元“オーバーウォッチリーガー”の提言
ta1yoさんは、日本人初の“オーバーウォッチリーガー”として世界に名を轟かせた経歴の持ち主。プロゲーマーとしてのキャリアも長く、国内外のeスポーツ事情に通じている人物です。
そんなta1yoさんが7月5日にTwitter上で、プロゲーマーを夢見る少年少女の悩みについて言及。「学校やめてプロ目指したいです」と相談してくる人がよくいると言い、「プロは目指すものではないです。気づいたらなってます。学校いきましょう」と諭していました。
本気でプロゲーマーを見据えている人にとっては、学校をやめるという選択肢が魅力的に見えるのでしょうが、実際にその道で成功できる確率はごくわずか。何よりこれまで活躍してきたプロゲーマーのほとんどが、学業と両立しながら夢をつかんできました。そう考えると、ta1yoさんの意見はきわめて現実的なものと言えるでしょう。
ところが議論はここでは終わりませんでした。件のツイートに対して、とあるユーザーから「時間がある暇人がプロになれる」といった指摘が寄せられたのです。
プロゲーマーになるために必要なもの
一口に学校に通うといっても、そこで自由になる時間がどれだけあるかは環境によって異なるもの。そもそも、学業と両立しながらプロゲーマーになれる状態を“恵まれている”と捉える人もいるようで、「親のサポートなしで学業とプロゲーマーの両立ってできるのかなぁ」「一番は家庭環境ですかね。理解のある親でないと若い頃からゲームできないし」といった指摘も上がっています。
あくまでta1yoさんは時間の有無について話していましたが、多くの人々が議論に参加していくうち、“家庭環境”へと論点がズレていくことに。最低限、日常的にPCゲームに打ち込める環境がないとプロゲーマーにはなれない…といった主張が続出しました。
たしかにeスポーツの基本はPCゲームなので、誰もが子どもの頃から十分な設備に触れられるわけではありません。「結局は環境次第」だという意見にも、道理はあるでしょう。
こうして個人の可能性を生まれや環境に還元する考え方は、スマホゲームになぞられて、「親ガチャ」と呼ばれています。それに対して「環境のせいにすべきではない」という反論がしばしば出てくるものですが、今回の議論についても同じように激論が交わされていました。誰もが自分の育った環境から意見を言うため、この議論を平和に着地させることはとても困難です。
ただ、最近ではある意味で環境の格差を是正するような動きも広まっている様子。
プロゲーマーという職業が理想化されると共に、立ち上がってきた「親ガチャ」問題。eスポーツをより広い世界で盛り上げるためには、避けて通れない課題の1つなのかもしれません。