PS5/PS4ソフトが毎月「フリープレイ」の対象になるだけでなく、プランによっては「ゲームカタログ」に登録されている数百本のゲームをダウンロードして遊べるほか、懐かしいレトロなゲームが遊べる「クラシックスカタログ」といったサービスもあります。
そんなPS Plusの「PlayStation Plus プレミアム」に加わる新サービスとして、PS5のクラウドストリーミングの提供が10月17日より始まりました。プレミアム会員なら追加費用などはなく、誰でもこのサービスを利用できます。
対象タイトルに限られるとはいえ、対象ソフトをクラウドストリーミングでプレイできるこのサービスは、具体的にどんな内容なのか。そして、どんな利点があるのか。実際に触れてみた体験を通して、この新サービスの手応えに迫ります。
■改めてPS Plusのプランをおさらい
本題に入る前に、現在「プレミアム」「エクストラ」「エッセンシャル」と3つに分かれているPS Plusの各プランについてまとめておきます。
プレミアムエクストラエッセンシャル価格1ヶ月:1,550円
3ヶ月:4,300円
12ヶ月:13,900円1ヶ月:1,300円
3ヶ月:3,600円
12ヶ月:11,700円1ヶ月:850円
3ヶ月:2,150円
12ヶ月:6,800円毎月のフリープレイ○○○オンラインマルチプレイ○○○加入者限定割引○○○加入者限定コンテンツ○○○クラウドストレージ○○○シェアプレイ○○○ゲームヘルプ○○○ゲームカタログ○○Ubisoft+ Classics○○クラシックスカタログ○ゲームトライアル○ストリーミングゲーム○オンラインプレイマルチプレイや毎月のフリープレイ、加入者限定の割引にセーブデータのクラウドストレージといった基本サービスはエッセンシャル~プレミアムまで共通で提供されます。中位のエクストラに加入すると300本近いヒット作や名作が遊び放題の「ゲームカタログ」と、ユービーアイソフトの『アサシンクリード』や『ファークライ』といった人気シリーズが遊べる「Ubisoft+ Classics」も楽しめます。
そして最上位のエクストラに加入するとエクストラまでの全サービスに加え、初代PlayStationからPS3、さらにはPSPのタイトルをPS5で遊べる「クラシックスカタログ」、新作含む一部タイトルの本編を購入前に体験できる「ゲームトライアル」、そして本稿で紹介する「クラウドストリーミング」が追加で提供されるのです。
■PS5のクラウドストリーミングってどういう内容? 対象はどこまで?
クラウドストリーミングサービスでどんなタイトルが遊べるのか、まずその点が気になる方も多いことでしょう。その対象は広く、「ゲームカタログ」や「ゲームトライアル」でユーザーがアクセスできる対象タイトルに加え、PlayStation Store(以下、PS Store)で購入した対象タイトルもストリーミングでプレイ可能。いわゆるダウンロードソフトも、対象であればこのサービスを受けられます。
※クラウドストリーミングに対応しているかは、タイトルごとに異なります
ストリーミングでのプレイなので、ダウンロードの手間をかけずにプレイできる気軽さが本サービスの最も大きな特徴といえるでしょう。なお、パッケージ版のタイトルは対象にはならないのでご注意ください。
また、ストリーミングに対応していれば、「フリープレイ」のタイトルも対象に含まれます。PS Plusに長く加入している人ほど、ライブラリーが充実しているはず。これまでの積み重ねをもっと気軽に利用できるようになるので、PS Plus愛用者ほど活用のし甲斐がありそうです。
PlayStationの公式ブログにて、PS5のクラウドストリーミング対象となるサービスカテゴリーが公開されており、このリストを見ると対応の幅広さがうかがえます。
「PlayStation Plus プレミアム」クラウドストリーミングサービスの対象
「クラシックスカタログ」に含まれる初代PlayStation、PlayStation 2、PlayStation 3、PSP「プレイステーション・ポータブル」のタイトル
「ゲームカタログ」に含まれるPlayStation4とPS5のタイトル
「ゲームトライアル」に含まれるPS5のタイトル
対象のPS5用デジタル版タイトル(PS Storeを通じて購入もしくは入手し、ゲームライブラリーに追加したタイトル)
また本サービスを利用する場合、複数の解像度オプションも用意されています。自身の環境や好みに合わせて選択すれば、よりよい体験が味わえるでしょう。
「PlayStation Plus プレミアム」クラウドストリーミングサービスの対応解像度
2160p(4K):52Mbps以上推奨
1440p:38Mbps以上推奨
1080p(Full HD):23Mbps以上推奨
720p(HD):13Mbps以上推奨
※各解像度に対応しているテレビやPCモニターが必要です。最低5Mbpsのインターネット回線速度が必要です。1080pは15Mbps、4Kは38Mbps以上が必要です。
<cms-pagelink data-page="2" data-class="center">ストリーミングで遊ぶと、入力遅延やカクつきはあるの?</cms-pagelink>
■手軽さは十分なメリット、遅延やカクつきはプレイヤーの許容範囲次第
ここからは、本サービスに触れた体験についてお伝えします。
これまでは、ライブラリーにあってもダウンロードしていない場合、まずデータをダウンロードしなければそのゲームは遊べません。作品によっては数十GB、時には100GBを超えるケースもあり、言わずもがなですがデータの大きさに比例してダウンロードに時間がかかります。
ですが本サービスの対象なら、ゲームデータのダウンロードを挟まないので、比べものにならないくらい素早くプレイを開始できます。試しに『Ghost of Tsushima Director's Cut』をストリーミングで立ち上げたところ、ざっと40秒ほどで操作可能な状態に辿り着きました。
ただしこの時間は、回線の状況や個々人の環境、対象ゲームにも左右されますので、常に一定ではありませんし、時間帯によっても変化します。先ほどの例は昼間に試したもので、明け方に改めて調べてみると、今度は25秒ほどでした。本記事で表記する時間はあくまで一例とお考えください。
ともあれ、多少のバラつきがあるとはいえ、ゲームデータをダウンロードする時間と比べると、ストリーミングの立ち上がりは桁違いです。ちなみに『Ghost of Tsushima Director's Cut』のDL版をPS Storeから落とそうと思った場合、筆者の環境では20分を超える表示が出ています。一方ストリーミングなら、プレイ開始まで25~40秒ほど。
気になるストリーミング中のゲームプレイですが、グラフィックの表示(美しさ)はダウンロードしてプレイするのと遜色を感じないほどでした。ただし、解像度の設定や遊ぶゲーム次第で、カクつきやチラつきなどは多少感じてしまうのが正直なところ。できるだけ快適さを求める場合、解像度は抑えめの方が良さそうです。
入力の遅延もわずかながらあるようで、高難度のアクションやSTG、フレーム単位の入力が求められる対戦格闘ゲームなどは、プレイに影響を及ぼす可能性があります。一方で、シビアな判定が求められないゲームやジャンルであれば、よほど敏感なプレイヤーを除くと、ダウンロードしてプレイするのと感覚的に大きな違いはなく楽しめそうです。
ちなみにPS5版の『Ghost of Tsushima Director's Cut』は、ファストトラベルのロード時間がかなり短く、わずか1秒ほどという優秀さ。その短さはストリーミングでも変わることなく、体感では違いが分からないレベルでした。
カクつきや入力の遅延は、回線の環境や時間帯(混雑など)で度合いが変わるため、一概に「これくらいの影響がある」と絶対的な指針は出しにくいところです。
それを踏まえた上でプレイ感を中心に語ると、フレーム単位で判定の成否を求められる場合は厳しさがあるものの、それ以外であればさほど違和感なく楽しめます。また『Ghost of Tsushima Director's Cut』のような描写の細かい3Dゲームの場合、カクつきを感じる場面もあるので、ストリーミングに向くゲームと向かないゲームははっきりと分かれそうです。
ただし、プレイヤーごとに許容できるラインも違いますから、わずか数フレームの遅延が気になる人であればRPGやADVでも不満を感じるでしょうし、気にならない方なら3Dゲームも十分楽しめるかと思います。
<cms-pagelink data-page="3" data-class="center">本サービスはどういう使い方がいいのか考えてみた</cms-pagelink>
■圧迫しがちな容量の軽減や、次に遊ぶゲームを探すのに手段としてお勧め
一通り体験した上で感じた魅力は、何よりも「ダウンロードしていないゲームを素早く始められる」という点です。気が向いた時に、ダウンロード時間を待たずに遊べるのは、確かな利点でしょう。
そもそも長く遊ぶなら、そのゲームをダウンロードした方が快適です。数フレームでも遅延がない方がいいですし、チラつき等も心配しなくてすみます。しかし、PS5のゲームは総じて容量も大きく、数十GBの作品が多数存在するので、気になったゲームを平行して遊びたい人は、一部のゲームをストリーミングでのプレイに回すことで容量を節約できます。
またストリーミングでのプレイは、次に遊ぶゲームの探索にも役立ちます。プレミアム会員は遊べるゲームの選択肢が非常に広いのですが、ちょっと気になったタイトルがあっても、ダウンロードする手間を考えるとプレイするには消極的になりがちでした。
ですがストリーミングを活用すれば、これまでとは比べ物にならないレスポンスで、未体験のゲームをプレイできます。そこで気に入ったら長く遊ぶためにダウンロードし、ピンと来なかったら別のゲームをまたストリーミングで試す……という流れで、次のゲームとの出会いを気軽に探せるのも大きなメリットです。
一方で、環境や状況に左右されやすい点や、厳密にいえば最高のパフォーマンスでは楽しめない点はこれまでも述べてきた通り。また、エッセンシャルやエクストラの会員は対象外なので、現時点ではコアにPS5を使うユーザーに限られたハードルが高めのサービスともいえるでしょう。
ここからは個人的な話になりますが、入力遅延や低解像度、不安定といった印象をゲームのストリーミングサービスに抱いていたので、今回試す際にも少なからず警戒していました。
しかし、これまで挙げてきた問題はあるものの、過去に触れたサービスとは質が違っており、驚かされたのも事実です。シビアな判定のないゲームなら、このサービスを利用していくつもゲームが遊べそうだ、と感じました。
とはいえ、本サービス目当てでプレミアム会員になるか……と聞かれると、そこまでの強みは感じません。基本的なサービスが得られるエッセンシャルと、最高ランクのプレミアムでは、価格には2倍近い差があるわけで、過去のカタログにアクセスできる魅力などを含めてどう捉えるかはユーザー次第というところでしょうか。
なお、本稿の主旨からは少し離れますが、PS5のメディア内に「Sony Pictures Core」というアプリがあり、プレミアム会員なら約100本もの映画が見放題になるサービスが始まっています。
見放題の中には、「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」や「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」、「アンチャーテッド」に「ゴーストバスターズ/アフターライフ」などの作品が含まれており、いくつか見たい作品があれば、プレミアム会員になる価値は見出せることでしょう。
クラウドストリーミングに映画の見放題とプレミアム会員向けのサービスが拡充されているので、もう一押し何かあれば……と上位プランが気になっているユーザーは、グレードアップしてみる良いタイミングかもしれません。