない面を持った個性溢れる面々ばかり。そんな作品世界は痛みで溢れていて、ゲームプレイも痛みを感じる難易度、例えばセーブポイントが有限であったり、一度ゲームオーバーになればかなり巻き戻されるなどの要素を持っています。そんな苦痛の果て、迎える終点に心を揺り動かされることは間違いないでしょう。本作は有志による日本語化MODもあるので是非プレイして欲しい作品と言えます。
※Modの導入は自己責任でお願いいたします。ゲームデータのバックアップは忘れずに

◆『One Way Heroics』 価格:350円
開発元:Smoking WOLF 開発年:2014年 ジャンル:RPG

――いくぞワンウェイついて来い
『片道勇者』というタイトルでもある本作はひたすら東へ東へと進んでいく、後戻り不可能なデザインになっている作品です。ローグライクな要素もあり、やり込み要素も豊富で、死んでも様々な要素が引き継がれます。横スクロールローグライクRPGという新たなジャンルを興した本作は、プレイするハードルが低いので様々なプレイヤーを許容するでしょう。その上お値段もお安く手に取りやすいです。度重なるプレイとデスを繰り返すのが苦痛ではない、むしろもっともう一度と繰り返してしまう名作です。

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◆『2064: Read Only Memories』 価格:1,980円
開発元:MidBoss, LLC. 開発年:2015年 ジャンル:ADV

――近未来サイバーパンクSF
近未来のサンフランシスコを舞台に、失踪した友人が所有している「Turing」というロボットに導かれ、その友人の足取りを追うという導入から本作は始まります。グラフィックやアドベンチャとしての手触りは「PC-98」時代の作品に近く、意図的に寄せられていて、一定以上の年齢の方は懐かしさを覚えるでしょう。
本作は公式に日本語化されるアナウンスがなされているので、日本語を待ってから買うのもありですが、一足早く物語や世界観を堪能したい方は是非待たずともプレイしてみてはいかがでしょうか。スラングなども多用されていますが、登場する英文は割と平易な方です。

◆『Replica』 価格:298円
開発元:Somi 開発年:2016年 ジャンル:ADV

――ひとつの端末から見えるドラマ
本作でプレイヤーは、テロの容疑が掛けられた青年のスマートフォンを操り、その端末からテロ容疑の証拠を見つけることを国家機関から命じられます。そしてその捜査の過程、つまりスマートフォンを覗き見る事により、一人の人間の個人情報を通じ、持ち主の人生が浮かび上がる構造を持ちます。その浮かび上がった人生は、悲喜こもごもで私達の心を揺さぶります。また、本作では、スマートフォンを通じて人生を覗き見る構造に対し、更に物語面でのツイストが加えられていて、非常に奥深い作品となっていると言えるでしょう。

◆『Dropsy』 価格:980円
開発元:Tendershoot, A Jolly Corpse 開発年:2015年 ジャンル:ADV

――愛を求めるピエロのハグとキス
本作においては台詞に値する文章が一切登場しません。どうやって登場人物の心情を表現しているのかというと、吹き出しに表示される絵(アイコン)よって表現されているのです。そのように“感じ取る”ことが重要になる本作は、非常に感受性を刺激してくれる作品です。ピエロの主人公と、それを取り巻く様々な街の住民、動物との心のふれあいは、時として厳しく、時として慈しみを持って接せられ、プレイヤーの心を揺り動かすでしょう。終盤においては怒濤の展開が待ち受けており、その展開はプレイして体験する価値があると言えます。

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皆様いかがでしたでしょうか?ドット絵だからこそ想像力を刺激されドラマが広がる、そんな気がしませんか?それこそがドット絵を採用したゲームの魅力なのです。
写実的なゲームが溢れる今だからこそ、敢えてドット絵作品を楽しんでみてはいかがでしょうか。きっと思っているよりもずっと素敵な体験になりますよ!本稿ではRPGとADVと扱いましたがドット絵の名作Steamゲーム・アクション編を7選した記事もありますので興味があれば読んで下さると嬉しく思います。それでは皆様、多様性のあるより良きゲームライフを!
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