蛍雪の功で掴んだチャンスー「白雪レイド」の徳望【バーチャルタレント名鑑】 (2021年12月25日)

様々なバーチャルタレント事務所が次々に発足し、着実にその裾野を広げ続けているバーチャルタレント（VTuber）シーン。牽引する二大事務所に注目が集まるなかにあって、数年来に渡って活躍を続けるタレントも非常に多い。この連載コラム「バーチャルタレント名鑑」では、様々なカルチャーシーンで奮闘を続けるバーチャルタレント（VTuber）一人一人にスポットライトを当て、これまでの軌跡とこれからの望見について書いていきます。今回紹介するのは、白雪レイドさんです。白雪レイドさんは2018年8月24日に活動をスタートし、2022年8月にはVTuberとして5年目のシーズンを迎えることになります。ここ1年ほどで彼を知った方は驚かれるかと思いますが、バーチャルタレント／VTuberとしての歴はベテランに近いところです。彼のデビューとほぼ同時期に起こった出来事といえば、VRChatで3Dアバターの展示会「バーチャルマーケット」と輝夜月さんが初のVRライブをそれぞれに開催して、にじさんじではSEEDs2期生が、ホロライブでは2期生が、それぞれ順々にデビューしていたころ。774inc.では因幡はねるさん、日ノ隈らんさん、宗谷いちかさんなどがデビューしたばかり。いまでは強く結びついているぶいすぽっ！というと、実はこのタイミングではまだ創設すらしていない頃です。これまでの連載で紹介してきた渋谷ハルさん、天開司さん、歌衣メイカさんからは数か月ほど遅れてのデビューではありますが、現在のシーンにおいては十分すぎるほどに多くの経験をしてきたのが彼です。活動初期からFPSゲーム『PUBG: BATTLEGROUNDS』『Apex Legends』などの生配信を数多くこなし、少しずつ仲間を増やしていくことになります。過去の配信動画を見てみると、アベレージさん、渋谷ハルさん、青猫えいむ（現：BobsappAim）さん、花芽なずなさん、花芽すみれさんなどと交流しており、いまでも活躍している方々もいれば、活動を休止しているかたも多く、鎬を削る群雄割拠の当時のムードを感じられるかと思います。「スノーホワイト王国の王子様」と自己紹介することも多い白雪レイドさん。「VTuberっぽいファンタジーな設定」というお約束らしさが漂いますが、最初期の配信では「福島県郡山市」と口にしており、その後の配信でも何度かこの点について言及しています。2019年12月31日の年越し配信では3Dモデルの姿となって2020年の抱負を語っており、チャンネル登録者数2万人／動画投稿100本と書かれ、当時の状況が切々と伝わってくるところ。2019年10月にバーチャルYouTuber事務所である「VGaming」に所属していましたが、「この時の登録者数は8000人ほど」とレイドさん本人が後日話しており、2019年終わり頃の彼がいまから想像もできないほどに「埋もれた存在」だったことが感じられます。「ちょっとネガティブなことをいうと、ぶっちゃけ2018年の年越しのほうが同接数（同時接続数）は多かった。今年2020年に考えなくてはいけないのはそういうところなんだよね。VTuberだから見てくれる／興味あるという層は今後減っていく。でも、一人一人の熱量は昨年よりも強いなと思ってる。他の誰かに同接負けてるぞ！と言われるかもしれないけども、鋼のメンタルでがんばっていくしかないね」この年越し配信から約2年。2020年3月30日にはさまざまな問題が発覚した「VGaming」が解散してしまいますが、コロナ禍という状況によって大きく変化し、想像していなかった視聴者層が入ってきたことによって彼は大きく飛躍。事務所が解散したあとにも数々の配信で印象的な姿をみせ、翌年の年越し配信時点ではチャンネル登録者数は3倍近くに伸ばしていくことになります。彼の魅力といえば、VTuberになる以前は声優を目指していたこともあり、やはりその声色・テンション・トーンの変化などは彼の良さでしょう。普段の柔和な態度と言葉遣いに加えて、独特のソフトな声で相手に話しかけていくと、怒鳴っても、ささやいても、悔しさを滲ませても、どこか少年性を帯びた声色で男女問わずに惹きつけてしまう魅力があります。そんな所も影響してか、どうしてもイジられ役に回ることが多いのも確か。前回紹介した小森めとさん・一ノ瀬うるはさんとのBIG STAR、渋谷ハルさん・葛葉さんとのトロールアイス渋谷店などの複数人数での配信でその真価がみられ、イジられたあとのイジリ返しや、柔和な態度から一気にツッコミ役に回ったときの勢い、身近な話題から一気に相手を巻き込んで話を広げていく術などは、ストリーマーらしい面白おかしくトークできる実力としてしっかりと持ち得ている証拠だと言えます。白雪レイドさん・小森めとさん・一ノ瀬うるはさんによるBIG STARでのFPSゲーム配信を通じ、2020年秋から2021年にかけて大きくファンを増やしつづけ、渋谷ハルさん主催とする「VTuber最協決定戦 ver.APEX LEGENDS」やプロゲーミングチーム「Crazy Raccoon」が主催する「CRカップ（Crazy Raccoon Cup）」では、出場選手としてFPSの実力を遺憾なく発揮し、存在感を強く示すことに。また、「CRカップ」のカスタムマッチ中には神視点を使った配信や本大会配信に、出場選手としてではなく司会・解説・盛り上げ役として抜擢され、画面全体をよく見通して様々にトークを回し、普段の配信でツッコむときに発するような大声をバンバン出しながらコミカルに盛り上げていくなど、まさに八面六臂な活躍を見せつけました。「白雪レイド特別ポイント」をルールに決めて大会出場できないようにし、彼を実況・解説へ起用していく流れは、配信者だけでなくファンを含めたイジリも加わり、埋もれていた白雪レイドというタレントを広く知らしめることに一役買いました。もちろんこの流れは、レイドさんの確かなトーク力や柔和な性格でなければ絶対に成立することのなかった壮大なお笑いネタでもありました。その後、一ノ瀬うるはさんを始めとしたぶいすぽっ！メンバーとも深く関わりを持つようになり、同事務所の公式配信でも司会進行役として参加。ゲーム配信者としての知名度も高まったこともあり、複数のゲームではゲーム紹介／PR配信をこなし、公式からは認定マークが授与されるなど、順調にステップアップを踏み始めています。さらに、2021年10月23日からは、渋谷ハル、まふまふ、そらる、Crazy Raccoonオーナーノ4人によって創設されたVTuber事務所meriseに初期メンバーとして所属しはじめ、長らく個人勢として活動環境がガラリと変わりました。2019年年末には1万人にも満たなかったYouTubeチャンネル登録者数も、2021年年末となったいまでは20万人を突破する目前まで拡大してきました。2022年以降は新事務所meriseでの活動を軸としつつ、「優等生」タイプなレイドさんには多くの声がかかってもおかしくはないでしょう。活躍の場面がより多く・広くなっていくのではないでしょうか。「バーチャルタレント名鑑」過去記事はコチラ

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