いかなるジャンルにも独自の面白さがあり、それを愛し支えるユーザーがいます。一方で、ジャンルの人気は時代に合わせて移ろう場合もあり、リリースの傾向にも影響を及ぼすほどです。


昭和から平成初期にかけ、コマンド選択型RPGの人気は凄まじく、黄金期と呼ぶ人も多くいました。このジャンルは今も活躍を続けているものの、昨今はアクションRPGに人気が集まりやすく、RPGだったシリーズ作がアクションRPGに切り替わっていった例などもあります。

そんな移り変わりの激しい時代の中、ナンバリングではコマンド選択型RPGを貫き、今も高い人気を集めるRPG作品があります。そのひとつが、アトラスの代表作ともいえる『ペルソナ』シリーズです。

1作目の『女神異聞録ペルソナ』が登場した1996年から始まった『ペルソナ』シリーズは、据え置き機に携帯機、さらにはPCへの進出も果たし、TVアニメや劇場版など多方面にわたって活躍します。

常に新たな展開でプレイヤーを驚かせ、しかし軸となるナンバリングのジャンルを変えない『ペルソナ』シリーズの勢いは、令和に突入してもなお衰え知らずです。盛り上がり続ける『ペルソナ』シリーズは、現在どのような躍進を遂げているのか。人気シリーズの今に迫ります。

■派生作相次ぐ『ペルソナ5』!アクションにタクティクス、そしてスマホにも
『ペルソナ』シリーズのナンバリング最新作は、現時点では『ペルソナ5』がその座を占めています。 発売は2016年なので約9年前の作品となりますが、オリジナル版では描かれなかった3学期や新キャラクターを追加した『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』が2019年にリリースされており、こちらも話題となりました。

さらに2022年には、リマスター化した『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』がニンテンドースイッチやPS5などの現行機に向けて登場。新要素の実装やアクセスしやすい環境作りなど、『ペルソナ5』だけに限っても多彩な展開を遂げました。


そして『ペルソナ5』を起点に、様々な派生作が生み出されています。2020年にリリースされた『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』は、本シリーズ初のアクションRPG。ジョーカーをはじめ心の怪盗団のメンバーたちを直接操作し、アクションバトルを楽しめるゲーム性は新鮮で刺激的でした。

また2023年には、こちらもシリーズ初のシミュレーションRPGとなる『ペルソナ5 タクティカ』を発売。コマンド選択型RPGとは異なる戦略性や、敵を取り囲むことで発動する「TRIBANGLE!」といった独自性で、シリーズの新たな境地を切り開きます。

さらに2025年には、アトラスが監修協力した『ペルソナ5: The Phantom X』の国内向け制式サービスが開始されるなど、今も『ペルソナ5』関連の熱い展開が続いています。

オリジナル版に『ザ・ロイヤル』、また『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』や『ペルソナ5 タクティカ』、『ペルソナ5: The Phantom X』といった派生作も飛び出し、『ペルソナ5』の人気と活気は留まるところを知りません。

■『ペルソナ3』のリメイクで、ファン待望の“追加シナリオ”も復活
『ペルソナ5』は発売から9年を経ても活気づいており、その支持の厚さはさすがの一言です。しかし、『ペルソナ』シリーズの今を支える動きは、『ペルソナ5』だけに限りません。

『ペルソナ』シリーズは、シリーズ1作目の『女神異聞録ペルソナ』をきっかけに、『ペルソナ2 罪』(1999年)、『ペルソナ2 罰』(2000年)とシリーズ作が続きますが、ここを境にしばらく沈黙期に入ります。

派生作も含めれば、『ペルソナ』シリーズは間隔を置いても1~2年程度で新たな作品がリリースされ、話題となりました。しかし『ペルソナ2 罰』以降は、約6年もの空白があり、当時のファンも心もとない時間を過ごしました。


その後、ファン待望の新展開として訪れたのが、シリーズ初のPS2ソフト『ペルソナ3』(2006年)です。もうひとりの自分と向き合うコンセプトを受け継ぎつつも、デザインやゲーム性などを革新した『ペルソナ3』は、シリーズの転換期となり、新規層の取り込みにも貢献します。

『ペルソナ3』はその後、追加ストーリー「エピソードアイギス」も楽しめる『ペルソナ3 フェス』が発売されたほか、PSP向けの『ペルソナ3 ポータブル』も登場。この『ペルソナ3 ポータブル』は、2023年に現行機版もリリースされ、アクセスしやすくなりました。

しかし『ペルソナ3 ポータブル』は、PS2版『ペルソナ3』と比べると演出が控えめになっており、女性主人公の追加や手軽さの向上といった利点がありつつも、PS2版の正当進化とは言い難い面もあります。また、「エピソードアイギス」は収録されておらず、この追加シナリオを楽しめるのはPSP版のみという状況が長く続きました。

そしてPS2版の発売から20年近い時を経た2024年、『ペルソナ3』をベースにフルリメイクを施した『ペルソナ3 リロード』が発売され、念願の正当進化が実現しました。現代に合わせたビジュアルは、キャラクターモデルから演出まで全て刷新されており、令和に登場した新生『ペルソナ3』としてプレイヤーから高評価を博します。

ファンの気がかりであった「エピソードアイギス」も、DLCという形ながら『ペルソナ3 リロード』で遊べるようになり、PS2版以外への初展開を成し遂げました。

2006年に登場した『ペルソナ3』ですが、その最新版が出たのはほんの1年前。この令和にも、『ペルソナ3』の名が轟く形となったのです。

■あの『ペルソナ4』が帰ってくる!
『ペルソナ5』、そして『ペルソナ3』とくれば、その間に位置する『ペルソナ4』が気になる人もいるのでは。
もちろん『ペルソナ4』も、人気に相応しい多彩な展開を歩んできました。

2008年にリリースされたPS2ソフト『ペルソナ4』は、追加要素を備えた『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』として2012年に再登場。新たなキャラクターの追加に加え、ストーリーも更に深掘りされ、より厚みのある作品に生まれ変わります。

そして『ペルソナ4』から派生した作品もあり、まずは『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ』(2013年)や『ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド』(2014年)といった対戦格闘ゲームが発売されました。

続いて2015年には、リズムゲーム『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』が登場。対戦格闘やリズムゲームの展開も、シリーズでは初めてのこと。予想外の広がりに多くのプレイヤーが驚きながら、同時に『ペルソナ』が持つ可能性の広さも感じた一件です。また、『ペルソナ3』や『ペルソナ5』のリズムゲームが後に登場するなど、シリーズに与えた影響も小さくありません。

シリーズの新たな扉を開いた『ペルソナ4』ですが、原点となるPS2版の発売が2008年なので、いずれの展開も一回り以上前の話。近年に限ると、『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』の現行機版がリリースされた程度に留まります。

しかしそれは、つい先日までの話です。2025年6月、『ペルソナ4 リバイバル』が電撃的に発表されました。
本作は『ペルソナ4』をリメイクした作品で、グラフィックなどが一新された様子が公開中のティザートレーラーから窺えます。

詳細はまだ不明ですが、『ペルソナ3』における『ペルソナ3 リロード』の立ち位置になるものと思われます。7月18日にはSteamストアやPlayStation Storeにて商品ページを公開するなど、徐々に動き出している気配が感じられ、続報が待ち遠しいばかりです。

『ペルソナ3 リロード』の発売に『ペルソナ5: The Phantom X』の配信とナンバリングの前後が賑わい、続いて『ペルソナ4』もリメイクで新たな注目を集める形となりました。2024年~2025年だけでも嬉しい展開が多く、今後も目が離せそうにありません。

『ペルソナ5: The Phantom X』の国内サービスは始まったばかりなので、これから様々な盛り上がりを見せることでしょう。また、2024年に発売された『ペルソナ3 リロード』は丁寧で磨き上げられたリメイクだったため、『ペルソナ4 リバイバル』への期待も自然と高まります。

しかし、見逃せないポイントが実はもうひとつ存在します。『ペルソナ4 リバイバル』の発表と同時に、P-STUDIOの総合プロデューサーを務める和田和久氏が、『ペルソナ』公式Xにてコメントを寄せました。

そのコメントの大半は、『ペルソナ4 リバイバル』を発表出来た喜びや、リリースを目指して開発に打ち込んでいる様子などを綴ったものでしたが、その中で「また、今後のペルソナシリーズの展開についても、スタジオを挙げて準備を進めております」とも述べました。

『ペルソナ4 リバイバル』についてはコメントの前半で触れているため、これは別の作品を示唆するものと思われており、ファンの間でもこのメッセージに喜ぶ声がSNSに飛び交いました。

『ペルソナ4 リバイバル』だけでなく、どんな『ペルソナ』作品が動いているのでしょうか。
ここしばらく動きのない『女神異聞録ペルソナ』や『ペルソナ2 罪』『ペルソナ2 罰』のリメイクやリマスターかもしれませんし、いよいよ『ペルソナ6』が登場する可能性もあります。

『ペルソナ』シリーズの今は、活発な動きと刺激に満ちた未来の、ちょうど中間地点と言えます。直近の作品に触れながら、嬉しい未来を心待ちにしましょう。
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