「ポケモンずかん」といえば、短い文章だけでゲームの世界観を広げてくれる夢の読み物。ですが初代『ポケットモンスター 赤・緑』の頃には、まだその方向性が洗練されていなかったようで、ところどころ謎めいた記述が見つかります。


今回はそんな初代図鑑の内容を振り返り、思わずツッコミを入れずにはいられない“キケンすぎる説明文”に思いを馳せてみましょう。

◆危険すぎる実験の餌食に!?「パルシェン」
パルシェンは、2枚貝をモチーフとしたポケモン。紫色の強固な貝殻に覆われており、ゲーム上のステータスでも「ぼうぎょ」の値が高く設定されています。

「ポケモンずかん」では、そんなパルシェンについて「カラが ひじょうに かたく ナパームだんでも こわせない。こうげきするときだけ ひらく」と説明されていました。

貝殻が硬いことはいいとして、引っ掛かるのは「ナパーム弾」という不穏なワード。焼夷弾の一種であり、言うまでもなく危険な兵器なのですが、この書き方からすると実際にパルシェンに撃ち込んだことがあるかのようです。

もしかすると、貝殻の強度を確かめるために、兵器を用いた実験でも行われたのでしょうか。ロケット団でも躊躇しそうな所業ですが…。

パルシェンに兵器を打ち込む研究者と、その威力をなんなく耐えたパルシェン。双方に凄みを感じざるを得ない名解説文です。

◆サファリゾーンに幽閉か…「サイホーン」
サイホーンはその名の通り、サイをモチーフとしたであろうポケモン。
突き出た角(ホーン)が特徴的です。

パワーあふれるポケモンであり、図鑑説明によると「あたまは わるいが ちからが つよく こうそうビルも たいあたりで コナゴナに ふんさいする」とのこと。現実のサイは高層ビルを粉々にできないため、サイホーンの方が圧倒的に力が強いことが分かるでしょう。

ともあれ、なぜかその力を証明するために「高層ビル」が持ち出されているのは気になるところ。まるで実際にそんな事件が起きたことがあるような書き方です。

サイホーンの身体は高さ1m、重さ115kgと意外に小さめなので、高層ビルを粉々にするとしたら、よほど体当たりの勢いが強いのでしょう。そんなポケモンが草むらから普通に飛び出してきたら、大事故になりかねません。

初代『赤・緑』でサファリゾーンにしか登場しなかったのは、「ビル粉砕事件」で危険すぎると判断され、人里から隔離された結果なのかも…?

◆むしろ人間がキケンすぎる「イシツブテ」
最後にご紹介するのは、がんせきポケモンのイシツブテ。「ポケモンずかん」の説明は、少しイレギュラーな内容となっており、「まるくて もちやすいので つかんで あいてに なげて ぶつける イシツブテ がっせんが できる」と書かれていました。

雪合戦のような「イシツブテ がっせん」なる遊びが存在し、それなりに広く親しまれているような書きぶり。たしかに丸くて投げやすそうな見た目なので、納得しそうになるかもしれませんが、よく考えるとキケン度マックスです。

というのは、イシツブテの高さは0.4m、そして重さは20kg。
明らかに雪玉や小石のサイズ感ではなく、巨大な岩石もさながらでした。

投げることすら一苦労でしょうが、仮に成功したとしても、生身の人間に当たれば間違いなく効果抜群。目の前が真っ暗になることは避けられないでしょう。

ゲームをプレイするだけでは分からない知識を与えてくれる「ポケモンずかん」。初代『ポケモン』以外にもユニークな説明文はいくつもあるので、新しい発見を探してみてはいかがでしょうか。
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