同作は2023年5月31日よりパブリックベータ版(オープンベータテスト)が配信中のタイトルです。人気エンタメサービス「bilibili」では初公開PVが380万再生、パブリックべータPVは500万再生を突破した今中国で話題を集める一作となっています。
2023年6月24日の時点ではあらゆるコンテンツが集約されたbilibili内において、正式サービスが決定した『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』、不動の人気を誇る『原神』『アークナイツ』『崩壊:スターレイル』にまで並ぶという、実にホットな新作アプリなのです。
日本国内でも知らないゲーマーはいない有数の人気タイトルたちに比肩する『重返未来: 1999』とは、一体どのようなタイトルなのでしょうか?本稿ではそんな注目作について、日頃から無数のアプリゲームに触れる専業アプリゲームライターが追ってみました。
◆ ありがちな“美少女ゲーム”とは一味違ったダウナーな世界観と特異な切り口
まず注目すべきは、『重返未来: 1999』が持つ独自の世界観やキービジュアルといった視覚的な部分でしょう。このゲーム、bilibili内で頻繁に取り上げられる一般的な「美少女ゲーム」とはかなりテイストが異なります。
どの美少女ゲームタイトルでも比較的共通している特徴と言えば“剣と魔法のファンタジー”、“未来技術の発達した終末世界”、“擬人化(※)”などなど。概ねこういった世界観に美少女キャラクターが過剰なまでに掛け合わされていたりするものです。
※「擬人化」については流石に使い古されたテーマなのか、bilibili内では最近見かけることが減りました。
これらは実質的に『原神』『アークナイツ』などの大ヒットコンテンツの後追いになっている状況で、事前登録開始、あるいはリリースされたとしても、bilibiliでは初動以降徐々にランキングが下がる傾向にあるようです。
その点、本作では上記に挙げたありがちなジャンル、テーマとはややかけ離れた独自性がウケており、ブリティッシュ(英国的)な世界観とちょっとハードボイルドなジャズソングの組み合わせがユーザーたちを虜にしています。
ゲームの設定としては、1999年12月31日23時59分、突如発生した正体不明の“嵐”の影響でその時間以降、未来へ進むことなく急速に時間退行してしまった世界が舞台となっています。唯一時間退行の影響を受けない主人公は、そんな不思議な世界で数々の時代を巡りながら仲間を集め、その嵐の秘密を解き明かしていくことになるのです。
時間退行した1920年~1960年代における「ロンドン」「ニューヨーク」といった、古き良き時代のカルチャーをゲームの中で描き、それらを世界観に上手く落とし込んでいるのが本作の大きな魅力です。
美少女キャラクターはもちろん登場しますが、全体的にクラシカルな時代背景やダウナーな空気で織りなす他では見られないユニークな切り口が、中国ゲーマーたちの興味を大いに惹きつけたのでしょう。
実際、bilibiliではパブリックベータ版の公開以前から、ランキングの上位を安定してキープし続けていました。現在はユーザー間で積極的な意見交換が交わされている段階で、ゲームバランスの悪さが指摘されつつも、世界観や楽曲、英語吹き替えによる物語体験は評価されているようです。
◆ 遅れる形で“日本上陸”もあり得るか?
近年、多数の美少女ゲームが日本国内へと進出してきているのは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
中国国内で展開されている全てのタイトルというワケにはいかないでしょうが、bilibiliでの話題性を見るに『重返未来: 1999』が日本上陸する可能性は十分に考えられそうです。
また、本作は2020年ごろに中国で設立された「深藍互動(bluepoch)」が手掛けるデビュー作。同社のホームページにおける求人情報をチェックしてみると【海外投放(日本)= 海外発売(日本)】のポジションが募集されています...!
これはあくまで筆者一個人の推論に過ぎませんが、求人では他にも「日本」に関係したポジションが複数募集されていることからわかるように、市場の1つとして日本を見ているのは間違いなさそうです。
ともすれば近い将来、日本でのサービス展開に期待を持ちたくなるのがゲーマー心理というものではないでしょうか。
ゲームが気になる方は、本作の公式YouTubeチャンネルで公開されている魅力的な楽曲をゆるりと楽しみながら、首を長くして待っておきたいところですね。