最近中国本土では、公式ライセンスを受けてオフィシャル的に開発された日本のIP作品が増えてきています。しかし、平成の頃には何かと「パクリ大国」として多くの媒体で話題にされ、日本の知的財産を侵害しているようなニュースも散見されていました。


現在ではそうした傾向も目減りして、自国の魅力的なIPを逆に輸出したり、積極的に海外の人気IPとコラボレーションしたりするなど、モノづくりに対する文化の変化を感じ取れる気がしています。また、下手に他国の知的財産を侵害するリスクを取るよりかは、大手コングロマリットの傘下として、他国人気IPのゲーム開発をオフィシャルで行う方がメリットの観点で見ても大きいのでしょう。

ですが、日本の人気IPを無断で使用したゲームタイトルは世の中にいまだ蔓延り続けています。アプリアイコンが妙に怪しいジャンプ系のアプリが出現すると、アメリカ、香港、台湾といった国々でランクインしているケースを度々見かけるのです。

日本ユーザーならば一目見ただけで「パクリゲー」と判別でき、それを避けるユーザーが多いとは思うのですが、海外ユーザーたちはやはり興味本位で遊んでしまうのかもしれません。中国ではそうした事例が減ってきているのに対し、それでもアウトなゲームが出回ってしまうのは些か悲しいものがありますね。


※本稿では、システム上の関係で簡体字/繁体字で表記すべき部分も異体字に置換している場合があります。

◆『新月同行』
度々インサイドでも取り扱ってきた中国で話題の新作タイトル『新月同行』が、6月14日からベータテストを実施しています。本作はbilibili、TapTapにおいて事前予約数の上位に居座り続けているタイトルの1つ。ほかには7月4日にグローバルリリースを果たす、HoYoverseの新作アクション『ゼンレスゾーンゼロ』などが代表的です。

ベータテストが開始された6月14日時点で『新月同行』の事前予約数は170万人を突破しており、今後正式ローンチにかけて中国国内の事前予約数はまだまだ伸びていくことが予想されます。

早速ゲームに触れてみましたが、横スクロールの表現ながらキャラクターがグリグリとアニメーションしてくれました。
バトルそのものは一般的なターン制のコマンドバトル形式ですが、キャラクターが行動を開始する際、そのキャラクターの背面が描写される『呪術廻戦 ファントムパレード』のようなカメラワークが印象的。作中では機械と融合を果たした超次元的な生命体との戦いや、月と地球を列車で行き来するSF風味な世界観が描かれていきます。

ゲームは日本語化はされておらず中国語ボイスのみですが、Xでは繁体字版あるいは日本語版と思われるSNSアカウントの存在も確認されており、中国本土以外でも展開される可能性が濃厚になりました。

フェイクの可能性も疑いましたが、bilibiliで『新月同行』のPVが初めて公開された日時は2022年11月4日。そして本アカウントも2022年11月に開設されたもののようでした。そうしたスピード感を考えてみると、フェイクとは考えにくくもあります。
もちろん、確証がないので断定こそできませんが、今後の動きには期待したいところです。

◆『王者栄耀 星之破曉』
テンセントの人気スマートフォンMOBA『王者栄耀(Honor of Kings)』のIPを使ったアクションRPG『王者栄耀 星之破曉』が、6月13日からベータテストを開始しました。

本作は広大なフィールドを舞台に多人数のキャラクターが生き残りをかけて戦うバトルロイヤル。作中には『王者栄耀』でもお馴染みのヒーローたちがプレイアブルキャラクターとして登場しています。

しかしながら本作は「バトルロイヤル」だけを主題としたゲームでもないようです。公開中のPVには、任天堂の大人気対戦型アクション『大乱闘スマッシュブラザーズ』から絶大なインスピレーションを経たと思わしき、“横画面吹っ飛ばし系アクション”のルールも確認できます。


スマブラライクなゲームはこれまでに『プレイステーション オールスター・バトルロイヤル』『ニコロデオン オールスター大乱闘』、スマートフォンアプリに『フラッシュパーティー』などがあり、いちゲームジャンルとして確立され始めている流れができています。本作もそうした流れを汲むフォロワーの1つと言えるのでしょう。

『王者栄耀』は、6月20日に日本を含む世界の各地域で念願のグローバルリリースを迎えます。中国本土では2015年ごろから配信されていますが、「これまでアプリストアの上位圏にいない日がなかったのでは?」と感じてしまうほどのヒット作で、デイリーアクティブユーザー数も今や1億人を超えると言われています。

今回紹介している『王者栄耀 星之破曉』では、MOBAのイメージが強かった『王者栄耀』の世界観と可能性を広げる新たな試みになりそうです。今後どのように受け入れられていくのか期待せずにはいられません。


◆『山海鏡花』
6月13日に台湾、香港、マカオといった地域でリリースされたRPG『山海鏡花』が、App StoreとGoogle Playにてランキング上位に浮上してきました。中国では4年前の2020年に配信されたタイトルですが、時間差があっても他国では新作タイトルとして映るものです。

アプリストアの紹介を訳してみると「『山海鏡花』は、古代神話を現代美学のスタイルで再解釈し、幻想と東方神話を融合させた作品」とされています。

冒頭部分だけをプレイしてみましたが、古代中国の世界と現代が融合したような世界観には光るものを感じられました。『クーロンズゲート』のような独特の世界観が好きな人は、惹かれるものがありそうです。

ゲーム自体はターン制のコマンドバトルがベースでとても取っ付きやすいのですが、作中のUIや建物、キャラクタービジュアルには風水や陰陽といった伝統的なモチーフが盛り込まれ、自然と引き込まれていきました。
ただし、ゲーム内ボイスは現時点で中国語のみとなっています。

しかし、公式YouTubeで公開中の主題歌PVにはわざわざ日本語字幕まで付けられており、将来的に日本上陸の構想があったりするのかもしれません。本作もXにて日本版のSNSアカウントが確認できています。