※この記事には、昆虫およびそれを食べる描写が含まれます。

無印良品から「コオロギせんべい」という商品が発売されました。
これはコオロギをパウダー状にしてせんべいに練り込んだというもので、「今後の食料としてコオロギが活躍するのでは」という考えのもと作られたそうです。

しかし、ゲーマーからするとちょっと違うものを想像するかもしれません。なぜなら『スーパーマリオRPG』にまったく同じ名前のアイテムが登場するのですから。

◆「コオロギせんべい」を予言していたゲーム
『スーパーマリオRPG』は1996年にスーパーファミコンで発売された作品。任天堂とスクウェア(現:スクウェア・エニックス)が共同開発したタイトルで、マリオが主役のRPGはこれがはじめての作品でした。

マリオがジャンプやファイアボールで戦ったり、「マロ」や「ジーノ」といったオリジナルキャラクターが登場したり、「クッパ」や「ピーチ」と一緒に冒険できたりと、当時は非常に斬新な内容でした。しかも初心者でも遊びやすいように作られているうえ、ミニゲームや隠し宝箱などイベントも豊富なのです。

そんな『スーパーマリオRPG』ですが、作中にはマロの育ての親である「カエル仙人」が登場します。その仙人が「コオロギせんべい」をマロに買いに行かせ、それがきっかけでマリオとマロが出会い一緒に冒険することに……、というストーリーになっています。

カエルならコオロギのせんべいを食べてもなんらおかしくないですが、それが現実になったわけです(しかもまったくの同名で商品化!)。これはぜひ食べてみたいですよね。

◆まずはせんべいを試食!
というわけで、さっそくオンラインストアで購入しました。
いざ実食。

見た目はふつうのおせんべいといったところ。ところどころ黒い点が見えますが、おそらくこれがコオロギパウダーなのでしょう。顔を近づけても、これといって特徴的なにおいなどがあるわけでもありません。

いざ実食。これは……おいしい! コオロギは甲殻類(エビやカニ)に近い味わいなので、たしかに香ばしい感じです。とはいえ完全にふつうのせんべいというわけでもなく、やや粉っぽい印象もあり、独特のコオロギらしい風味もちょっと残っています。

ただし何も言われなかったら「ちょっと変わったせんべいだな?」と思うくらいでしょうし、ふつうに問題なくいただけます。何よりいまこの原稿を書きながら食べているくらい、おいしい商品に仕上がっているのです。タンパク質も豊富とのことで、栄養面的にも嬉しいですよね。なお、甲殻類のアレルギーを持つ方は食べるのを控えたほうがいいそうです。

さて、無印良品の「コオロギせんべい」はたしかにおいしいことがわかりました。
しかし『スーパーマリオRPG』には「コオロギようかん」も出てくるのです。さすがにそれは売っていないので……、作ってしまいましょう!

◆「コオロギようかん」を作ってみた
『スーパーマリオRPG』の「コオロギようかん」は具体的にどんなビジュアルなのか不明なので、筆者の想像で作ってしまいます。今回はお手軽に、水ようかんを作ってそこにコオロギを入れる方法を選びました。

材料はシンプル。水、寒天、こしあん(今回はねりあん)、砂糖のみ。水を沸騰させて寒天を溶かし、その後にあんこと砂糖を入れてよく混ぜ、沸騰させたあと粗熱をとって容器に移して、冷蔵庫で冷やすだけです。

これだとただの水ようかんになってしまうので、ここにコオロギを入れていきます。今回はタイ産のフタホシコオロギ(乾燥させて塩をまぶしたもの)をチョイス。ネット上で検索すれば食用コオロギを売っている昆虫食の通販サイトがいろいろ出てくるはずなので、お好みのものを選んでください。

ここでひとつ誤算が。水ようかんの中にうまくコオロギが入り込んでいる感じにしたかったのですが、コオロギは軽いのでどうしても上に浮いてしまいました。見た目はさながら異物混入です。
はたして大丈夫でしょうか……。

◆水ようかんとコオロギのマリアージュ
冷蔵庫で冷やし固めて「コオロギようかん」が完成しました。包丁で切ってみたのですが、まあどう見てもようかんに虫が入って死んでしまったビジュアルですよね……。

『スーパーマリオRPG』の説明文では「おいしそうなようかんだ」と書かれていたのでビジュアルも良くしたかったのですが、この点に関しては失敗してしまいました。うまく沈めるなり、もっと大きいコオロギを用意したほうがいいのかもしれません。

では、さっそく食べてみましょう。味は……、異物混入したようかんだな! という印象です。水ようかん部分はおいしいですし、コオロギもきちんと食用なので悪くはないのです。ただ、柔らかい水ようかんと、歯ごたえがしっかりしているコオロギの相性がイマイチでした。

最初に水ようかんが口の中でほどけるのに、コオロギがずっと残って何度も咀嚼しなければなりません。しかもコオロギは独特のにおいがあるので、小豆の香りを邪魔してしまうのです。

何よりビジュアルがひどいので、口に入れるのに少し勇気が必要です。
せっかく作ったのでもちろんすべていただきますが、これはカエル仙人が喜んで食べるタイプのお菓子でしょう。

◆昆虫食は楽しい
無印良品のサイトによると、従来の家畜では2030年にはタンパク質の供給が足りなくなるそうです。となればコオロギのような優秀な食料が代替となる可能性は十分にあるはず。「虫はイヤ!」という人も多いかもしれませんが、いろんな意味で食べやすい「コオロギせんべい」のような食品から慣らしていくといいかもしれません。

一方、「コオロギようかん」についてはちょっと考え直す必要があるかも。やはりビジュアルがネックなのでそれこそ粉にして入れてしまうだとか、食感を活かすためにスナック菓子にするほうがよさそうです。

とはいえ、『スーパーマリオRPG』のアイテムが現実に登場すると考えればワクワクする食べ物であることも事実。みなさんも作ってみてはいかがですか……、と言おうと思いましたが、とりあえずせんべいだけおすすめしておきます。
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