ファミコン時代に始まり、スーパーファミコンを駆け抜けた本シリーズは、携帯ハードでも展開するようになり、据え置き機向けにはWiiソフト『ファイアーエムブレム 暁の女神』をリリースして以後、しばらく音沙汰のない状況が続いていました。
『暁の女神』以降の本シリーズは、リメイク作の『新・暗黒竜と光の剣』と『新・紋章の謎』をニンテンドーDS向けに、そして新たな層の獲得にも成功した『覚醒』と『if』、さらにリメイク作の『Echoes』を3DS向けに発売。加えて、スマートデバイス向けに『ファイアーエムブレム ヒーローズ』をリリースする発展ぶりを遂げました。
シリーズの躍進はファンとしても嬉しいところですが、据え置き機でも遊びたいと思うユーザーがいるのもごく自然な話です。そしてこの想いは、据え置き機向けとしては実に12年ぶりとなる『ファイアーエムブレム 風花雪月』で、日の目を見る形となりました。
『風花雪月』の発売は7月26日。残り1ヶ月ちょっとになりましたが、E3の開催に合わせて公式サイトが更新されました。また海外向けですがTreehouse: Liveを実施し、ゲームプレイ映像もお披露目。リリースに向けて、新たな情報が少しずつ公開されています。
そこで今回は、E3合わせで判明した新たな要素や、『風花雪月』にも受け継がれるシリーズお馴染みのシステムなどをピックアップしてまとめて紹介! 発売に備え、気になるポイントの数々をチェックしておきましょう。
◆『ファイアーエムブレム 風花雪月』は二部構成&三つの物語が展開
今回の新情報で最も大きい部分と言えるのが、「二部構成」と「三つの物語が楽しめる」という点でしょう。主人公が教師となり、士官学校で教え子たちを導くという要素は判明していましたが、このパートは「士官学校編」にあたり、五年後に「戦争編」が幕を明ける形となります。
「戦争編」では、成長した教え子達が三国に分かれ、三つ巴の戦争を繰り広げるとのこと。
例えば、「黒鷲の学級」の級長だったエーデルガルト=フォン=フレスベルグは、のちに皇帝となり、アドラステア帝国を率います。このように、それぞれの級長が国や諸侯同盟を率いており、かつての級友と剣を交える血塗られた道を歩むのです。無論、主人公もその流れに加わるため、教え子たちと対峙する展開が訪れるものと思われます。
シリーズの過去作には、二部構成の作品がいくつかあります。また、『if』では最大三つの物語を楽しむことができました。そして本作では、“二部構成”と“三つの物語”のいずれも楽しむことができます。誰と共に生き、誰と戦うのか。過酷な選択が、『ファイアーエムブレム 風花雪月』であなたを待ち受けていることでしょう。
◆士官学校ではコミュニケーションも大事! 主人公+教え子2人と食事も可能
『ファイアーエムブレム』(以下、FE)シリーズでは、コミュニケーションや育成などが行える拠点が登場することも多々あります。本作もこのケースに当てはまっており、立体的に作られた士官学校内を自由に移動することができます。
士官学校では、教え子達の育成が可能。
Treehouse: Liveでは士官学校内での様子も映し出され、会話の中で選択肢を選んだ後、会話相手のアイコンにハートマークがつく描写が確認できました。会話を通じたコミュニケーションで友好度のようなものが上がり、関係性の向上に繋がるものと思われます。こういった要素は、『FE』シリーズに盛り込まれることが多く、お馴染みと言ってもいいほど。
また、施設には食堂らしき場所もあり、主人公と任意に選んだ教え子二人と一緒に食事を摂る場面も。前述のグループ課題では、2人の教え子が同じ課題に取り組むので、主人公と教え子だけでなく、教え子同士のコミュニケーションも様々な形で用意されているようです。
マップを駆使すれば、教え子の居場所もすぐに判明!? 戦闘の基本的な要素もチェック
◆教え子がどこにいるか、悩む必要はなし!? お手軽な移動方法も
学舎となる施設には食堂や教室などがあり、Treehouse: Liveの映像で見た範囲だけでも、なかなかの広さ。『FE』史上で最も広い拠点と言えそうです。会いたい教え子を見つけるのも大変そう・・・と思われるかもしれませんが、そこはご安心を。マップ画面を開くと、エリアごとに誰がそこにいるのか表示されるので、居場所は一目で分かります。
しかも、マップ画面から指定の場所へ移動するシーンもTreehouse: Liveで見られました。そのため、ファストトラベル的な移動も可能と思われます。
◆『FE』の軸といえば、やっぱり戦闘! 基本的な要素を確認
『FE』シリーズの戦闘は、基本的な要素が各作品で共通していることが多く、先日公式サイトで公開された内容も、自軍と敵が順番ごとに行動するターン制など、定番の要素について触れるものもありました。
またTreehouse: Liveの映像からは、戦闘シーンに突入する前に、攻撃結果の予想表示を確認することができました。こちらもシリーズではすっかり定番の要素となりましたが、あるとないとでは遊びやすさが大違い。通常攻撃で与えるダメージ、命中率、必殺(クリティカル)率、通常攻撃が当たった場合に変化するHP残量などが一目で分かります。
命中が100%でなければ攻撃が外れる可能性もありますし、必殺が発動すれば発生するダメージは一気に増します。そのため、減るHPはあくまで予想にしか過ぎませんが、結果の予想は戦略を立てる上で大きなサポートになるのもまた事実。本作でシリーズに初参戦する予定の方は、この表示を意識して戦闘を進めましょう。
さらに、予想表示のダメージ欄に「×2」の表記を確認することもできました。条件を満たすことで可能となる2回攻撃も、どうやら健在のようです。また、クリティカル発生時にはカットイン演出もありました。
新要素の「騎士団」で、戦場の臨場感がアップ!
◆1ユニット=1人、じゃない! 今回は、騎士団を率いて戦う大規模戦闘
シミュレーションRPGの中には、複数の人数を1ユニットで表現する場合もありますが、『FE』シリーズでは基本的に1ユニット=1人。
本作では、各ユニットに「騎士団」を配備することができ、兵士たちを引き連れて戦闘することができます。この騎士団を配備すると、ユニットの能力が上昇するだけでなく、「計略」を行うことも可能。また、騎士団も経験を積むことでレベルアップし、支援能力が向上します。
そして上記の「計略」も、『風花雪月』の特徴的な要素です。「計略」は様々な種類があり、中には複数マスの敵を攻撃できるものも。さらに、範囲内にいるすべての味方ユニットのHPを回復させる計略「セイロス聖女隊」といったものまであります。
広範囲に影響を及ぼす手段は、シリーズ作の中でいくつかありますが、頻繁に使えるものではなく、切り札的にとっておいたユーザーも少なくないはず。この計略の存在が、戦略に更なる広がりを持たせてくれることでしょう。
1ユニットながら大勢の兵士を率いて、時には計略を駆使する戦闘を繰り広げる『風花雪月』。これまでにないスケール感を持つ戦場を、本作では味わえそうです。
◆戦場でも、コミュニケーションは重要!
ユニット同士が協力しあう手段として、対象の敵を攻撃できる位置に別の味方ユニットがいた場合に発動する「連携」があります。
Treehouse: Liveの映像では、戦闘した直後のマップ画面でハートマークが出る場面も。戦場でもユニット同士の関係を向上させといった要素は、『FE』シリーズの定番になりつつありますが、本作にもしっかりと受け継がれている模様です。
バトルに関する要素はこの他にも。手強い「魔獣」も立ちはだかる!
◆ユニットの強さはステータスだけじゃない! 「戦技」と「スキル」で戦場に立ち向かう
装備した武器とステータスから割り出される戦闘能力が、バトルにおける基本的なデータとなりますが、さらなる要素として「戦技」と「スキル」があります。「戦技」は、技能を高めて習得する特別な技で、武器ごとの必殺技とも言える存在です。
通常攻撃よりも威力や命中が優れている反面、武器の耐久値を大きく消費するため、使い所には注意したいところ。耐久値が0になると武器が壊れてしまい、威力や命中が大きく低下するので要注意です。また「戦技」には特別な効果を持つものもあり、戦闘の後に自分が相手を越えて1マス先に移動する「殴り抜け」といったものも。
そして「スキル」は、技能レベルを向上させて覚える「技能スキル」、キャラクターの個性とも言える「個人スキル」、兵種に付属する「兵種スキル」の三つに分かれます。例えばソシアルナイトの兵種スキルには、これもシリーズの定番の「再移動」があり、移動力が残っていれば戦闘後に再び移動ができます。
個人スキルとしては、メルセデスは味方と自身のHPを回復する「奉仕の喜び」を持っており、ドゥドゥーは行動せずに待機することで守備力を一時的に上げる「主君の盾」を覚えます。
個人スキルと技能スキル、そして兵種スキルをどのように組み合わせるかで、戦場における役割も変わってくることでしょう。自分なりの組み合わせを見つける楽しさが、『風花雪月』でも味わえそうです。
◆敵は人間だけにあらず! 恐るべき「魔獣」も出現
『FE』シリーズ全体を通して、ほとんどの敵は同じ人間です。しかし、マムクートが敵になる場合もありますし、『聖魔の光石』などの作品では魔物と戦う機会も少なくありません。そして本作には、圧倒的な力を誇る「魔獣」が登場します。
「魔獣」は、攻撃力が高い上に、人を凌駕する生命力を持っています。また、一撃の範囲も広く、1体で複数のマスを占めるなど、人間を相手にする場合とは勝手が違う場面も。この圧倒的に存在に対しては、計略やスキルなど、あらゆる手段を用いて立ち向かいましょう。Treehouse: Liveの映像でも、マップ上に鎮座する魔獣の姿が確認できました。
難易度や「カジュアル」or「クラシック」の選択は本作でも可能、そして“一手戻せる”あの要素も
◆難易度とモードを組み合わせて、自分好みのバランスで戦おう
『FE』シリーズには、貴重なアイテムを使うような一部の例外を除き、死んだユニットは蘇らない作品が数多くあります。また、近作では倒れた仲間が次のマップでは復活するといったモードが用意され、どちらのルールで遊ぶか選択できる形が増えてきました。
このバランス調整は本作も継承しており、ゲームを始めるときにまず、難易度を「ノーマル」と「ハード」から選ぶことができます。そして、倒れた仲間も戦闘終了後に復活する「カジュアル」と、失った仲間は決して戻らない「クラシック」という2つのモードが用意されているので、難易度とモードを任意で組み合わせてプレイに臨めます。
歯応えが欲しい方からシミュレーションRPG初心者まで、それぞれ自分好みのバランスで楽しめるのでご安心を。また、難易度はプレイ中に下げることが可能なので、手強いと感じた時は調整してみるのもひとつの手です。
◆シミュレーションRPGで“一手戻せる”大胆な仕組みを採用、実は過去作にも・・・
『FE』シリーズに限った話ではありませんが、ユニットをどこに配置し、どの敵をいかにして倒すのか。その一手一手の積み重ねが戦局を左右し、勝敗へと繋がります。シミュレーションRPGでは、時に一手が明暗を分ける場合もありますし、『FE』シリーズだと愛着のあるユニットと別れる分岐路になることも。
ですが『風花雪月』には、戦闘時の行動を一手単位で巻き戻せる「天刻の拍動」があります。思わぬ損害を被った時や、ここぞという場面で攻撃を外した時に「天刻の拍動」を使えば、致命的な事態を回避しつつ、新たな可能性を模索することが可能です。
シリーズ内でもあまり類を見ないシステムですが、シリーズ作としては前作に当たる『ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王』に登場した「ミラの歯車」が、一手単位で結果を巻き戻せる効果を持っています。ちなみに「ミラの歯車」には使用回数があるので、無限に巻き戻すことはできません。ゲームとしてのバランスを考えるとむしろ当然の制限と言えるので、「天刻の拍動」にもなんらかの使用制限が設けられている可能性が高そうです。
発売が来月に迫り、E3に合わせて様々な情報が飛び出しました。新要素を早く遊んでみたい気持ちもあれば、シリーズでお馴染みのシステムを最新ハードで堪能してみたい想いもあるでしょう。それだけに、公開される情報は気になるところ。今後の続報や新要素の発表などにアンテナを張りつつ、7月26日を心待ちにしておいて下さい!
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