この『ドラゴンクエスト』と続編の『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』を元に、ドット絵と3Dを組み合わせる“HD-2D”によってフルリメイクしたHD-2D版『ドラゴンクエスト I&II』が、2025年10月30日に発売されます。
RPG史を語る上でも外せない名作がどのような姿で蘇るのか、気になっている人も多いはず。先日行われた第2回メディア向け試遊会におけるプレイ体験を通して、本作に収録されているHD-2D版『ドラゴンクエストI』が持つ魅力の一部を、いち早くお届けします。
なお、プレイしたのはPS5版となります。また、ゲームバランスなどは試遊プレイ時の内容となり、製品版とは異なる可能性があります。
■HD-2D版『DQIII』をベースに、設定はさらにきめ細やかに
本作に先駆ける形で、シリーズのナンバリング3作目をHD-2Dでリメイクした『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が、2024年11月14日に発売されています。
もちろん、物語からゲーム内容まで異なりますが、ベースとなるゲームシステムはHD-2D版『DQIII』と共通しており、HD-2D版『DQI』の操作面におけるプレイ感は、ほぼ同じような手触りで楽しめました。
レバーやボタンの入力はスムーズで、レスポンスも良好。移動速度やメッセージのスピードも十分で、もたつきなども感じません。また、「ダッシュ」による移動も可能なほか、会話内容などのメッセージを一瞬で表示する設定もできます。
設定面では、このほかにも様々なサポートがあり、プレイアビリティの向上に一役買っています。3段階のバトルスピードの変更、敵の弱点が視覚的に判別できる有利コマンド機能、目的地をガイドするテキストやマーカーの表示など、本作ではきめ細やかな設定が可能です。
HD-2D版『DQIII』から受け継がれた要素だけでなく、マップ上の宝箱表示のON/OFFのような“プレイヤーレベルで「欲しい・いらない」が分かれそうな要素”が個々人で調整可能になるなど、更なるブラッシュアップを感じさせます。
■1対多数の戦いは、広範囲武器と戦闘中の持ち替えで対抗
原作と同じく、HD-2D版『DQI』は主人公のみのひとり旅。戦闘中に頼れる仲間はおらず、攻撃はもちろん、HPの回復や毒などの異常状態の治療など、全てひとりでこなさなければなりません。
しかし、遭遇する敵は原作と異なり、複数の敵が群れを成して襲いかかってきます。1対多数の戦いが多く、数的には不利な状況ですが、この形勢を覆すシステムも用意されています。
まず、原作では常に1体の敵しか攻撃できませんでしたが、今回の試遊プレイにて、1グループの敵をまとめて攻撃できる「とげのムチ」の存在を確認。ムチ系の武器は他のDQ作品でも役立つ場面が多く、ひとり旅のHD-2D版『DQI』でも頼もしい相棒となってくれることでしょう。
ただし、ムチ系の武器は広範囲に攻撃できる反面、単体に与えるダメージはやや低め。そのため、1体のみの強敵やボスと戦う場合は剣や槍などが適しています。ちなみに、戦闘中も武器の持ち替え(装備)が出来るため、戦況に応じて適した武器に持ち替えられます。ひとり旅なので、武器の使い分けも重要です。
■勇者の戦いを支える「とくぎ」
また、HD-2D版『DQI』の旅を支えてくれる新要素のひとつに「とくぎ」があります。シリーズでは定番要素のひとつですが、初代や2作目のリメイクに「とくぎ」が導入されるのは今回が初。
今回のプレイで、開始時点から覚えていた「とくぎ」は、特定の敵に有効な「けもの突き」と「かえん斬り」、攻撃を受け流して敵か自分がダメージを負う「うけながし」、華麗に攻撃をかわす「みかわしきゃく」の4つでした。
なお、未習得を示す「???」の欄がいくつもあったため、製品版では数多くの「とくぎ」を使った冒険を味わえることでしょう。
ちなみに、「とくぎ」や様々な効果がある「じゅもん」は、レベルアップ時に覚えるだけでなく、新たなアイテム「巻物」を使うことでも習得できます。試遊プレイでもいくつかの巻物を発見し、「ちからため」「ヒャド」「トラマナ」などを覚えました。
新アイテムの「巻物」は、HD-2D版『ドラゴンクエスト I&II』に収録される『DQII』にも登場するとのこと。パーティ人数が多いため、「巻物」の入手で戦略の幅が大きく広がりそうです。
原作と比べると敵の数こそ増えましたが、範囲攻撃のムチや多彩な「とくぎ」が使えるため、戦闘の難易度が跳ね上がったという印象はありません。むやみやたらと苦戦するようなことはなく、どの敵から倒すかといった戦略性が増し、戦闘の手応えや醍醐味がより感じられるような仕上がりになっています。
■HD-2D版『DQI』に、あの“パンツいっちょの盗賊”が!?
HD-2Dによるビジュアルや演出の徹底的な強化、1対多数に加えて「とくぎ」などの新要素で戦略性が増したバトル、ユーザーフレンドリーな設定の数々なども大きな特徴ですが、さらに原作にはなかった新たなイベントが用意されている点も見逃せません。
今回の試遊プレイでは、なんと「とうぞくのカギ」に関わるイベントを体験できました。イベント自体も新規ですが、「とうぞくのカギ」そのものも原作にはなかったアイテム。
しかし、驚くべき点はまだまだ尽きません。「とうぞくのカギ」を高値でふっかける悪徳商人が“パンツだけはいた盗賊”に襲われ、カギを奪われてしまいます。パンツ姿の盗賊といえば、『DQIII』に登場した「カンダタ」を思い出すファンも多いことでしょう。
『DQ』シリーズの初期3作品は、「ロト三部作」とも言われており、勇者ロトの血を引く一族の者たちの物語が、各作品でそれぞれ描かれました。ナンバリングでは3作目の『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は、時系列上だと1作目の過去にあたり、今回のHD-2D版『DQI』は『III』と『II』を繋ぐ立ち位置にあります。
この通り『DQIII』は、時系列的に過去の話。それも数年どころではなく、明らかに世代も変わっています。『DQIII』の時代に生きていた人物が、『DQI』の世界にいるとは思えないものの、商人の証言から連想する姿は、どう考えてもカンダタ一択です。
一体どういうことだろうと思いながら進めると、岩山の洞窟で盗賊の一味と遭遇。そのリーダーは、やはりカンダタでした。頭巾で顔まで覆いながら、服装はほぼパンツのみ。
『DQIII』経験者なら、忘れがたい名キャラクターのひとり。そのカンダタが、HD-2D版『DQI』に、間違いなく登場していました。
ただし、『DQIII』のカンダタとは別人の模様。話を聞くと、どうやら『DQIII』に登場したカンダタの子孫で、同じ名前を名乗っているようです。
しかも、戦いに負けた後は「許してくれよ! な! な!」という、お馴染みのフレーズまで飛び出す始末。見た目だけでなく許しを請う言葉まで瓜二つなので、カンダタの子孫で間違いなさそうです。
今回の試遊では、カンダタとの関わりは「とうぞくのカギ」に関わるイベントのみでしたが、HD-2D版『DQIII』のように、後のイベント展開や訪れる街などで再開するかもしれません。イベントの追加で広がる『DQI』の世界と物語への期待が、いっそう高まる試遊体験でした。
HD-2D版『DQI』の試遊範囲では触れられませんでしたが、HD-2D版『ドラゴンクエスト I&II』には「紋章」という新要素もあります。こちらについては、HD-2D版『ドラゴンクエストII』試遊プレイの記事にて触れていますので、該当記事もあわせてご覧ください。
HD-2D版『ドラゴンクエスト I&II』は、2025年10月30日発売予定(※Steam版のみ10月31日)。
(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX
※パッケージ版は、Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PlayStation5のみ。
※画面はすべてPS5版の開発中のものです。