2025年に入って早くも4か月が過ぎました。今年は、シリーズに新たな革新をもたらした『真・三國無双 ORIGINS』や、待望のハンティングACT作新作『モンスターハンターワイルズ』といったパワフルなタイトルがいち早く登場し、ゲーム業界を沸かせています。


また5月末には、世界的な大ヒットを遂げた『ELDEN RING』のスピンオフ作品『ELDEN RING NIGHTREIGN』の登場も控えており、目の離せない大作のリリースが続きます。

しかし一方で、1990年代の一部ゲームファンを大いに沸かせた名作や話題作も、この2025年に新たな動きを見せています。約30年の時を経て、どんなタイトルが、どのように帰ってくるのか。2025年を席巻する“90年代”の熱気を、どうぞお見逃しなく。

■スイッチ『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』:発売中
1990年代前半は、家庭用ゲーム機では恋愛ゲームというジャンルがまだ浸透していませんでした。しかし、1994年に突如現れた『ときめきメモリアル』が多くのユーザーに強烈なゲーム体験を提供し、各店舗で軒並み品切れが起きるほどの事態を招きます。

潜在的な需要が高まる中、翌年の1995年にプレイステーション版『ときめきメモリアル ~forever with you~』が登場したことで、ユーザーの熱気がさらに高まり、ここから長年に渡る“恋愛ゲーム”の一大ブームが家庭用ゲーム機に広がりました。

『ときメモ』の通称でも親しまれた本作ですが、この名作が30年の時を経て、ニンテンドースイッチソフト『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』となって帰ってきました。

エモーショナル版は、当時と変わらない手触りや遊び心地を重視しており、あの時のプレイ体験をもう一度味わうことができます。一方で、本作ならではの新要素も追加されました。

そのひとつは、続編に当たる『ときめきメモリアル2』で初実装された「EVS(Emotional Voice System)」の搭載です。これは、任意で入力した名前やあだ名を、登場キャラクターたちが発語して呼んでくれるというもの。
「憧れのあの子が、自分の名前を呼んでくれる」という体験を、初代『ときメモ』でも味わえるようになりました。

「EVS」で任意の名前を呼んでもらうには、インターネットに接続する必要がありますが、別途費用はかからず無料で行えます。好きな呼び方を設定できるだけでなく、アクセントの指定も可能。また、一度ダウンロードした呼び方はオフラインで使用できます。

このほかにも、下校イベントやデートでのキャラクターイラスト(立ち絵、スチル)を切り替える機能も用意されています。懐かしいビジュアルを満喫するもよし、新たなグラフィックを味わうもよし。好みのスタイルをチョイスできるのも嬉しい点です。

この『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』は、2025年5月8日に発売されたばかり。ひと足早く90年代の名作にアクセスした人たちに続くべく、本作のプレイをご一考ください。

■アーケード『あすか120%エクサレント』:開発中
『ときメモ』の成功を経て、恋愛ゲームの広がりが一気に加速しました。しかし、美少女たちを題材とするゲームは恋愛系だけに限りません。『ときメモ』の登場と時期を同じくして、「美少女格闘ゲーム」の活躍も始まりました。


その先駆けのひとつとなった作品が、『あすか120%』シリーズです。1作目の『あすか120% BURNING Fest.』が、PC向けソフトとして1994年に登場。そして1995年には、PCエンジン版の『あすか120%マキシマ BURNING Fest.』が、1996年にはPS版『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』がリリースされ、シリーズ展開が一気に加速します。

『あすか120%』シリーズは、学校で繰り広げられるクラブ対抗戦「部対抗予算争奪メガファイト」を舞台に、各部の特徴を取り入れた技やアクションを駆使して戦う2D対戦格闘ゲームです。

当時はまだ「美少女+格闘」という組み合わせ自体が珍しい時代でしたが、本シリーズはそれだけではなく、特徴的なゲームシステムを取り入れていました。ガードキャンセルにダッシュ攻撃、叩きつけや2段ジャンプなど、黎明期に始まったシリーズながら数々のシステムを盛り込み、豊かな駆け引きを引き出しています。

特に斬新だったのは、攻撃と攻撃がぶつかり合うことで生まれる「相殺」。ゲーム的な駆け引きもさることながら、殴打に殴打で応じるぶつかり合いは見た目にも心地よく、押し切って攻撃を食らわせた爽快感は抜群でした。

美少女要素が目立ちますが、美少女だけに頼らずゲームとしての独自性も打ち出し、作品として確立させた『あすか120%』シリーズ。その魅力は今も衰えることなく、未だに根強い支持を集めています。

そうした熱烈な支持に応えるように、完全新作のアーケード向け対戦格闘ゲーム『あすか120%エクサレント』が発表されました。

シリーズとしては、過去にアーケード展開が予定されていたものの実現できなかったため、『あすか120%エクサレント』がアーケード初進出となります。
今年のゴールデンウィークに合わせ、東京と大阪でロケテストが行われており、開発は順調に進んでいるものと思われます。

超必殺技を上回る「超新星奥義(エクサレントノヴァ)」が新たに実装されており、彼女たちの戦いは更にエキサイティングなものとなるでしょう。正式な稼働開始時期や詳細は、今度届くであろう続報にご期待ください。

■スイッチ/Steam『ToHeart』:2025年6月26日発売
『ときメモ』が恋愛ゲームの火付け役となりましたが、その裾野をより広げるきっかけとなったのが『ToHeart』です。

本作の原点は、1997年に発売されたPC版『To Heart』です。当時主流だった一般的なADVゲームとはやや異なり、キャラクターの立ち絵やイベントCGに被せる形で台詞などのテキストを表示する「ビジュアルノベル」という手法で、魅力的なキャラクターたちとの恋愛模様を描きました。

『To Heart』は成人向けの作品でしたが、2年後の1999年にPS版『ToHeart』がリリースされ、この時も大きな話題となります。PS版は家庭用向けなので、当然成人向けの表現はできません。そのため、ヒロイン全てのシナリオに修正が入り、中にはほぼ全てが書き直されたキャラもいたほどでした。

そのためPC版を遊んだユーザーにとっても、PS版の物語は初めて触れるものが多く、新規のPSユーザーに加え、従来のファンもPS版に手を伸ばし、彼女たちの新たな物語を堪能しました。

軸の部分は同じ作品ながら、丁寧な修正と加筆で従来のファンを改めて取り込み、そして新規ユーザーも獲得したPS版『ToHeart』は、当時の恋愛ADVでは屈指の大ヒットとを記録。ギャルゲー市場の新たな起爆剤となります。


その後も『ToHeart』は、逆移植となるPC版や携帯機向けのPSP版などがリリースされたほか、TVアニメ化も行われ、ヒロインとの淡い恋物語が様々な形で描かれました。

幼なじみに無口な先輩、格闘少女に日系ハーフの同級生と、恋愛対象の幅広さも本作の魅力のひとつ。特にロボットの「マルチ」は、メイドロボを恋愛ゲームに取り入れた先駆者的な存在であり、心揺さぶるシナリオも相まって爆発的な人気を獲得。多くのファンを生み、『ToHeart』ブームを後押しします。

『ときメモ』と並んで語られることも多く、恋愛ゲームの金字塔となった『ToHeart』が、オリジナル版の発売から数えて28年ぶりに復活。グラフィックをフル3Dで描く新生『ToHeart』の登場が、2025年6月26日に予定されています。

ビジュアルも大きな変化のひとつですが、新たな『ToHeart』の進化はそれだけではありません。CVは、新キャストとオリジナルキャストの2種類が用意され、ボイス切り替えが可能です。お馴染みの声で楽しむか、新たな声に心を躍らせるか、好きな方でお楽しみください。

また、オリジナル版に近いノベルモードのほかに、テキストをメッセージウィンドウに表示するウィンドウモードも搭載されており、一般的なADV形式で遊ぶこともできます。

さらに、過去作ではイベントCGがその役目を背負っていた重要な場面では、専用のモーションや表現で演出する「ビジュアルシネマシーン」を採用。アニメーションさながらの表現が、物語をさらに盛り上げてくれることでしょう。


新生『ToHeart』はスイッチおよびSteam向けにリリースされ、ダウンロード版の価格は3,080円(税込)とかなりお手頃です。また、第1期アニメ版(全13話)を収録したブルーレイディスクが同梱となる「プレミアムエディション」が10,780円で販売されます。

お手軽なダウンロード版に、リマスターされたTVアニメも楽しめる「プレミアムエディション」と、選択できる幅広さも嬉しいところ。『ToHeart』の復活は、より大きな喜びと共に訪れます。

今回は、90年代を代表するギャルゲーに焦点を当てましたが、2002年に発売された『D.C. ~ダ・カーポ~』のリメイク版となる『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』の制作も行われており、懐かしいタイトルの復活はまだまだ続きます。

あなたの思い出に残る作品と再会できる日も、いずれ訪れるかもしれません。個人的には、2006年に登場した『降魔霊符伝イヅナ』シリーズの関連作と思われる『IZUNA(仮題)』の続報も気になるところ。名作復活の流れに、今後もご注目ください。
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