2025年9月25日から28日にかけて開催された東京ゲームショウ2025(TGS2025)。韓国のモバイルゲームスタジオであるVIC GAME STUDIOSのブースでは、同社が開発中のPC/スマホ向けアニメーションアクションRPG『リミットゼロ ブレイカーズ』がプレイアブル出展されました。


本作は、2023年と2024年のTGSにも『BREAKERS : UNLOCK THE WORLD』として出展されていたゲームです。2026年上半期のリリースを見込む本作の開発の進捗やいかに?TGS2025での試遊レポートと、主要スタッフへのインタビューをお届けします。インサイドでは3年連続で試遊レポートとインタビューをお届けしていますので、過去の記事も併せてご覧ください。

◆「アニメをプレイしている」かのような没入感で楽しめるソロプレイを軸としたアクションRPG
本作はソロプレイメインのアクションRPGです。3人の主人公であるシオン、カイト、リズの出会いを機にさまざまな目的を持つ仲間たちが集い、冒険や戦いの果てに“自らを救う”ことになるという長尺のメインストーリーを楽しむのがプレイの軸となります。「好きになったキャラをずっと使い続けられるように」、「アクションが苦手な人も物語を楽しめるように」という考えのもと、メインストーリーは遊びやすい難度のアクションとなるそうです。

一方、歯ごたえのあるアクションを好むコアゲーマーに向けて、「大型モンスターを倒し、得た素材で武器を強化する」ハンティングアクションの側面を強くしたレイドバトルが用意されており、TGS2025の試遊ではこのレイドバトルを楽しめました。

◆3人パーティーでいどむ、爽快感あふれるハンティングアクション
TGS2023~TGS2025までの試遊やインタビューで明らかになった、本作のプレイアブルキャラに共通する特徴、バトルの仕様、プレイ感を項目にまとめて紹介します!

シンプルで分かりやすい操作
バトルの基本はPCであればWASDキー、パッドであればアナログスティックによる移動に加え、通常攻撃(長押しでチャージ攻撃)、特殊スキル、元素スキル、必殺スキル、回避/バックステップ(移動と組み合わせると任意の方向に回避)……とシンプル。

特殊スキルや元素スキルは一度使うとクールタイムが発生して連続使用できないので、攻撃の組み立てに悩むことはあまりなさそうです。また、一部のアクションや回避を敵の攻撃タイミングに合わせて使用するとジャストアクションとなり、スキルのクールタイムが短くなるなどの恩恵を得られます。

各キャラの武器の種類は固定
シオンであれば魔法、カイトであれば双剣、リズであれば片手剣+盾など、各キャラの武器種は固定となっています。(鍛冶による武器の強化は可能)

各キャラには切り替え・変更不可のタイプと属性がある
TGS2025でのプレイアブルキャラは11人で、「先鋒」「破壊」「支援」「仲裁」いずれかのタイプに分類されていました。
「破壊」タイプであれば後述するブレーク状態の敵に大ダメージを与えられるなど、タイプごとに異なる特徴を持つようです。また、各キャラは火・水・風・雷・土・草いずれかひとつの元素属性を持ち、こちらもタイプど同様に切り替えや変更はできないようでした。

敵のみが持つ「ブレークゲージ」
敵は体力のほかにブレークゲージを持っており、ブレークゲージの残量をゼロにすれば一定時間無力化できるので攻撃し放題になります。ブレークゲージをいかに効率よく削るかがバトルのキモとなりそうです。

「順行状態」と「逆行状態」
前述した元素属性のうち「火・水」、「風・雷」、「土・草」には相関関係があり、相関関係の元素攻撃を順番通りに当てると敵が「順行状態」に、逆順に当てると「逆行状態」に。順行状態の敵は被ダメージ量が上がり、逆行状態の敵はブレークゲージが減りやすくなります。大型モンスターとのバトルでは、弱点属性を突きつつ、この2つの状態を発生されられるパーティーをいかに組むかも重要となるでしょう。

どんな武器でも等しく発生させられる「部位破壊」
大型モンスターは特定の部位を破壊できることがあり、部位破壊に成功すれば報酬が増えるなどの見返りがあります。部位破壊は発生させやすさにある程度の差はあるものの、どのような武器でも等しく狙えるそうです。ハンティングアクションゲームの金字塔である『モンハン』風にいうならば「ハンマーでも尻尾を切断できる」というワケです。「部位破壊をできるかできないかで使用キャラを変えずに済むように(好きになったキャラを極力使い続けられるように)」との思いから、こうした仕様になっているといいます。

過去の試遊も含めてのアクションとストーリーのプレイ感
本作のプレイアブルキャラは、ストーリー進行(など)に応じて加入するキャラのほかはガチャで獲得するようですが、主人公3人組はシオン(火属性/支援)、カイト(火属性/破壊)、リズ(水属性/先鋒)と属性やタイプがよい感じにバラけており、戦闘における汎用性が高そうでした。
固定加入キャラが使いやすそうなのはうれしいですね。

アクションはバックステップや回避が全キャラ共通のシステムとなっていることもあり、重量感よりもスピーディーな爽快感が重視されていると感じました。ソロプレイにおける操作キャラの交代も一瞬で、スキらしいスキがないのも好感触。実に遊びやすそうです。

また、VIC GAME STUDIOSは東京に日本スタジオを構えていて日本スタッフも多く在籍しているほか、シナリオ執筆に関しては日本のシナリオライティング会社と提携しているとのこと。つまり「なんだか日本語(翻訳)がアヤしいぞ」という“海外ゲーあるある”と無縁なのです。

少なくとそうした違和感は、序盤のストーリーを体験できたTGS2023の試遊では確認できませんでした。ちょっとくらいヘンな表現があってもそのゲームの魅力が大きく損なわれるわけではありませんが、それでも自然な日本語で楽しめるというのはうれしいものです。

メインストーリーはソロプレイとなっているほか、大型モンスターとのバトルもマルチプレイだけでなくソロで挑むこともでき、さらにPvPの要素も皆無。2026年上半期のリリースを見込む『リミットゼロ ブレイカーズ』は、1人でコツコツと遊べる良作ファンタジーアクションになりそうな印象です。

また、「推せる3人をいかに愛でるか(使い続けるか)」というのもスタッフが注力しているポイントで、たとえばパーティー編成時に「3人をどの順番で選ぶかで(ホーム画面などでの)見え方が変わる」のもこだわりのひとつなのだそうです。

最後に、次のページではTGS2025会場で試遊後に実施したスタッフインタビューをお届けします。
VIC GAME STUDIOSから、本作の統括プロデューサーであるイ・ドンジュン氏、アート統括のハン・ソクジュン氏、同社の事業統括 兼 日本支社代表のイ・ドンギョ氏、そしてパブリッシングを担当するNCSOFTから事業本部長のアン・ジンホ氏にお話をうかがいました。

<cms-pagelink data-page="2" data-class="center">2026年上半期にはリリース。開発の進捗やこだわりを各担当者に訊いた!</cms-pagelink>

◆アクションRPGとして楽しめるメインストーリーと、ハンティングアクションライクなエンドコンテンツを軸に制作中
――まずは、あらためてゲームの概要を教えてください。

イ・ドンジュン『リミットゼロ ブレイカーズ』は、“クラシカルな王道ファンタジー”を目指して制作しているストーリー重視のアクションRPGで、PC(Steam/PURPLE)とスマートフォン(iOS/Android)でリリース予定です。

メインストーリーのほかにも仲間になるキャラクター1人1人にそれぞれの物語があり、まるでアニメ作品を見ているような感覚でストーリーを楽しめるよう、ビジュアル面にも力を入れています。

アクションゲームが苦手な方でも楽しみながらストーリーを追えるように調整を続けている一方で、もっとアクションを楽しみたいというコアゲーマーの方たちにも訴求できるよう、プライマル・ワン(本作におけるいわゆる大型モンスターの総称)と戦って素材を集め、武器を強化するエンドコンテンツも用意しています。

――VIC GAME STUDIOSブースの来訪者は年々増えているように感じます。東京ゲームショウ2025に出展しての手ごたえはいかがですか?

イ・ドンジュン年々本作を応援してくださる方が増えているのは私たちも感じており、本当に感謝しています。ご期待に応えられるゲームをお届けしたいと思っていますので、2026年上半期のリリースまでもう少しお待ちください。

――アートを統括するハンさんにもおうかがいします。本作のビジュアルを作り込んでいくうえのコンセプトを教えてください。

ハン・ソクジュンクラシカルな王道ファンタジーというテーマを念頭に置きつつ、“アニメの世界に入っているような感覚を味わえる”ゲームを目指した絵作りをしています。
キャラクターたちの表情や演出を違和感のないスムーズなものにしつつ、現代ならではのビジュアルとはどのようなものだろうかと常に模索しています。2026年上半期のリリース後も力を入れていきたいです。

――本作は去年のTGSまで『BREAKERS: UNLOCK THE WORLD』というタイトルで出展されてきましたが、今年の8月21日に『リミットゼロ ブレイカーズ』とタイトルが変更されました。これはどのような経緯や狙いがあるのでしょうか。

イ・ドンジュン当初は「主人公と仲間たちが出会い、ともに冒険をして世界を救う」というプロットを考えていたのですが、ブラッシュアップを重ねていくうちに、キャラクター1人1人の物語にもっとフォーカスしていく方が現代的なのではないか? と考えるようになりました。

キャラクターたちの物語が冒険となり、成長をうながし、やがて自分自身への救いとなる。そして、その積み重ねこそが世界をも救いうる……という構造の方が本作ならではのストーリーや体験をみなさんにお届けできると確信しています。本作の「世界は救わない。自らを救う物語。」というキャッチコピーにもそうした思いが込められています。また、タイトルにあるリミットゼロという言葉には「仲間たちがそれぞれの目的を果たすために限界を超える」という意味も込められています。

――2024年のTGSでは「大きな問題がなければ2025年中にはリリースしたい」とのことでしたが、この1年の制作はどのようなものでしたか。

イ・ドンギョ氏昨年のTGSでは、ソロプレイとマルチプレイに対応したレイドバトルを実際に体験していただき、みなさんに受け入れていただけるかを確認しつつ、修正点を洗い出すのが目的でした。


全体的な反応はとてもポジティブなものでしたが「まだまだ足りないものもあるよね」という結論になり、この1年は全体的なクオリティアップと試遊してくださったみなさんからのフィードバックの反映に力を入れました。

さらに、ハンティングアクションというよりはアクションRPGと言えるようなコンテンツも新たに追加制作しています。長らくお待たせしてしまっていますが、実際に遊んでいただいた際に「なるほど、このゲームを作るためにじっくり開発していたのか」とご納得いただけるゲームにしたいです。

――近年は本作のようにアニメ調のハイクオリティなグラフィックで彩られるゲームが相次いて発表・リリースされていますが、そうしたタイトルに影響を受けることはありますか?

ハン・ソクジュンまったく影響を受けてない……とは言いきれないと思います。しかし、どの作品にもその作品ならではのこだわりは必ずありますし、それは『ブレイカーズ』にも言えることです。「今ならではのキャラクターや演出、インターフェースで紡がれるクラシカルな王道ファンタジー」という軸を守りながら、他社のタイトルにも引けを取らないよういかにクオリティを上げるかに気を使っています。

――パブリッシングを担当するNCSOFTとしては、本作をどのように位置付けしていますか?

アン・ジンホNCSOFTではプロジェクト別に開発室を用意して開発・運営するのが常でしたが、本作は弊社初のパブリッシングタイトル、かつオリジナルIPということで注力しています。ストーリーや各コンテンツの方向性などはVIC GAME STUDIOSにお任せしていますが、ゲームのコアループ(そのゲームのおもしろさの核をなす、プレイを通して何度も繰り返し行われる一連の行動や流れのこと)に関する意見交換は活発に行っています。そのほか、運営や最適化に関する助言をすることもあります。

◆KADOKAWAやMAPPAと手を携えて日本展開にもとことん注力
――ゲームを取り巻く展開についても教えてください。TGS2025の会期中に世界観PVが公開されましたが、アニメ「呪術廻戦」や「チェンソーマン」で知られる制作スタジオ・MAPPAが手がけていて驚きました。

アン・ジンホMAPPAには、NC Japanからお声がけさせていただきました。
MAPPAに手がけてもらうことができれば、そのクリエイティブの魅力で『リミットゼロ ブレイカーズ』というIPをより一層拡充できるはずだと考えたからです。

本作は今後、年末にかけてOPムービーと5種類以上のキャラクタームービーを公開予定ですが、それらに加え、ゲーム中の動画もMAPPAさんと連携して制作しています。MAPPAは世界観PVだけをお願いした単発的なプロモではなく、本作の魅力を継続的にお届けするための大切なパートナーです。

――なるほど。継続的なパートナーシップといえば、2024年5月にはKADOKAWAとの資本業務提携も発表されています。本作の魅力をまとめたファミ通名義の冊子や、コミカライズとノベライズのお試し版を収録した160ページ超の冊子が配布されたりと、非常に力が入っていると感じました。

イ・ドンギョKADOKAWAのような大手とご一緒できるとは……と私たちも感動しました。TGSも昨年まではVIC GAME STUDIOS単独での出展でしたが今年はNCSOFTさんとKADOKAWAさんの協力や助言を得て、よりよいブース出展ができたと思います。おかげで弊社は開発に集中できる環境になり、おもしろいゲームをお届けするためにより一層の注力ができています。

――ゲームそのものだけでなく、今後の展開にも期待しています。プラットフォーム展開についても教えてください。PCとスマートフォンのほか、家庭用ゲーム機でのリリースは考えておられますか?

アン・ジンホはい。ロンチではPCとスマートフォンのみですが、そう時間を空けないうちにPlayStationでもリリースしたいと考えています。

――選択肢が増えるのはいいですね。それでは最後に、本作を待つ人たちへのメッセージをお願いします。

イ・ドンジュン特定の要素だけに力を入れているわけではありませんが、「ストーリー」と「手触りのよいアクション」に期待していただければと思います。PCとスマートフォン、どちらでも等しく楽しんでいただけるように制作していますので、お好きなほうで手に取っていただけたらうれしいです。

ハン・ソクジュンメインストーリーはオムニバス形式のような短編の積み重ねではなく、アクションをまじえながら一つの長尺の物語を描いていきます。物語を追っていただく程でキャラクターを魅力的に感じていただくのも大切なことだと思っていますので、ぜひキャラクターにも注目してください!

アン・ジンホリリースに向けて、本作を応援してくださるみなさんと触れ合える機会をどう増やしていくか、常に考えています。イベントなどへの参加・出展を積極的に行ってみなさんのお声を聞いて随時フィードバックしていきますので、よろしくお願いします。

イ・ドンギョコミカライズやノベライズは、TGS会場で配布した冊子はあくまでお試し版であり、今後の展開の準備もしっかりできています。まずはそうしたところから本作の世界に触れていただいて、リリースを楽しみにお待ちください!
編集部おすすめ