日本から世界に広がったコスプレは、いまやそれぞれの地で文化と交わり、独自の色を見せています。
筆者は2025年に約880本のコスプレ記事を執筆し、これまで日本や台湾、香港、上海など中華圏を中心に取材を重ねてきました。


ここ数年、東南アジアでもコスプレイベントが急増し、特にタイでは注目度が急上昇中。

「その盛り上がりを、今この目で見てみたい」――そんな思いから、2月22日、バンコクで開催されたコスプレイベント「KOKORO cos」を取材してきました。今回は、その旅の記録を少しラフに振り返ります。

修羅の国なのか、微笑みの国なのか
外務省の2025年版の統計によると、タイには約7万人の日本人が暮らしているそうです。今回の渡航では航空券は中華圏より少し高かったものの、現地の物価はかなり安く感じました。7000円前後のホテルで日本の五つ星級の快適さ、そして屋台飯は300~500円。カオマンガイ、パッタイ、グリーンカレー……どれも現地の熱気と香辛料の香りが体に沁みます。

初めてのタイ滞在ということで、渡航前は「盗難多い」といったSNS情報にややビビっていましたが、AIと一緒に対策をした甲斐あって、無事トラブルなく過ごせました。むしろ、現地の人はとても穏やかでフレンドリー。数日で肩の力が抜け、「あれ、案外日本と変わらないかも」と思うほどでした。

タイでの移動手段
バンコクは交通の選択肢がとにかく多いです。タクシー、MRT、BTS、フェリー、バス、そして観光名物・トゥクトゥク。
どれも日本と比べて利用料金が安いです。今回は快適さ重視で配車アプリ「Grab」を多用。明朗会計でぼったくりの心配もありません。とはいえ、たまに乗るトゥクトゥクのエンジン音と風の強さは、旅行者気分を一気に引き上げてくれました。ただ、タイは早朝と夕方は非常に渋滞するのでタクシー以外(バイクもあり)の交通手段がおすすめかもしれません。

タイの食と市場
屋台が街のあちこちにあり、昼も夜も人でいっぱい。料理は全体的に辛めで、注意しないと汗だくになりますが、それを冷たいシンハービールで流し込むのが最高のご褒美です。市場では果物や海鮮のほか、Tシャツや雑貨も盛りだくさん。1枚500円ほどの派手なデザインのシャツを思わず衝動買いしてしまいました。

信仰と日常の風景
観光地だけでなく、ホテルのエントランスや歩道の角にも小さな仏像が立っていて、信仰の深さを感じました。寺院では服装マナーが厳しく、露出の高い服はNG。街の中でも「敬意」を大事にする国だと実感します。
2月でも日中は30度超えですが、乾季で湿度が低いため、写真撮影には意外と良いコンディションでした。

<cms-pagelink data-page="2" data-class="center">タイのコスプレ文化が日本と大きく違う点</cms-pagelink>

コスプレイベント「KOKORO cos」
今回訪れた「KOKORO cos」は、2023年に始まったコスプレ特化イベントで、今年2月で第10回を迎えました。サークルは約280スペース、参加者約500人、来場者数およそ4000人。コスプレイヤーを中心にしたアットホームで活気ある雰囲気が特徴です。

タイは一年中暑いため、コスプレイベントは屋内ホール開催が主流。冷房の効いた会場は快適で、カラフルなライトに照らされたステージでは『崩壊:スターレイル』や『NIKKE』といった人気ゲームのキャラが次々と登場し、観客の歓声が響き渡っていました。一方で、平成ギャル風ファッションも人気で、ガングロメイクやルーズソックス、豹柄ファッションなど、タイならではの自由な遊び心が垣間見えました。

撮影環境については、一般参加者にライトスタンドなどの使用制限があるものの、カメラマンが出展するサークルブースは設備が整い、撮影に集中できる環境です。また、今回はプロやハイアマチュアのカメラマンが複数サークル出展しており、有料撮影サービスを提供していました。相場は5分で400バーツ(約2000円)ほど。屋台の一食が300円前後と考えると、撮影の価値がかなり高く評価されているのがわかります。

無料で撮影するカメラマンも一部いましたが、多くはブースを設けており、背景セットや照明機材を持ち込んで本格的なポートレート撮影を行っていました。
商業的な市場としても発展の兆しが見え、今後はプロカメラマンの参入もさらに増える予感がします。

印象的だったのは、撮影マナーの良さ。一般カメラマンも譲り合いながら撮影しており、筆者がメディア取材であることを伝えると「どうぞ」と場所を譲ってくれる人が多かったのです。タイらしいおおらかさと温かさを感じました。

さらに、コスプレイヤーの中には撮影だけでなくステージパフォーマンスにも力を入れている人も多数。これは中国の大型イベントにも似た傾向で、コスプレを“見せる表現”として発展させようとする意識の高さを感じました。

主催者によると、タイのコスプレ文化はまだ発展途上ながら、参加者同士が支え合う温かいコミュニティづくりを重視しているとのこと。日本や中華圏に比べ商業的な規模は小さいですが、好きなキャラクターを通じて自分を表現し、撮影を通してその魅力を分かち合おうとするエネルギーに溢れていました。

特に「KOKORO cos」は、海外からのサークル参加や当日券購入も可能で、日本人にとっても参加しやすく、海外進出の第一歩としても魅力的なイベントです。

まとめ
初めてのタイ遠征は、驚きと温かさの連続でした。街のざわめき、屋台の匂い、汗ばむ空気、そしてイベント会場で光る笑顔――。それらすべてが、「コスプレが好き」という気持ちでひとつにつながっていました。


バンコクのコスプレは、まだ“これから”の途中にあります。けれど、だからこそ純粋で力強い。表現することを心から楽しむ人々に出会い、改めて「好き」という感情のエネルギーを信じたくなった旅でした。

撮影:乃木章(X:@Osefly)
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