皆さんがロボットゲームに求めるものは何ですか? やはり『アーマード・コア』のような難易度? それともパーツの組み換えで作り上げる“オレ機体”?

筆者としては“オレ機体”も良いのですが、一番求めているのは「変形」または「合体」です。その点では頻繁にリリースされるものではなく、やみくもに探しても出逢う機会は希。
そのため2025年3月に『ゼノブレイドクロス ディフィニティブエディション』が発売された時は本当に嬉しく思いました。

さてそんな「変形合体ロボットゲーム」ですが、レトロゲームならいくつか有名どころが存在します。特に「アーケードアーカイブス」シリーズには『フォーメーションZ』『マジンガーZ』『超時空要塞マクロス』など版権モノを含む様々なロボットゲームがラインナップに名を連ねていて、熱くさせてくれます。

本稿ではその中から「変形・合体」をメインにした『フォーメーションZ』『マグマックス』『戦え!ビッグファイター』をピックアップ。さらに昭和のロボットアニメブームの頃に登場した、ユニークなギミックを持つスーパーロボットたちを振り返りたいと思います。

◆“ガウォーク形態”も楽しい『マグマックス』
『フォーメーションZ』は1984年にアーケードゲームとして登場し、1985年にはファミリーコンピュータ(以下ファミコン)に移植されたシューティングゲームです。昭和ロボットアニメブームのさなかに稼働して人気を獲得しました。

特徴はやはり戦闘機からロボット形態に変形できるところ。戦闘機はすばやく移動できる反面エネルギー消費が激しく、ロボット形態とうまく切り替えながらステージの攻略に挑みます。

ファミコン本体が1983年に発売され、その2年後に移植された唯一の変形ロボットゲームということで人気が高く、2025年10月には新解釈の完全新作『ファイナルフォーメーション』がスイッチ向けにリリース。2026年には3Dグラフィック化で大幅進化した『FZ:フォーメーションZ』が発売予定です。

『戦え!ビッグファイター』は1989年に日本物産がリリースした横スクロールのシューティングゲーム。
シューティングゲームといえばハドソンが1985年からゲーム大会の「ハドソン全国キャラバン」を実施しており、『スターフォース』『スターソルジャー』などが一連のブームを巻き起こしていました。

すでにシューティングゲームとしてはノウハウが蓄積されていたため、変形ロボットがメインでありつつ、数々のアイテムで自機をパワーアップしたり、変形時の防御機構を攻略に利用したりするなど、一本のシューティングゲームとしても楽しかったタイトルです。

今回ピックアップした3本の中で異色なのは最後に紹介する『マグマックス』。こちらは合体型のロボットとなっており、自機のコアマシンで発進した後、マップ上に設置された上半身、下半身、武器の「波動ガン」を拾うことでロボット形態を組み立てていくこととなります。

しかもマップは地上と地下の2パターンがあり、どちらを進むかで「波動ガン」のビームの出方が変わり、ゲーム性に変化が起きます。

おもしろいのは、まさにその合体機構。上半身または下半身と合体した際、自機のコアマシンが腰部のパーツとなるため、上半身のみと合体した時は上半身のまま、下半身と合体した時はコアマシンに足が生えた“ガウォーク形態”のような形でゲームを進めることになります。

その“不完全さ”がかっこいいとともに組み立てる楽しさも味わえ、変形・合体ロボットゲームのみならず、あらゆるロボットゲームの中でとてもユニークな存在に思えました。

そのほか変形・合体ロボットのゲームには、「アーケードアーカイブス」のシリーズ以外にも『テグザー』『高機動戦闘メカヴォルガードII』『トランスフォーマー コンボイの謎』などがあり、アニメの視聴体験とも変形トイで得られる快感とも違う没入感で楽しませてくれました。

◆まるで駄菓子屋の100円プラモ!
『マグマックス』の合体機構で思い出すのは、1970年代中頃から1980年代まで続いた100円プラモデルの世界です。

当時のプラモデルといえば安いもので300円台。もちろんパーツは一色、接着剤を使って組み立てるので、現在よりは若干ハードルが高いものです。
100円プラモデルはそれよりも安価で、子供をターゲットにしたプラモデルの入門編として駄菓子屋でも取り扱われていました。まだガンプラが登場する以前の話です。

その100円プラモデルの中で人気だったのが、アオシマが展開していた「ミニ合体シリーズ」でした。

「ミニ合体シリーズ」とは文字通りひとつのロボットを4分割し、各部位を単体でも遊べるよう飛行機やタンクにしたりして販売するシリーズのこと。ラインナップは「無敵ロボ トライダーG7」「伝説巨人イデオン」「無敵超人ザンボット3」など多数が存在していました。

もちろん4体合体の設定は本来のものではなくアオシマの独自設定です。近年、リメイク作品などで注目を集めた「アトランジャー」も、商品展開のひとつとして「ミニ合体シリーズ」でも発売しており人気でした。

その「集めて組み立てる」というコンセプトが『マグマックス』でも楽しめたというわけです。

思えば昭和のロボアニメは、そのギミックが今よりも凝っていて心をときめかせてくれました。そもそもおもちゃを売るためのアニメ番組ですから、登場するスーパーロボットも当時のキッズが夢中になるさまざまなギミックを搭載して差別化を図っていたわけです。

たとえば磁石を内蔵した換装パーツで遊ぶ「鋼鉄ジーグ」などのマグネロボシリーズ。ドラゴン型の要塞と合体できる「大空魔竜ガイキング」。
5体のライオンメカが合体する「百獣王ゴライオン」。15機のマシンが合体する「機甲艦隊ダイラガーXV」。「ゲッターロボ」ではおもちゃ化不可能だった合体機構を実現した「光速電神アルベガス」……。

まさに昭和のロボットアニメブームはおもちゃとともにあり、おもちゃ主体ではない近年のロボットアニメ作品にはないようなユニークなギミックで楽しませてくれました。「アーケードアーカイブス」のレトロなロボットゲームからはそんな、当時の熱さのようなものが感じられるわけです。

やはり変形と合体にはロマンがあります。皆さんも「アーケードアーカイブス」のラインナップを覗き、ロボットゲームのみならず、“当時ならでは”のレトロゲームをこの年末年始に探してみませんか?
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