本稿では、『ドラゴンクエストVII Reimagined』体験版の一部ネタバレが含まれます。
2000年にPlayStationで発売された『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』をベースに、グラフィックやシステム、演出を大胆に再構築した『ドラゴンクエストVII Reimagined』(以下、ドラクエVII R)の体験版が、2026年1月7日に配信されました。


PS時代に名を馳せた『ドラクエVII』を現代にどのような形で蘇らせるのか、『ドラクエVII R』には多くのゲームファンが注目を寄せています。

その魅力を探るべく触れた体験版のプレイレポートをお届けします。なお、体験版で描かれる物語や展開に関するネタバレがあること、あらかじめご了承ください。

■温かみのあるジオラマ世界と、プレイヤーに寄り添う難易度設定
体験版を遊んでまず目を引くのは、シリーズのイメージを保ちつつも大胆に刷新されたビジュアルです。キャラクターや街並みは過去作から一変し、さながら人形のように見える“ドールルック”へと一新されています。また、建物やフィールドは箱庭的なジオラマ感があり、精巧な模型を覗き込んでいるかのような感覚すら覚えるほどです。

“ドールルック”という表現は賛否が分かれるかもしれませんが、柔らかい色使いと立体感のある背景は、リアルとは違う異世界の実在感を十分演出しており、没入感を促進する一助として大いに役割を果たしていると受け止めました。

また、ビジュアルと同じくらい印象的だったのが、ゲームバランスを調整できる幅の広さです。戦闘中の速度変更といった定番の快適機能に加え、敵から受けるダメージ量や与えるダメージ、獲得経験値やゴールドの倍率、さらには戦闘終了時にHPが回復するかどうかまで、任意で細かく設定できます。

こうした配慮のおかげで、プレイヤーごとに分かれるであろう快適なプレイスタイルを、自分の好みに合わせてセッティングすることが可能です。「歯ごたえのある冒険をじっくり味わいたい上級者」から「RPGに不慣れでも物語を最後まで楽しみたい初心者」まで、しっかりとカバーしてくれることでしょう。

難易度の調整が、よくある「イージー/ノーマル/ハード」の選択だけに留まらず、プレイヤー自身が冒険の感触を細かくデザインできる点は、令和に登場するRPGとして非常に好感が持てます。


■賛否分かれた構成を大胆に再設計
また、配慮という視点で見ると、序盤の再構成にも驚かされました。主人公たちが最初に冒険する謎の遺跡(神殿)は、オリジナル版だと結構なボリュームがあり、挑戦からクリア後に迎える初戦闘(対スライム戦)まで、プレイスタイルによって変わるものの概ね1時間ほどの冒険が待っています。

しかし『ドラクエVII R』の場合、遺跡に入ってからスライム戦に至るまでにかかった時間は5~6分程度。会話のスキップなどは用いず、焦らず遊んでもあっという間にスライム戦までたどり着けます。

オリジナル版の遺跡はギミックを攻略する謎解きなどがあるため、道のりにそれなりの手応えがありました。その時間は、仲間(キーファ)との絆を深める一助になっていましたが、序盤が長すぎるといった感想を持つ人も一部いました。

『ドラクエVII R』では遺跡の展開そのものを再構成し、オリジナル版にあった冒険の流れをを大胆に変更。人によっては中だるみと感じた部分を、テンポ良く次のシーンへと切り替えています。

この変更を是とするか否とするかは、人によって意見が分かれるところです。感じ方は人それぞれですが、過去作で不評が出た部分と向き合い、より良くしようと試みたのはおそらく間違いないでしょう。

本作がどのような姿勢で開発されたのか。謎の遺跡の再構築で、そのその一端を垣間見られたように思いました。
あくまで印象の話に過ぎませんが、こうした作りが全編にわたっているのでは──と、期待を持たせてくれるプレイ体験だったと記しておきます。

■「不安」に宿る、決断の重みと満足感
今回の体験版をクリアして心に強く残ったもののひとつに、「不安」がありました。それは、クオリティや完成度への不安──とはまったく異なります。むしろ、体験版で味わった感触は非常に良く、「今回もかなり楽しめそうだ」と感じたほどです。

そうした安心感とはまったく別の部分で、胸の奥に引っかかる「不安」。その正体は、シナリオの中でプレイヤーが向き合う「選択」と、その結果にあります。

体験版では、ウッドパルナの村を舞台にしたエピソードが描かれます。村に迫る災難と、それにどう立ち向かうのか。この一連の流れの中で、プレイヤーはひとつの選択を迫られることになります。そしてプレイヤーの選択が、村の人々の振る舞いや、ある少年の行動に変化を及ぼします。

詳細なネタバレは避けますが、プレイヤーがとある行動を起こすかどうかによって、村の少年が勇気を持って立ち上がり、村人たちを説得するか否かに分岐するのです。ただし、説得の如何に関わらず、プレイヤー自身の活躍によって災難そのものを退けることになります。


表面的な結果だけを見れば、どちらの道を辿っても村は救われます。しかし、そこに至る過程と後々まで残る結果は決して同じものではありません。

少年が上げた声をきっかけに、村人たちが過ちを認める道を選んだ場合、かつての後悔を教訓とした行動を目にすることができます。一方でそうならなかった場合、村は助かるものの、人々が抱いた後悔や反省は時間の流れに埋没し、忘れ去られてしまいました。

■心地よさもモヤモヤも、記憶に残るプレイ体験
プレイヤーの判断次第では、後味の悪さやモヤモヤが残る展開もあり得ます。もちろんそれは、決して気持ちのいい体験ではありません。しかし、何を選んでも実質的に何も変わらない選択肢よりも、プレイヤーの判断が展開や結末に影響を与える方が確かな遊び甲斐を覚えます。

自分の選択によって望ましい結末に辿り着けたときの満足感は、誰かに与えられたものではなく、自ら掴み取ったもの。逆に、失敗や後悔はモヤモヤするものの、それもまたプレイの一部となり、時に成功よりも強く記憶に残ることがあります。結果に良し悪しはあっても、どちらも貴重なプレイ体験です。

「自分が選んだ選択は、本当に正しかったのだろうか」──そう自問自答しながら物語を進める不安は、やがて忘れられない思い出へと変わっていきます。そのことを、体験版という短い時間の中で実感させてくれた『ドラゴンクエストVII Reimagined』に、期待が高まらないはずがありません。


ちなみに、ウッドパルナの住人が示す結末とは別に、少年に対して「とあるアイテム」を渡すor渡さない、あるいは返してくれるアイテムをあえて受け取らない、という選択肢も本作に用意されていました。この選択が今後の物語にどのような影響を及ぼすのかは、体験版の時点では不明です。

だからこそ、「あの選択は正しかったのだろうか」「後の物語で、何かが変わるのではないか」という不安と期待が、体験版を終えた今も心に残り続けています。

システムの完成度、遊びやすさ、そして選択に重みのあるシナリオ。そのすべてが合わさった結果として生まれた“心に残る不安”が、本作に向ける期待をさらに押し上げてくれました。

「とあるアイテム」の顛末について、製品版の『ドラゴンクエストVII Reimagined』がどんな顛末を見せてくれるのか。その答えを確かめる日を、一抹の不安と大いなる期待を胸に秘めつつ待ちたいと思います。
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