新たな狩りの幕開けとなった『モンスターハンターワイルズ』では、かつてないモンスターとの戦いや、武器の切り替えといった戦略性の広がりなど、ハンティングアクションが更なるパワーアップを遂げました。
しかし、グレードが上がったのはゲーム性だけではありません。作品を重ねるごとにグラフィックも強化され、バトルからハンターの何気ない生活まで、視覚的な描写力も格段に成長しています。
その中でもある意味罪深いと言えるのが、料理の描画でしょう。始まりは肉の丸焼きに過ぎなかった本シリーズの料理の描写が、今ではプレイヤー側の空腹を刺激するほど“美味しそう”に描かれており、「ゲーム欲を満たしている最中なのに、食欲を求めてしまう」という事態にすらなりかねません。
『モンハンワイルズ』の罪作りな食事風景は、その味すら想像したくなるほど。どんな料理がプレイヤーの胃袋を攻め立てるのか。独断と偏見による味の想像を交えつつ、お届けします。
■クナファ村の「おもてなし」で、食事の魅力を再発見!
『モンハン』シリーズにおける食事は、体力やスタミナの上限突破を含む特殊な効果……つまり、バフを目当てに摂取するものでした。その多様性を含め、食事の摂取によるバフ獲得というゲーム的な本質は、『モンハンワイルズ』でも変わっていません。
また『モンハンワイルズ』におけるストーリー部分は、チュートリアルを兼ねている面もあるため、特に序盤は慣れたプレイヤーなら苦戦する場面はありません。そのため、食事を摂らずにストーリーを進行させた人もいたことでしょう。
そんな実直なハンターたちに、『モンハンワイルズ』における食事の魅力をダイレクトに見せつけてくれたのが、クナファ村のイサイたちがお礼として振る舞ってくれた料理の数々です。
まずは、ふっくらと焼き上げられた小麦の香りが鼻孔をくすぐります。その見た目はナンやピザを思わせ、味わいも近いのですが、丁寧に練り上げられて生地が柔らかく、特に内側のモチモチ感が一線を画しています。
しかも、ここにたっぷりのハチミツがかかっており、この組み合わせだけで何枚も食べられそうなほど。村の近くにはハチミツが採れる場所も多く、クナファ村でもこの食べ方が定番なのでしょう。
ただし、いくら美味しいといっても、麦とハチミツだけで食べきってしまうのは少々もったいない話です。柔らかくなるまで煮詰めた豆と合わせて食べると、口の中で麦と豆が混然一体となり、美味しさが立体的に膨れ上がります。また、ボリューム感も一気に増し、腹持ちも良さそう。小さな村だからこそ、生まれた知恵なのかもしれません。
そして、もうひとつ外せないのが「クナファチーズ」のトッピングです。トッピングといっても、軽く乗せる程度ではなく、直火で温めたチーズを可能な限りガン載せ。固形から液体に変わる寸前のチーズが溶け流れていく様は、食欲を暴力的にかき立てます。
焼けた生地の暖かさは身体の芯を直撃しますが、熱々なチーズは口内から鼻の奥まで顔中に広がり、高揚にも近い熱の刺激が顔中を埋め尽くします。
熱と味と我を忘れたひとときも、心休まる一杯でフィニッシュ。眼鏡も曇らす湯気が、幸せの足跡となって刻まれました。
■過酷な土地でも上手い料理を!「焚き火料理」がハンターに活力を与える
素朴ながらも客人をもてなす素晴らしい料理と比べると、狩りの最中にハンターたちが口にする食事は、実直でシンプルなものになりがちです。とはいえ、腕の立つ料理人がいる拠点では豊富なメニューが並んだりと、土地や場所によってハンターたちの食事事情も変わります。
『モンハンワイルズ』における日常的な食事は、ハンター自身による「焚き火料理」となります。携帯食料が調理の主役になり、拠点以外でも食べられる手軽さが助かります。
携帯食料が主役と聞くと、レパートリーが乏しく、ワンパターンになりがちと思う人もいることでしょう。しかし、ハンターをサポートする体制が整っているためか、支給される携帯食料は「肉」「魚」「野菜」と、種類だけで3通りが用意されています。
1日3食をローテーションすれば、メイン食材を常に変化させることも可能。今回の食事事情も、なかなか悪くありません。
手早く、しかしガツンと食べたいなら、シンプルに「肉」を焼くのが一番。
余計なものが一切ない、肉々しさ極まる料理ですが、口にした時の満足感は狩りの疲れが吹き飛ぶほどです。濃厚な脂とバターは舌が溺れるほどにジューシーですが、飢えた喉が瞬く間に飲み干し、次の肉をと声なき叫びが上がります。
シンプルな旨味を引き出す肉料理もいいものですが、「魚」料理も一味違う趣きがあります。そのまま食べても十分美味しいのに、ここに「クナファチーズ」を投入すれば、肉に負けないパワフルな魚料理の誕生です。
焼き上がった魚の上半分を占めるのは、溶け広がったチーズの積雪。まだ誰も踏み入れていない新雪に足跡を残すように歯を立てる食感は、柔らかな背徳感に満ちています。
頭を落とし内臓も処理したのに、口に放り込むとまるで踊っているかのよう。熱でほぐれた新鮮な身を食べるそばから、次々に追加を焼きたくなる欲求に駆られます。魚の脂は健康的と自分に言い聞かせ、3匹焼いた魚もペロリです。
ハンターは身体を酷使する仕事なので、カロリーの高い食事を欲する機会が多め。
半玉ほどのキャベツを大胆に放り込み、崩すことなくそのまま蓋をかぶせます。キャベツ自身から水分が出るので、水を足す必要はありません。ただし、食材を追加するのは大いにお勧めします。
キャベツがボリューミーなので、食感や味わいの変化は歓迎。キノコを加えれば旨味が一気に増しますし、ちょっといいことがあった日にはエビを一緒に炒めて美味しく祝うのも一興です。
どんな追加食材でも受け止めてくれる野菜の包容力が、単調になりがちなハンター生活の食生活に確かな彩りをもたらすことでしょう。
■ハンター飯の基本にして王道の「こんがり肉」!
ハンターにとって最も身近で、調理の時間も短くて済む料理といえば、「肉焼き」に他なりません。焚き火料理のように手が込んでおらず、ひたすら肉を焼くだけというシンプル極まりない料理ですが、長年にわたってハンターたちの間で受け継がれてきた伝統的な食事でもあります。
この調理は場所を選びませんし、食材が調達しやすいのも嬉しいポイントです。狩りたての肉を手に入れれば、あとは携帯焚き火台で十分焙るだけ。
ちなみに、古来から伝わるリズムに乗った焼き方では、こんがりと焼きすぎてしまうのでご注意を。禁足地周辺の動物は肉が柔らかめなのか、存外早めに火が通ります。歯ごたえが増すため、こげ肉を好きな人もいるかもしれません。しかし、ジューシーな柔らかさも味わいたいところなので、適切な焼き加減で食したいものです。
見極める上で大事なのは焼き加減。プロならもっと細かくこだわるのでしょうが、現地での調理なので「食べたい!」と思った色味で仕上げれば十分。実際、ほどよい色味で引き上げれば、アイルーやアルマが絶賛してくれます。
上手く仕上がったら、あとは骨に沿っての切り分け。ナイフがあっさり入るところを見ても、やはりこちらのお肉はかなり柔らかそうです。これなら、食べた時も肉がほぐれやすく、すんなりと胃袋に収まりそう。
ここからさらにひと手間加えるなら骨を外すのも手ですが、フィールドワークにハンティングと忙しいハンターにとって、食べやすさも重要なポイントです。
ハンターにとって、まさしく携帯できる絶好の食料。素材の味と新鮮さを活かした味わいは野趣に溢れており、疲れた身体の隅々まで活力を与える格別の一品です。今日もこの肉を握りしめ、多くのハンターが禁足地を駆け巡っていることでしょう。
※料理や味に関する内容は全てフィクションで、現実や『モンハン』の世界とは異なるものです。