プレイステーション黎明期の1995年から1996年にかけて発売された『アークザラッドI・II』は、「大崩壊」というあまりにも衝撃的なラストが今日まで語り継がれる名作。以後もシリーズが続きましたが、『R』では『I』と『II』を手がけたオリジナルスタッフが集まり、およそ23年ぶりに大崩壊後の世界を描くことからファンの期待が多く寄せられています。
左から順に、はやしひろし氏、小山英二氏、米坂典彦氏、土田俊郎氏、富士河賢弌籠(藤川健)氏、西川ヤスヒロ氏、ツカモトシンタロウ氏
8月某日、『I・II』を生み出したオリジナルスタッフらと共に、『R』の開発陣が都内某所に集合し、特別座談会を開催。なぜ『I・II』の続編なのか、スマートフォン向けに制作されたのかなど、往年のファンが気になる開発の経緯や現在の仕上がりについて語ってくれました。また、最後はファンへのご褒美も頂きましたのでお見逃しなく!
新作は『I・II』のオリジナルスタッフが参加して制作
――『アークザラッド R』における、皆さんの役割と担当箇所について教えてください。まずは『I・II』の制作にも参加された原作の皆さんからお願いします。
土田俊郎(以下、土田)私が企画・原案・ゲームデザインを担当しています。『R』を作り出す上での世界観やゲームデザイン全てを統括しています。
米坂典彦(以下、米坂)世界観やキャラクターの設定、シナリオなどのテキスト周り全般を担当しています。小山さんやはやしさんが描いたものをテキストにする役割ですね。
小山英二(以下、小山)アート原案・監修を担当しています。土田さんや米坂さんらと共にキャラクター設定や発案に協力しています。
はやしひろし(以下、はやし)同じくアート原案・監修を担当していて、世界観の設定にも協力しています。背景アートデザイン全て、あとはメカデザインや一部のNPCもデザインしています。
――続いて『R』から開発に参加されている皆さんお願いします
富士河賢弌籠(藤川健)、(以下、富士河)『R』のアートディレクションを担当しています。土田さんらから出てきたシナリオや発案を元に打ち合わせを行い、『I・II』から『R』に落とし込んだ際のキャラクターから背景までビジュアルの全てを統括しています。実は土田さんたちも最初は知らなかったのですが、私は『I』の動画の編集を少しだけお手伝いした縁があるんですよ。今回お声かけいただいた時に不思議な運命を感じましたね。
今作はドット絵の作品を3D化することもあり、様々な部分の再現作業に気を配りました。特にキャラクター周りは原作の皆さんおよび、今作のキャラクターデザインの西川さんと相談し、3Dモデル化までを見越しながら進めて来ました。
西川ヤスヒロ(以下、西川)『I・II』のキャラクターのリデザインや今作の主人公・ハルトやヒロインのミズハなどの新キャラクター、あとモンスターを含めた全てのキャラクターデザインを担当しています。今作のキービジュアルアートも描きました。
ツカモトシンタロウ(以下、ツカモト)3Dデザインチームのまとめを担当しています。
『I・II』から『R』に至るまでの流れ
――『R』の世界観やキャラクターがどのように作り込まれて来たのか、『I』と『II』は主人公ハルトやヒロインミズハなどの新しく紡がれるキャラクターにどう繋がっているのかを、皆さんにそれぞれの観点でうかがいます。まず、『I・II』は原作の皆さんにとってどんな作品だったのでしょうか?
企画・原案・ゲームデザインを担当する土田俊郎氏
土田『I・II』を作っていたのは原作メンバーが20代の頃で、僕も29歳から30歳の時です。プレイステーションが世に出たタイミングで(1995年)、シミュレーションRPGの大作として推して頂いた作品でした。
小山最初はそんなに大作を作ろうということではなかったのですが、開発段階から評判が良かったので、どんどん世界観が広がっていった。結果的に意図していたのとは違った形で出してしまったところもあるのですが、遊んでくれた方からは「ボリュームが全然無い」、「短い」と散々言われたんですね。
その分、『II』で納得してもらえるように全てを注ぎ込もうと、大作の名に恥じない作品にするため、町を全部作って、NPCのストーリーも入れて、ハンターギルドのクエスト100個入れるなど、土田さんも「そこまでやらなくていい」というところまで詰め込みました。
アート原案・監修を担当する小山英二氏
――『II』ではアークからエルクに主人公が変わりました。
土田「『I』と『II』が同じ主人公だった場合、『I』をプレイしない人もいるだろうな」と思ったんです。だから、『II』から始めることも前提にしたかった。一方でプレイステーションは、それまでとセーブデータの保存方法が変わり、メモリーカードで抜き差ししてデータを外に持っていける。
『II』は別の主人公でストーリーを進めていく中で、『I』のキャラクターたちと途中で出会うと面白いと思ったんです。
小山一見すると別ゲームのように始めたかったので、ハンターギルドのシステムを入れて、主人公はハンターとして賞金首になったアークを追いかける話になっています。
――それではなぜ『I』と『II』の続編から『R』は始まることになったのでしょうか?
土田『II』のエンディングは自分たちでも「本当にこのままやっちゃっていいのかな?」というぐらい衝撃的な最後でした。あの終わり方が良い意味でも悪い意味でもプレイした人の心に刺さったので、自分たちにとっても最後まで描き切れたという達成感はあったんです。
『II』はハッピーエンドではなかったですが、そこには希望も織り込んだつもりなので、もしもアークザラッドの新作を作る機会があるのならば、『II』のエンディングから希望の話を伝えたいなと。
そこはキービジュアルにも現れていて、『I・II』は最終的に大崩壊が起こるストーリー。そこを示唆する意味もあって日暮れに移っていくようなオレンジ色をイメージして作ってもらっています。それに対して『R』は復興していく話なので、一旦日が沈んだ後に再び日が昇ったような明るい色合いになっています。
『I・II』のキャラクターのリデザイン、今作の主人公・ハルトやヒロインのミズハなどの新キャラクター、モンスターなどを含めた全てのキャラクターデザインを担当する西川ヤスヒロ氏
西川『R』のキービジュアルのミルマーナですけど、大崩壊で大陸のほとんどが沈んでしまって傷跡が残っている設定ですが、ひいて見れば南国の島国のように見えても良いんじゃないかと土田さんの考えを受けてデザインしました。
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新作を作るなら『I・II』を超える作品でなければいけない
――プロジェクトスタートの経緯を教えてください。
土田世界観とリンクしたゲームシステムが体験できるようなシミュレーションRPGの企画を温めていたのですが、そんな時に今回のお話をいただき、それならば『I・II』の続編をやりたいと提案して開発がスタートしたんです。
多くのファンを抱えるアークザラッドだからこそ、『II』でエンディングを迎えた世界を再び現在に蘇らせるために、まずは世界観の再構築をする必要がありました。
そこで、自分一人だと覚えていないこともあるので(笑)、当時のメンバーに声をかけました。皆が集まってまず話したのは「あのキャラはエンディング後にこうなっていたらいいよね?」というキャラクターの未来の姿です。
大崩壊後から10年という時間が経っているので、登場当時は暴れん坊だったり、怠け者だったりしたキャラクターも、アークから世界を託されたのだから一本筋を通して生きていると思うんですよ。アークザラッドのリリースから20年以上経って原作メンバーもいい年齢になりました。そんな自分達だから作り出せる、大人になった『I・II』のキャラクター達を描きたかった。
人間を描くアークザラッドとして、ファンと共に経過した時間の意味を一緒に見つめ直してみたいという、一つの挑戦でもありますね。10年の中で『I・II』のキャラクターも立場や考えが変わっています。その移り変わりも含めて、ファンには驚き、楽しんで欲しいと考えています。その分、『R』は新しく始める人でも入って行けるように、主人公ハルトやヒロインのミズハたち新キャラが、迷ったり苦しんだりしてがむしゃらに戦う姿を描いています。
シナリオなどテキスト周り全般を担当する米坂典彦氏
米坂最初にお話をいただいた時は、まず大崩壊後を描く大変さが頭に浮かびましたが(笑)、やるならば『I・II』を超える話を作らないといけないと思いました。暗めな終わり方だったので、『R』は復興を目標にした明るい話で進めるというテーマもありましたし、『I・II』のキャラがどんなふうに成長したのか、どんな思いで今までやってきて『R』に登場する形におさまったのかをていねいに描こうと、今も一生懸命書いています。
小山それと、アークザラッドのアート部分の世界観は、はやしさんによるところが大きいのですが、もう一度やるなら当時は容量の都合などで諦めざるを得なかった、本当にやりたかったことをできるだけやろうと決めました。
はやし『I・II』ではアララトスの遺跡ダンジョンなどは入り口が出てこなかったですし、設定では一攫千金を狙って冒険者が集まって来る地なのに、チョンガラの店しか表現されていませんでした。そういったところを『R』ではていねいに描きたくて、土田さんからもらった国ごとの資料を見ながら、「こういう絵を出したい」とたくさん提案しました。
土田当時は描いていなかった遺跡ダンジョンの入り口やラマダ寺の内側を描くと決めた中で、「だったら、事件が起きなきゃダメだよね?」と話の展開も広がって、世界観が固まってやりたいことも具体的になったんです。
全てのキャラクターが★5に進化、愛着を持ってプレイができる
――『R』では一人のキャラクターを★3の状態から最大レアリティの★5まで育成できますね。
土田シリーズを通して愛していただいているファンの方々がいますので、最初の構想段階から全てのキャラクターを最大レアリティまで育てられるようにしました。バトルではキャラクターごとに特徴があって、どういうデッキ構成にするかを考えるのが面白いんですよ。
また、『II』のエンディングから現在までどのような出来事があったかを楽しめるように、メインストーリーとは別にキャラクターストーリーを用意していこうと考えています。
今回は全てのキャラクターに★3、★4、★5があって、進化させるとグラフィックが変わります。これは時間軸にしていて、『I・II』のキャラクターに関しては、当時の姿である★3から現在の姿である★5の姿になっていく。逆に『R』の新キャラクターは、ゲーム登場時は★4ですが、キャラクタークエストで描かれる過去のお話では★3の姿になっています。その後、成長することで★5の姿になるということを考えて作っています。
レアリティが上がると単に絵が派手になるだけでなく、このキャラクターはこういう風に変わっていく。あるいは昔はこんな人だったというのが込められています。
西川よく見ると、段階ごとに表情も違います。とくにトッシュは過去と現在では目つきが全然違う。あの荒れくれ者のような感じだったのが穏やかになっています。年齢的にももうお父さんの世代ですから。
次のページ:2Dから3Dになったことで大きく進化した『R』
2Dから3Dモデルになった世界観でも「アークザラッドっぽさ」を追求した
――新旧メンバーで議論した結果、表現方法として3D化に挑戦することになったとお聞きしました。
土田全てを3Dで表現しているわけではなく、2Dで見せた方が世界の奥行きが伝わるところは、原作同様2Dの持ち味を生かして背景を描いてもらっています。空港やラマダ寺門、闘技場ロビー、遺跡ダンジョン内部、バンザ山の存在など『I・II』からの印象を引き継ぐ部分。遺跡ダンジョン外観やラマダ寺内部など掘り下げる部分。ミルマーナのメガフロートやアルディア帝都、ニーデル外観など新たに加えるところ。
大きく3つに分けたアートを起こしながらストーリーの舞台としてどう使うかを考え、キャラクターによってストーリーが展開していく2D/3Dのマップに落としこんでいきました。
小山2Dのマップができるところまでは、原作メンバーで煮詰めました。『I・II』の雰囲気そのままですけど、相当情報量が増えていると思います。2Dマップは私が作成して、シナリオと見合わせながら、ゲーム上ではどういう表現をするかのところで、富士河さんに参加していただき、1つ1つのシーンを完成させていきました。
アートディレクションを担当する富士河賢弌籠(本名:藤川健)氏
富士河旧作のドット絵から3Dに落とし込んだ時に、動きや見た目をアークザラッドに近づけることが大変で。『I・II』のキャラクターをどう動かすか、どういうカメラアングルにするか、背景をどう見せるかなど悩みましたね。『I・II』は2Dだったので、それを3Dにした時にやはりパースもつきますから、往年のファンの方に「昔のアークザラッドだな。でも3Dになって細部まで描かれているな」と思ってもらえるように、どういう表現をしていくかで議論を重ねましたね。
『アークザラッド』お馴染みの空港
小山たとえば、おなじみの飛行艇に乗る空港のシーンですが、背景は私が2Dを描いているんですけど、富士河さんたちのほうで動的な部分の雲の動きやキャラクターを3Dにしています。2Dの背景の上で3Dのキャラクターがお芝居をしているわけですね。
土田2Dじゃないと出せない情報量があるんです。でもただの絵になっちゃうといけないので、「どうやってキャラクターを動かすんだ?」という話になった時に相当苦労してもらっています(笑)。カットシーン会議を何度もしました。
西川2Dであることによって、キャラクターに親近感が持てる気がするんですよね。昔のゲームが長くそうだったという歴史があるので。
富士河2Dだからできていたことを3Dに持って来てどう作るのか?しかも、イベントシーンや国のシーンなど数が相当あるので、「どう表現していくんだ?」というのは、意見が行ったり来たりを繰り返しました。今時のスマートフォンゲームはテキストだけですませてしまうことが多いのですが、『R』はコンシューマーゲーム並みにカットシーンが多く、「アークザラッドっぽいよね」と言ってもらえるシーンの再現に時間をかけています。
米坂『R』はバトルシーンだけでなく、ストーリーシーンが本当に見所です。スマートフォンゲームでこんなにムービーを入れているのはなかなかない。しかも、1つ1つの映像が長いと思います。相当短くしたと思うんですけど(笑)。
土田後から文章で説明すれば良いので、ここはカットしてもなんとなく分かるからと短くしてカットシーン組んでもらっても、まだ長いと言われる(笑)。
富士河だいたい僕が言います。2Dと3Dを融合したシーンもありますし、3Dだけのシーンもあるので、テキストが長いとその分、モーションや背景、エフェクトを作ったりする手間がかなりかかるので、「土田さん!ちょっと短くしてください」というやり取りを良く飲みながらやっていました(笑)。
3Dによって格段に表現力が上がったバトル
――3Dにしたことでバトルにはどのような変化があるのですか?
トッシュの必殺技「桜花雷爆斬」
富士河『R』は3Dなので『I・II』のゲーム画面をとある手法で再現しています。スマートフォンのスペックも上がってきましたので、3Dにすることでエフェクトやモーションなど、派手な演出も可能になりました。
土田ただ、3Dにしたことですごくリッチな表現になったのですが、普通に3Dでユニットをフィールドに置いて上から映すと、実は『II』みたいな画面にならないんですよ。そこは色々と工夫した部分です。
普通にマップの上にユニットを置いても後頭部しか見えないんですけど、『II』は上から見ても、ちゃんとユニットの表情や動きが見えるじゃないですか。どうしたかというと、当時のキャラクターデザインの国末竜一くんとはやしくんが、上から見た時にキャラクターは少し寝かせたような、それでいてマップ上に立っているようなドット絵を描いてくれていたんですよ。
富士河できたものを見ていただくと、「アークザラッドっぽさ」を体験していただける仕上がりになっています。『I・II』にもあったジャンプもちゃんと入れていて、色んな動きを細かく作っているんです。
土田『I・II』はドット絵でキャラクター特有の動きがあったので、なるべく3Dでも再現しようと見た目にすごく気を使った部分と、逆に3Dにしたことでバトルシーンは必殺技など表現の幅が広がりました。カメラが下りて行ったら、その場で殴り合っている迫力あるシーンを見られます。
3Dデザインチームのまとめを担当するツカモトシンタロウ氏
ツカモト『I・II』ではコミカルな動きをするモンスターがいっぱいいたので、なるべく3D で映えるようなアクションを再現できるように、エフェクト班も頑張ってくれたんで楽しみにしていてください。
キャラクターを組み合わせることで戦術が変わるバトルシステム
――『I・II』のフィールドバトルシステムからさらに進化したそうですね。
土田アークザラッドらしさの一つでもある、配置や仲間との相性を考えながら操作するシミュレーションバトルの楽しさをより味わえるようにしています。キャラクターにはロールというそれぞれの役割があって、キャラクター同士の能力がリンクして助け合って敵を倒す「フィールドリンクバトル」になっているんですよ。
ポジティブリンク
ユニットを動かしていると青い線が他のユニットと繋がる時があるんですね。これは、そのキャラクターから支援効果が受けられるという意味で、その状態で敵に攻撃することでポジティブなことが起こるので、ポジティブリンクといいます。タイプとしては、「自分のみに支援効果を持つもの」「仲間を支援するもの」「相手を妨害するもの」「仲間を回復するもの」の4つに大別されます。
ネガティブリンク
敵は敵で、攻撃力を下げる、反撃力を下げるといったネガティブリンクをしてくるので、味方からポジティブな効果を受けられる場所に移動して敵を攻撃する。敵がポジティブ効果を受けられないように邪魔をするといった、フィールドを動き回る意味を持たせられるようなゲームシステムになっています。
キャラクターの性格がロールに反映されていて、ゲームシステムが組み合った体験を味わえます。これを意識しながら、自分にあったデッキ編成を導き出していくのも『R』の楽しさです。
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スマートフォンだからこそ、往年のファンにも気軽に遊んでほしい
――キャラや世界観が凝っていて、コンシューマーゲームの技術力を持つのにあえてスマートフォンで出した理由は?
土田スマートフォンは、あらゆるユーザーにお届けできるプラットフォーム。23年が経ちましたから、当時ゲームをやっていた方も30~40代になっていると思うんです。仕事や子育てでゲーム機をなかなか遊ぶ時間がない人でも、スマートフォンやタブレットなら自分が使える時間の中で気軽にどこでも遊ぶことができる。
「続編が出るんだったら、あの後どうなったか知りたい」と思った時に、気軽に手に取ってもらえるのはすごいメリットです。結果的にスマートフォンで出すことになって、当時、遊んでくれたファンに触れて頂ける機会が増えたと思います。
富士河あとスマートフォンはユーザーと開発のコミュニケーションが密にできるツールだと思っています。スマートフォンだと更新頻度が高いので、イベントが週刊連載のような感覚でどんどん追加していける。キャラクターストーリーで、「本筋では語られていないこの時期に何があったの?」といった話を、色んなタイミングで追加していけると思うんです。
小山トッシュであれば10年後の世界で“ショーグン”と呼ばれるようになっていますが、どういう経緯があったのかが語られます。それこそ要望次第では、「皆さん、ここ知りたかったよね?」というストーリーを提供できる可能性がリアルタイムにあるのが強みですよね。ファンの方々が気になっている部分を掘り下げて、「実はこんなことがあったんですよ」というのを見せられる。
縦持ちだからこそ気軽に遊んでもらえる
――アークザラッドといえば横画面のイメージです。『R』では操作画面が従来の横から縦になりましたが理由は何ですか?
土田気軽に手に取ってもらえるというのがすごく重要だなと考えていて、横画面だと両手持ちになるので座ってプレイすることになると思うんですね。縦持ちなら電車の中で立ったままでも気軽に遊べると思います。
富士河やっぱり、バトルでもユニットをグリグリ動かして、止まったら攻撃するというのを片手でできることがすごく重要でした。動かしている間に味方とリンクが繋がったから攻撃、みたいな手軽さを大事にしたかったんです。片手で動かして全体を見渡すこともできるので、ストレスがないかなと。
小山もちろん、元々横画面で作られたゲームなので、縦にすることで世界観の表現は苦労しましたね。絵は全部縦長に直さないといけなくて、飛行艇のコクピットの窓のビジュアルをベストだと思って出しても、「絵面的にちょっとまずいんで伸ばしてくれ」と言われるみたいなことがよくありました。
アート原案・監修を担当するはやしひろし氏
はやし『I・II』で出てきた場所をバージョンアップさせて『R』でも出しているんですけど、当時の絵だと上下が足りないんですよ(笑)。なので、上下は描き足し、逆に左右は削らないといけないんですが、大切な情報がなくなるからと退いた画面にするとキャラクターが小さくなってしまうというジレンマと戦いながらの調整でした。
――ここまでお話をうかがってきましたが、期待と不安が入り乱れているというのがファンの心理だと思います。ぜひ皆さんに安心して配信を待っていてね、という材料をもらえるとありがたいです。
土田世界観で言えば、当時遊んでくれた方がどういった世界に戻って来たいかを考えて、「あの後は世界がどうなっていたらいいだろう?」とか「このキャラクターならあの後、こうやって生きて行くと思っていた」など、再会を喜んでもらえるものにすることをすごく考えながら作っています。
開発チーム内でも「アークザラッドってこういうゲームだったよね?」というのをすごく意識して、「だったら、こうなってないとおかしい」という意見も現場から上がってきて、“らしく”しようとしてくれています。
そういう意味で、ユーザー目線でもアークザラッドらしいということもやっていますし、開発側としても「あの先の世界をこういうふうに伝えたい」と一生懸命考えて作っているので、その思いを受け取っていただきたいです。
小山あと別の意味で皆さんが不安だと思うのが、「遺跡ダンジョンは途中で脱出できるのか?」だと思います。そちらも『R』からは、上手に戦うほどフロアをジャンプできる仕組みになっているんですよ。その代わり1回のチャレンジで戦える数が限られているので、戦える回数の中でいかに深く潜るかがキモです。
フロアジャンプできるようになったのも、チョンガラがダンジョンにエレベーターを設置したからなんですね。遺跡を探索していたら、ダンジョンの横に立坑があることを発見して、エレベーターを付けたんです。で、チャレンジをすると言うイベントを開催している(笑)。エレベーターに乗ると壁画が見えるんですが、実は1枚の絵巻になっていて、隠された意味がありますので楽しみにしていてください。
富士河僕はシミュレーションが得意ではなかったのですが、『I・II』はクリアしたゲームの一つです。今回参加させていただいて、自分の要望もたくさん聞いてもらえて、原作の皆さんとはすごくお仕事がやりやすかったです。
個人的にも『I・II』のキャラの動きがすごく多くて、「これは負けられない!」というのがあったので、今回はキャラクター1体1体に揺れ骨を入れて揺れさせたり、進化ごとに動きを微妙に変えたりていねいに作っています。
西川『I・II』は自分が中学生だった頃にプレイした作品なのですが、あのOPやキャラクターたちは今でも自分の中に強烈に残っています。本当にファンだったので、10年後の姿を描くというのが最初はすごいプレッシャーでした(笑)。
土田さんや小山さんの原案から何度も打ち合わせを重ねてきたので、自分の中でも熱く燃え続けていたエルクやトッシュたちの力強く生き続けた10年後の姿を、理想通りに描き出せたと思っています。そんな世界を新世代のハルトやミズハたちと共に冒険し、感じていって欲しいですね。
土田ストーリーとバトルどちらも、すごく良い形で結合できたと思っています。縦持ちで隙間時間に遊べるんだけど、ストーリーにしても、1バトルのプレイ感にしても、しっかり遊んだ気持ちになれるようなゲームで、遊んだ後は「あのゲームやった?」と人に勧めたい仕上がりになってきていると感じています。楽しみにしていてください。
何と国末竜一さんの描き下ろしイラストが公開!
国末竜一氏描き下ろしのトッシュ、サニア、エルク、そして…
インタビューの最後には、「『I・II』のキャラクターデザインをした国末さんが、『R』のキャラクターを描いたらどうなるか?」という往年のファン歓喜のご褒美がありました。エルク、サニア、トッシュ、そしてこの銃を持っているキャラクターはまだ『R』では発表されていませんが…きっとファンなら分かっちゃいますよね?
なんと線画、着色あり、仕上げと全ての段階を見せて頂けた!涙出そう
今回のインタビューで、『R』がいかに「アークザラッドっぽく」「手軽に遊べる」を追求した作品であるかが分かりました。往年のファンは間違いなく『I・II』のキャラクターとの再会を喜べるでしょうし、アークザラッドの世界に帰っていけるはずです。新しく触れるユーザーには、時を超えて語り継がれる名作のDNAをまっさらな気持ちで体験できる喜びがあると思います。
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