アトラスは、『真・女神転生』シリーズや『世界樹の迷宮』シリーズなど、数多くのRPG作品を世に放ってきました。その中でも特に人気を博しているのが、少年少女の葛藤や成長を描くジュブナイル作品『ペルソナ』シリーズでしょう。


近年の『ペルソナ』シリーズは、主人公たちが学生生活を1年間を送りながら、様々な事件や異変へと立ち向かうスタイルが主流に。学園生活と非日常の交錯から生まれるドラマが、多くのプレイヤーを虜としました。

こうしたスタイルでヒットを遂げた『ペルソナ3』『4』『5』のクリエイター陣が集結した完全新作RPG『メタファー:リファンタジオ』が、2024年秋に発売されます。本作の舞台はファンタジーですが、制作陣の面々から『ペルソナ』ファンの注目を集めており、『メタファー:リファンタジオ』がどんなゲームなのか関心が寄せられています。

『メタファー:リファンタジオ』はまだ謎めいた部分が多い作品ですが、先日行われた年末特番「メインキャスト大集合SP」にて、その一部が明かされました。そこで今回は、番組で判明した新情報を元に、『ペルソナ』シリーズとの違いなどを掘り下げつつ紹介します。『ペルソナ』ファンはもちろん、完全新作の大作RPGが気になっている方もご覧ください。

■「選挙」で全土が揺らぐファンタジー世界
現代日本の学園生活に軸を置いていた『ペルソナ』シリーズとは異なり、『メタファー:リファンタジオ』の舞台は完全オリジナルのファンタジー世界です。

主に8つの異なる種族が生きる「ユークロニア連合王国」は、強大な魔法を受け継ぐ王家が統治していましたが、長きにわたる経年から腐敗が進み、格差と差別による「美徳なき国」へと堕落してしまいます。

そのような折に国王が凶刃に倒れ、統治者がいなくなった混乱の世が訪れようとしていましたが、「次の王を決める魔法」が発動して状況が一変。王国全土を巻き込む「選挙」による王位争奪のレースが幕を開け、物語が動き出します。

『ペルソナ』シリーズの場合、事件を起こす張本人がいて、その事件に巻き込まれたり立ち向かう形で物語が進みました。
ですが『メタファー:リファンタジオ』の場合、王国規模の「選挙」に関わる形で物語が展開します。

かたや「学園」という日常があり、かたや選挙の支持を集めるため「旅」が拠点に。定点と動点、正反対とも言えるスタイルですが、「事態や事件に巻き込まれる」という点では共通しています。

ちなみに「次の王を決める魔法」は、国民から人気を集めた者が次の王になれるというもの。最も人気を集めれば、誰でも王になれる──分かりやすく、しかし手段は不問で人格も問題にならない、恐ろしい制度(魔法)です。

■異能の力は『メタファー:リファンタジオ』でも健在
『ペルソナ』シリーズは、「もうひとりの自分」であるペルソナを使いこなして戦います。攻撃だけでなく、回復や支援などの能力もありますが、どれも「まるで魔法」と見まごうばかりです。

『メタファー:リファンタジオ』にはズバリ「魔法」が存在しており、超常のごとき力を使いこなす楽しさはこちらの作品でも味わえそうです。この世界における魔法は、人が持っているイマジネーションから湧き出る力なので、内面から呼び起こすという点も『ペルソナ』シリーズと近しいものを感じます。

ただし『メタファー:リファンタジオ』の場合、「魔法」を呼び起こす力自体が衰えており、特別番組では「装置がないと魔法が使えない」と説明されていました。

「目覚める」ことで力が使える『ペルソナ』。人が本来持つ力が失われており、装置の手助けで使用する『メタファー:リファンタジオ』。
共通する部分もあれば、それぞれの世界に合わせた表現になっている部分もあるようです。

<cms-pagelink data-page="2" data-class="center">カスタマイズと選挙期間も『メタファー:リファンタジオ』の重要な要素</cms-pagelink>

■主人公やパーティキャラの能力について
『ペルソナ3』以降のナンバリングシリーズでは、主人公のみ例外ですが、仲間たちが呼ぶペルソナは固定化されています。物語の途中で進化はするものの、あくまで進化の範疇なので、そのキャラのバトルスタイルは基本的に変わりません。

『メタファー:リファンタジオ』の場合は、「メンバー全員をカスタマイズ可能」とのこと。具体的な内容やカスタマイズの範囲はまだ明かされていませんが、かなり自由度が高いシステムになりそうです。

また、「人と触れ合うことで、アーキタイプに目覚める」といった説明もありました。アーキタイプについての明確な説明はなかったものの、話の流れから察するに、クラス(ファイターなど)のようなものと思われます。もしアーキタイプもカスタマイズの範囲に入るのならば、かなり自由度が高く、戦略性のあるバトルが楽しめるかもしれません。

■決められた時間をどのように過ごすのか
学園を中心とする『ペルソナ』シリーズと、各地を旅する『メタファー:リファンタジオ』。その行動範囲は大きく違いますが、いずれも「期限が定まっている」という共通点があります。

『ペルソナ』シリーズは、その時々で様々な事件が起きますが、約1年間を通して大きな物語が結末へと辿り着きます。この期間の学生生活をどのように過ごすのか、プレイヤーごとに違いが出てくる点です。


『メタファー:リファンタジオ』は、選挙の協力者、つまり支持者を集めるために旅を行います。一か所に留まることなく各地を転々としますが、それは無期限の旅ではありません。「選挙」なので、当然「選挙期間」が設けられています。

「選挙期間」という定められた時間の中で、どんな旅を行うのか。「学園生活」と「旅」はまったく違いますが、一定のスケジュールの中で問題に取り組み、解決していくという共通点を持ちます。

<cms-pagelink data-page="3" data-class="center">『メタファー:リファンタジオ』が持つ、特徴的なゲーム性</cms-pagelink>

■ゲーム進行の自由度には、大きな違いが
『ペルソナ』シリーズにおける学園生活の過ごし方は、プレイヤーが決定できる範囲が大きく、自分なりの日常を送ることができます。一方で、起きる事件や異変、挑むダンジョンなどは順番が決まっており、目の前にあるものをひとつずつ片づけていくのが基本です。

『メタファー:リファンタジオ』は、主軸となるストーリーはあるものの、その合間合間にやれることが多く、攻略の順番やそのやり方はプレイヤーに委ねられています。

番組内でも、「いきなりこのダンジョンにいくのか、こっちのクエストをやってレべリングしてから行くのか」「プレイしていて“これが正解”というのが、いい意味で持てないRPG」と、その自由度の高さが示唆されていました。

■コマンドRPGだけに収らない、ユニークなバトルシステム
ベースがコマンドRPGという点は、『ペルソナ』と『メタファー:リファンタジオ』はいずれも共通しています。ですが、『メタファー:リファンタジオ』の場合、倒し方が分かっているような格下の敵は、フィールド上で倒すこともできます。

このシステムも詳細はまだ明かされていませんが、公開済みの映像を見ると、フィールドにいる敵をアクションゲームさながらの動きで倒すシーンを確認できます。
もちろん、コマンド入力で戦うRPGらしい戦闘も用意されており、この2つの手段で戦うことができる模様です。

フィールド上で敵を倒すシステムは、「格下との敵には時間を費やさず、爽快にプレイして欲しい」「先が気になるストーリー、カスタマイズ、どうやって攻略するか、そういう部分に時間を使って欲しい」といった思いが導入したとのこと。この点は、『ペルソナ』とは一味違うプレイ体験が楽しめそうです。

発売時期がしばらく先なので、まだ詳細な内容は明かされていないものの、その概要を少しずつ見せ始めている『メタファー:リファンタジオ』。全く新しい試みもあれば、『ペルソナ』シリーズの経験を活かしたゲーム性も垣間見えます。

その全容が判明するのはしばらく後になるでしょうが、2024年を代表するゲームの1本になるのは間違いなさそうです。アトラスの新たな挑戦を、その目で見届けましょう!
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