スマホ向けの基本無料ゲームは今も高い人気を集めていますが、上位に位置するタイトルは長期間にわたって運営しているものがほとんど。『パズル&ドラゴン』や『モンスターストライク』、『プロ野球スピリッツA』に『Fate/Grand Order』などがひしめいており、直近の新作はそう簡単には食い込めません。
比較的新しい作品だと『原神』の活躍が記憶に新しいところですが、こちらのリリースも2020年なので、正式サービス開始からもう2年以上経過しています。
そんな強豪たちが立ちはだかる中、『勝利の女神:NIKKE』は好調なスタートダッシュを見せ、11月だけで世界収益が1億ドルを突破。歴戦の人気作をも脅かす勢いを見せ、存在感を示しました。また、その後も堅調な動きで躍進を続けており、もうじきリリースから半年を迎えようとしています。
多くのゲーマーから注目を集めている本作ですが、ビジュアル面が話題になることも多く、誤解されやすい点も否めません。また、本作が気にはなるものの、「今から始めても間に合うの?」と不安を抱き、プレイに踏み出せない方もいることでしょう。
そこで今回は、正式サービスから半年間遊び続けた筆者のプレイ体験を通して、『勝利の女神:NIKKE』がどんなゲームで、如何なる魅力を持っているのか。そして、今から始めても十分楽しめるのか等の様々なポイントを紹介し、『勝利の女神:NIKKE』の本質へと迫ります。
◆『勝利の女神:NIKKE』は、お尻だけのゲームじゃない!
まだプレイしていないゲーマーが『勝利の女神:NIKKE』に対して最も抱きやすいのは、“尻ゲー”という印象でしょう。本作は元々、銃撃戦でバトルする「ニケ」たちの後姿を指して、“背中で魅せる”といったキャッチコピーを当初から掲げていました。
ニケたちは画面奥に向かって発砲するため、射撃中はプレイヤーに対して背中を向けます。ですが、銃器の反動で小刻みに震えると、目につくのはむしろ背中よりも下半身。特に、滑らかな曲線を持つ“お尻”の部分が揺れやすく、自然と目が奪われてしまいます。
そのため、本作が“尻ゲー”と呼ばれるのも仕方のない話です。しかし、“揺れる尻”だけしか取り柄のないゲームではありません。むしろ先に進めば進むほど、悠長に“尻”を見る余裕は皆無なのです。
敵である「ラプチャー」だけでなく、時には飛来するミサイルも撃ち落さなければならないので、まずエイムに視線が奪われます。また、勝利のカギを握るバーストスキル(ゲージが溜まると使用できる強力なスキル)は、相手が強敵であるほど発動するタイミングが重要になるので、戦局も見極めなければなりません。
また、射撃一辺倒だとニケが被弾してしまうので、状況に応じて遮蔽物に隠れるのも大事な戦略。操作中のニケだけでなく、部隊全員をカバーさせる場面もあり、この判断を誤れば半壊しかねません。
無論、こちらの戦力が高ければそれだけ危険は少なくなり、豊かな曲線美を眺める余裕もあります。戦力が十分な場合、操作はオートに任せれば、文字通り手放しでじっくりと画面を眺められます。
ですが、メインシナリオが展開する「キャンペーン」や、高難易度モードの「ハード」などは、先に進めば進むほど戦いが厳しくなり、要所で待ち構えるボスをフルオートで撃破するだけの戦力まで高めるのはかなり大変……というか、「このボス、フルオートで可能なのか?」と思うほどです。
逆に手持ちのニケとプレイヤーである指揮官の操作次第では、推奨戦力を下回る戦力でのクリアも可能。尻を眺める楽しみと引き換えに、手ごわい敵を打倒する達成感が味わえます。
この『勝利の女神:NIKKE』は、安易に尻を眺めるだけのヌルゲーではなく、設定に準じた厳しい戦いが待ち受けており、それを乗り越えるのは指揮官の判断次第。しっかりと腕前が問われるゲーム性を備えているのです。
ちなみに、ニケたちの魅惑的な臀部は各キャラクターの試射画面でも見られます。問題なく勝てる状況下のオートモードや、この試射画面など、彼女たちの見姿をゆっくりと眺める手段はいくつもあるので、そちらを満喫したい方もご安心ください。“お尻”だけでのゲームではありませんが、“お尻”に向けた期待も裏切りません!
◆「高精度なエイム」は必須じゃない! テクニックを育成で補おう
本作のバトルは、いわゆるガンシューティング。キャラクターであるニケは移動せず、遮蔽物を利用しながら射撃を行い、敵を撃破します。ニケは最大5編成で戦い、そのうちのひとりをプレイヤーが操作。操作キャラのエイムとリロードが、基本的にプレイヤーが行う主な操作になります。また、前述のバーストスキルや遮蔽物によるハイドは、誰を操作していても全員分行えるので、個人を指揮しつつ全体を動かして戦います。
ガンシューティングなので、エイムの重要性は言うまでもありません。特にボス戦では、個別のパーツを狙い撃つことで戦闘が楽になったり、敵を倒しやすくなるので、自力でのエイムは重要です。
しかし、「エイムが大事」と言われると、萎縮してしまう方も少なくないでしょう。FPSやTPSでは、瞬間的かつ正確極まるエイムが求められ、それが個人やチームの勝利を大きく左右します。そうした精緻なエイムが求められるのでは、と考える方も少なくないはず。
ですが本作のエイムは、「その状況下でどこを攻撃するべきか」が大事であり、敏捷性はそこまで重要ではありません。また、ラプチャーのほとんどは動きがそれほど激しくないので、ごく一部の敵を除けば、狙い撃つ難易度そのものはかなり低めです。
また、前述したオート操作はエイムにも適用され、このオートエイム自体がかなりの高性能。ラプチャーが出現した直後にすぐ狙いが定まり、間髪入れずに攻撃する素早さは舌を巻くほど。よほど熟練したプレイヤー以外は、その反応速度と正確さに叶わないほどです。
オートエイムがかなり頼もしいので、エイム操作が苦手な人でも多くの場面で困ることはないでしょう。「どの敵や部位を狙うべきか」という点は少々苦手なので、そこはプレイヤーが直接行う方がベターとはいえ、ゲーム全体で見るとかなりの部分をオートエイムに頼ってもなんとかなります。
また、エイムが苦手な方にもうひとつお伝えしたいのが、本作の根底にあるゲーム性です。エイムが必要なガンシューティングなので、ゲームジャンル自体を「シューティング」と受け止めがちですが、本作が謳っているのは「ガンガールRPG」。そう、根本的にはRPGの要素が大きなウェイトを占めているのです。
ニケのLVを上げると、各ステータスが上昇。また、装備品や指揮官との関係性もステータスに影響します。例えば、全く育てていないニケたちでは、どれほどプレイヤーの腕が優れていても、序盤で行き詰ること間違いなし。Lv1の勇者でラスボスを倒せないのと同じです。
もちろん、腕前が勝敗を左右する影響も大きいのですが、それは最低限の戦力が揃った上での話です。逆を言えば、テクニックの不足はニケの育成で補うという手があります。上級者以外お断り、というゲームではないので、その点もご安心ください。
◆「今からでも追いつける?」はNO。ただし、追いつく必要もなし
ここまで読んで、『勝利の女神:NIKKE』をプレイするか、考え始めた方もいることでしょう。
本作はソーシャルな面があり、プレイヤー同士が戦うPvP要素も少なからず存在します。早い方はすでに半年前からプレイを続けており、今から始める方と比べると相応の差があるのは否定できません。
そのため、「今から始めても追いつけるの?」と聞かれれば、その答えはNOです。ニケの育成は、いわゆる「放置」(時間経過で育成素材を獲得)で進める部分も大きいので、現時点で存在する半年分の蓄積はかなりの差です。
課金アイテムの購入などでその差を埋めるのも手ですが、同じようにプレイしている人とは差が埋まらないので、追いつくという意味ではかなり難しい状況です。
しかしこれはあくまで、「自分と同程度にプレイする先輩指揮官に追いつき、PvPで勝つ」という話。本作のPvPは、ニケ同士が直接戦うアリーナや、順位を競うランキングなどがありますが、コンテンツ全体で見るとそれほどウェイトを占めているわけではありません。
また、PvPでいい成績を残すほど育成素材などが手に入るので、成果が戦力増強に繋がるのは確か。ですが、例えば「上位ランカーにだけ、特別なニケをプレゼント」といった、替わりが利かない報酬は(今のところ)配られていないので、焦る必要はなし。
プレイ中の指揮官に追いつくのは、難しいところ。しかし、PvPにこだわる人以外は、そもそも「追いつく必要がない」とも言えます。
■日課の重さと足止めにご注意を
本記事では、『勝利の女神:NIKKE』が誤解されやすい要素や、本作の特徴などに迫りましたが、プレイする上でちょっと気になる点も最後に紹介します。
まず、1日に行う「日課」がやや重く、それなりの時間がかかります。戦闘以外だけでも、「ショップで買い物(無料でもらえるものアリ)」「フレンドとソーシャルポイントをやり取り」「前哨基地の防衛」「面談」などがあり、そこに「トライブタワー」「アリーナ」「迎撃戦」「シミュレーション」といったバトル関係のコンテンツも入ってきます。
もちろん、こういったコンテンツを行う・行わないはプレイヤーの自由です。しかし、日々のプレイで素材や報酬を集めていくのが、ニケを育成する最短のルートなので、疎かにするほどゲーム進行が遅くなります。
一方、本作のコンテンツは1日ごとの回数制がほとんどなので、全てが終わった後はやれることがありません。キャンペーンの進行は制限なくできるものの、手持ちの戦力では勝てない敵にぶつかったら、実質的にそこで足止めです。
日課は重い反面、やり終えると続けて遊べないので、時間に余裕がある人は別のゲームと平行しつつ遊ぶのがベターでしょう。
また、1日に可能なプレイ内容が決まっているので、ニケの育成も急速には進みません。そのため一度壁にぶつかると、そこで何日も停滞する──といった事態も起きます。特にキャンペーンの終盤やハードモード、着手したての迎撃戦などは、たびたび足が止まります。
こうした問題は、本作だけに限った話ではなく、放置で育成を進めるタイプのゲームにつきものの難点です。とはいえ、足止めが気になる気持ちも分かります。そこを問題点と見るか、超えた時の達成感を楽しむか、自分がどちらのタイプなのか見極めておくのも大事なポイントです。
昨年11月に登場し、瞬く間に確固たる地位を築いた『勝利の女神:NIKKE』。本作に興味が沸いた方にとっては、ハーフアニバーサリーが幕を開けるこの時期が、プレイ開始の絶好のチャンス。新たな戦いに、その身を投じてみてはいかがでしょうか。
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