本作は機械と魔法が入り混ざったファンタジー世界を舞台とするRPGタイトル。
2021年のbilibiliゲーム新製品発表会で初披露された本作ですが、Androidのサードパーティー製モバイルアプリゲームのプラットフォームとして人気の「TapTap」に記載された情報によると、『原神』に携わったメンバーが数名ほど開発に参画しているらしく、既に海外ではかなり注目を集めています。
今年4月6日には、アメリカを含む一部の国でパブリックテスト版が公開されており、中国メディア「揚帆出海」の報道によるとリリース初週にアメリカ、タイ、シンガポール、マレーシアの4カ国にて、App StoreのTOPチャートを飾ったとのことです。
さらにプロモーション展開にも相当な力を入れています。人気バーチャルライバーグループでお馴染み「にじさんじ」の海外グループ「NIJISANJI EN」のメンバーたちが歌うテーマソングまで存在しているのです。
今回は運良く『Higan: Eruthyll(ヒガン:イルシール)』のクローズドβテストに当選した筆者が、プレイレポートをお届けしていきます。実機プレイの映像も盛り込んでいるので、ぜひそちらもチェックしてみてください!
◆ 「現世」と「楽園」2つの世界を行き来するファンタジー
本作の舞台は機械と魔法が独自に発達した世界【イルシール】です。プレイヤーはそんな世界で表向きに劇団として活動している【ゴーファー劇団】の新任団長を務めることなります。
この世界では“現世”と“楽園”の2つの世界によって成り立っており、楽園はさまざまな願望が叶うとされていました。しかし、普通の人間が楽園に入ると魂が囚われて眠りに落ちてしまい、やがてモンスターに変貌を遂げてしまうのです。
ゴーファー劇団は楽園から人々の魂を解放するため、世界各地で巻き起こる数々の事件を解決していきます。キャラクター同士のコミカルな掛け合いで相殺されていますが、シナリオ自体は意外と重めです。
今回のクローズドβテストでは、日本語と中国語ボイスが選択でき、英語字幕まで用意されていました。メインストーリーはフルボイスで、キャラクターの立ち絵イラストが会話する簡易的なアドベンチャーパートなどはありません。
つまり物語は全てムービーシーンで構成されており、アニメ調の3Dモデルが存分に活かされています。また、“人間の欲望がもう1つの世界で顕現する”という設定は、どこかのRPG作品でも聞き慣れた設定で、親しみを覚えます。
キャラクターの表情やモーション、日本声優陣たちの演技なども相まって物語の没入感は高め。各種ムービーシーンは画面右上の【Speed】を押すと、1.5倍速で再生できるのが珍しく思えました。ちゃんとキャラクターの台詞も1.5倍速になっています。
ゲームを進めていけばプロローグ部分からメインストーリーの各チャプター全てのムービーを見返せる、便利なギャラリー機能が解放されます。忙しいプレイヤーも初回はスキップして、後からギャラリーでまとめて見返す......なんてこともできそうです。
思えば『原神』『崩壊:スターレイル』など、スマートフォン向けの人気3Dタイトルではムービーシーンを見返す機能がないため、このギャラリー機能が備わるだけでも嬉しいものですね。
◆ 複数のキャラクターたちが入り乱れるリアルタイムカードバトル
本作を象徴するのがリアルタイムで進行していくカードバトル風な戦闘システムです。
キャラクターはオートアタックで敵との戦闘を繰り広げていきますが、プレイヤーは時間経過で溜まっていくエネルギーを消費することで、手札のスキルカードを行使できます。
キャラクターが持つスキルごとに効果範囲は定まっているので、戦況に合わせて手札を活用していくのがポイントです。カードが持つ効果を組み合わせ、シナジーを活かしながら戦術を組み立てていく面白さが感じられました。
例を挙げると、散開している敵をスキルカードAでフィールド中央に集め、範囲攻撃のスキルカードBでまとめて叩く。この流れは極シンプルですが、アクションゲームに近い爽快感があり、直感的に遊べるシステムだと感じました。
ボス戦では攻撃を集中的に当て続けていくと、ボスのHP下に表示された“白いゲージ”が徐々に蓄積していきます。
これが最大値に達することで【シールド・バースト(SHIELD BURST)】が引き起こされ、エネルギー無消費でガンガンスキルカードを繰り出せるようになります。一定時間、一方的にボコスカと集中攻撃できるのです。
本作のように基本をオートバトルとしながら、スキル発動タイミングに比重を置いたセミオートバトルは珍しくありません(放置系RPGでは頻繁にみられます)。ただ、キャラクターによってはスキルで敵の陣形を崩したものの、そのまま囲まれてタコ殴りにされるというケースが多々起きました。
戦況を見極めながら、スキルを確実に運用していく慎重さが求められるようです。
◆ バトルは遊びやすくて爽快感バッチリ。気になる箇所はあるけど、正式リリースまでの改善には期待ができそう
一部の国ではすでにパブリックテスト版としてリリースされている本作。近年のスマートフォン向けRPGタイトルにしては、戦略性よりも“バトルの爽快感”がとりわけ重視されている印象を受けます。
スキルをフィールドのどこに放つのか?プレイヤーの手で実際にドラッグして、戦場に作用をもたらす感触が、リアルタイム進行の戦闘と上手く噛み合っていると思えます。
遊んでいて気になるのはストーリー中のムービーシーンでしょう。具体的にはムービーシーンの演出に迫力が欠けているのです。
例えば、モンスターとの戦闘描写はかなり地味目な印象を受けます。カメラワークや構図は悪くないのですが、場面の切り替わり方なども稀に違和感を覚えることがありました。
逆に会話シーンなど、チャプター内の山場となる場面は自然で印象に残りやすい表現になっているので、現時点ではクオリティに波があるといえるでしょう。
キャラクターモデリングは人によって好みが分かれそうですが、表情豊かに動いているところを見ると、そう気にならないかもしれません。なお、日本語ボイスはリップシンクに対応しているフルボイスなので、ここは大変魅力的に映ります。
個人的にはレア度に関係なく、キャラクター1人ひとりに専用の必殺技演出が用意されているのは推したいところです。遊んでいてどのキャラクターにも等しく開発チームの“愛”を感じられました。
一部になりますが、実機プレイ中に獲得したキャラクターたちの必殺技をまとめていますので、気になる方はチェックしてみてください。まだまだCBTのフェーズにある本作ですが、正式リリースでどれだけ変化を遂げるのかが楽しみです。