◆基本はソロプレイ、ボス戦のみマルチプレイにも対応!
『BREAKERS』の舞台は、大陸が散り散りに引き裂かれた世界「セラフィア」。人体に有害な魔力汚染のせいで大陸間の交流が長い間断絶されていましたが、やがて空を駆ける船「潜空艇」でその障壁を乗り越える冒険者が出現。境界を破る者(ブレイカー)と呼ばれる彼らが、未訪の地・神の書庫を探して旅立つ姿が描かれます。
TGS2023では、主人公のカイト、リズ、シオンの3人の出会いを中心に、街からシームレスにつながるフィールドへ出て、ダンジョンでイベントバトルを行うところまでを楽しめました。全体的なプレイフィールとしては「シングル専用のMMORPG」という印象でした。
一方、今年のTGS2024では、上記の3人にバアル、ヘレン、エルカを加えた6人の中から3人を選んでボスと戦う、ハンティングアクション風のバトルが試遊のメインとなっていました。
各キャラは通常攻撃とチャージ攻撃のほかに、クールタイムが短い「特殊技」、クールタイムが長めの「必殺技」を持っており、防御手段はバックステップと各方向への回避のみが用意されています。シンプルにまとまっているので、複雑な操作に悩まされるようなことはありません。
また、本作は味方キャラや敵に「元素」と呼ばれるいわゆる属性の概念があります。「ソロでもマルチでも挑めるハンティングアクション」はマルチプレイの方が効率がよくなりがちですが、きっちりとボスの弱点属性を突けるキャラ3人でパーティーを組めば、ソロプレイでもかなり戦いやすいのではと感じました。
◆ヒーラーでもしっかりダメージを与えられて好感触!
6人のプレイアブルキャラをひと通り使用して感じたのは「ヒーラーのヘレンでも通常攻撃で結構いいダメージを出せる」ということでした。特殊技がパーティー全員の体力回復、必殺技がパーティー全員へのバフ(強化)なので純粋なダメージ量はさすがにアタッカーほどではありませんが、ヒーラーに推しキャラを見つけた人でも「そのまま推しキャラを使い続ける」融通が効きそうな印象です。
アクション操作はシンプル、アニメーションやキャラクターデザインのクオリティは高く、無理にマルチプレイをせずともソロで遊べて、PvP(プレイヤー同士の対戦)要素はナシ。最近は基本無料タイトルも1人でじっくりと遊べるタイトルが増えている印象ですが、本作もそうした“今風”のゲームに名を連ねそうだと感じました!
最後に、本作の開発を手がける韓国企業・VIC GAME STUDIOSの事業統括 兼 日本支社の代表であるイ・ドンギョ氏、VIC GAME STUDIOS 統括プロデューサーのイ・ドンジュン氏、同社アート総括のハン・ソクジュン氏へのインタビューをお届けします。
◆打撃武器でも切断をともなう部位破壊は可能。その方が“推しをずっと使っていられる”から!
――本日はよろしくお願いします。イ・ドンギョ氏には去年のTGSでもお話をうかがいましたが、イ・ドンジュン氏とハン・ソクジュン氏は、これまでどのようなゲームを手がけてきたのでしょうか。
イ・ドンジュン氏:私は、TVで放送される2Dアニメーションの作画監督でキャリアをスタートしました。そこからゲーム業界へ移り、BLUESIDEの『Kingdom Under Fire』を手がけました。
そこからNEOWIZの『BLESS』、Capcom Entertainment Koreaの『モンスターハンター フロンティア』、NCSOFTとネットマーブルでそれぞれ非公開タイトルに携ったのちにVIC GAME STUDIOSに移って今に至ります。
ハン・ソクジュン氏:私も同じくBLUESIDEで『Kingdom Under Fire: The Crusaders』に携わりました。そこからNEOWIZの『BLESS』、NEXONの『Durango』と『アラド戦記』、ネットマーブルの『七つの大罪~リトルクロニクル~』と『七つの大罪~光と闇の交戦~』に携わり、現職となります。
――お二人はVIC GAME STUDIOSに所属する前から、さまざまなゲームを一緒に作ってきているのですね。
イ・ドンジュン氏:実は私たちは仕事だけでなく、社会に出る前からの友人なんですよ。
――それは連携が取りやすそうですね! それでは、あらためてゲームの概要を教えてください。
イ・ドンジュン氏:『BREAKERS : UNLOCK THE WORLD』は、クラシカルな王道ファンタジーのストーリーを楽しみながら各キャラクターの魅力も味わえる、モバイル/PC用のハンティングアクションRPGです。
ハン・ソクジュン氏:ビジュアル面では、王道ファンタジーを追求しつつ本作ならではの絵作りをすることを大切にしています。
――昨年のTGSではストーリーの一部を楽しめましたが、今年はハンティングアクションという側面を強く打ち出したバージョンとなっていましたね。
イ・ドンジュン氏:本作はストーリーを第一に楽しんでいただきたいゲームで、ずっとシングルプレイで遊んでいただけます。
とはいえ、プレイ時間にかぎりがあるイベントでの試遊でストーリーを楽しんでいただくことは難しいので、今年はハンティングアクションとしての側面を強く打ち出すことにしました。
――試遊ではボスモンスターに部位が設定されており、特定の部位へ攻撃を集中することで部位破壊の要素があると確認できました。
イ・ドンジュン氏:そうですね。モンスターによっては尻尾が切れるようなこともあります。
――ハンマーのエレカ、メイスのヘレンというように刃のない武器を使うキャラもいますが、こうしたキャラも「特定部位の切断」といえるような部位破壊を行えますか?
イ・ドンジュン氏:そこはかなり悩んだところですが、結論としては「打撃武器でも切断に相当できる部位破壊はできる」ようにします。リアリティよりも、好きなキャラをずっと使える自由度の高さを重視したいと考えたからです。
◆開発スタッフは日本の作品に親しんで育った“猛者”ばかり!
――キャラクターについても教えてください。主人公であるシオンは、昨年と比べると帽子がなくなってロングヘア―になっているなど、“イメチェン”していますね。
ハン・ソクジュン氏:ゲームでお見せするストーリーにおいて、今のデザインの方がナラティブ(≒『BREAKERS』ならではのプレイ体験)が伝わりやすいと判断し、このように変更しました。
――昨年のTGSでは、シオン、カイト、リズの3人がプレイアブルでした。その3人に関しては昨年のインタビューでおううかがいしましたので、TGS2024の出展で初めて操作できたエルカ、バアル、ヘレンについて教えてください。
ハン・ソクジュン氏:エルカはツノとシッポを持つドラゴン族です。体に眠る竜の力が目覚めると人智を超えた強さを発揮しますが、そうした“人間とは異なる特徴”をネガティブに捉えてしまっているので、普段は消極的で泣き虫です。そうしたギャップを楽しんでいただければと思います。
バアルは自分こそが最強であると信じている、強さと自信を兼ね備えた剣士の女性です。しかしある時に敗北を喫してしまい、それ以来自らを鍛え直す修行の旅をしています。
ヘレンは想いを寄せている人がいながらも、その想いを胸に秘めたままでいる聖職者です。
――試遊では、アニメーション付きの強力な攻撃があるのも確認できました。
イ・ドンジュン氏:本作には特定の条件を満たすことで発動する“合体技”のようなものが複数用意されており、試遊で使えた「ウィーバーランス」は主人公たちの潜空艇・ウィーバーウェルが支援射撃を行うスキルです。
今回の試遊版では「3キャラが1回ずつ必殺技を使った瞬間」に自動で発動するように設定していました。発動条件はさまざまなものが用意されていますので、マルチプレイではプレイヤー同士が発動条件を満たすために協力するようなこともあると思います。
――今回操作できた6キャラの中で、アートチームで人気のキャラは誰ですか?
ハン・ソクジュン氏:ずばりエルカですね! 小柄でかわいらしく、色彩も華やかなキャラを作りたいと思っていたところに、日本支社からよいコンセプトを出してもらって魅力的なキャラにできたと思います。まさに日韓合作の良さが出せているのではないでしょうか。
――わかります。試遊では、この子を一番最初に使いました(笑)。本作のキャラは日本でも親しまれるデザインであると感じますが、日本市場を意識した面はあるのでしょうか。
ハン・ソクジュン氏:もちろん、日本のみなさんにも受け入れていただけたらという思いは常にありますし、実際に日本支社から意見や案をもらいながらデザインすることもあります。とはいえ、私たちを含む開発メンバーの多くは子どもの頃から日本の文化やコンテンツに親しんで育ってきていますので、強く意識せずとも自然とこうなるんです(笑)。
――韓国は日本よりオンラインゲーム大国で、PvP(プレイヤー同士の対戦)を好む人も多いイメージがあります。そんな中で、PvPがないゲームにした理由を教えてください。
イ・ドンジュン氏:私たちが目指す「キャラやストーリーを好きになってもらえるゲーム」と、PvPの相性がよくないからです。対戦で勝ちたいと思ったら、どうしてもキャラクターの「性能(ゲームキャラとしての強さ)」を意識してしまいますよね。しかし、私たちは「好きになったキャラをそのままずっと使っていられるゲーム」をお届けしたいのです。
レア度が違ってもキャラの強さが全然変わらない……とまではいえませんが、ボスの弱点を突ける属性武器などを適宜用意してもらえれば、どのキャラでもあらゆるボスを倒せるようなゲームにするつもりです。
――「お気に入りのキャラでじっくりと遊べるゲーム」になるということですね。それでは、最後にメッセージをお願いします。
ハン・ソクジュン氏:11月でシステム周りは完成の目途が立っており、そこまでいって開発度70%というところでしょうか。そこからはコンテンツを充実させていき、2025年6月頃を目途にユーザーテストとフィードバックを行うつもりです。その後大きな問題がなければ、2025年中にはリリースしたいと考えています。
イ・ドンジュン氏:世界観やストーリー、キャラクターの魅力を堪能していただけるゲームを目指して作っています。
ハン・ソクジュン氏:みなさんの記憶に残るゲームを作りたいと思っています。その目標を達成できるようにがんばります!
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