2002年にゲームボーイアドバンスで発売された『ポケットモンスター ルビー・サファイア』のリメイク版『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』がニンテンドー3DSで11月21日に発売されます。

そんな『ポケモン』最新作を取り巻く株式会社ポケモンや任天堂のアプローチを見ていると、キッズ層よりもひと周り上の世代への訴求に力を入れている様子もうかがえます。
そうしたプロモーションを紹介するとともに、その狙いについて考えてみましょう。

◆キーワードは「12年」!『ルビサファ』直撃世代への訴求
キッズ層よりひと周り上で、今回の『オメガルビー・アルファサファイア』がとりわけ響きそうな世代というと『ルビサファ』直撃世代が挙げられるでしょう。そうとなると、キーワードとなるのは『ルビサファ』が発売された12年前。ターゲットは当時のゲーム少年/少女たちとなります。

この世代に分かりやすく訴えているのが、Twitterで展開されている「[リアル]むげんのチケットで南の島へ」キャンペーンです。これは『ルビサファ』発売当時のプレイの思い出を特設サイトからつぶやくことで、抽選で100万円分の旅行券が当たるというキャンペーン。旅行券という賞品からも、20代中盤あたりの年代を狙っていると思われます。

南の島への旅行券は、子供よりも大人に響きそうです
YouTubeのNintendo公式チャンネルでは「ポケモン ルビー・サファイア あれから12年」と題された30本の動画が公開されています。『ルビサファ』の数々の名シーンが『オメガルビー・アルファサファイア』でどう生まれ変わったかが分かる比較動画で、これもまた『ルビサファ』リアルタイム世代に強く訴える取り組みです。

YouTubeの任天堂公式チャンネルでは30本もの動画が見られます
こうした様子は『ポケモン』公式サイト「ポケモンだいすきクラブ」にも見られます。同サイトにある、ゴーストタイプのポケモンにフィーチャーしたコンテンツ「本当は怖い?ポケモン」ではなんと著名なホラー漫画家である伊藤潤二氏とのコラボを実現。ひと目見ただけで夢に出てきそうなゲンガーとジュペッタの描き下ろしイラストが掲載されており、「ポケモンって本当は怖い存在だったんだな……」とコンテンツ名通りの感想を抱かせてくれます。


伊藤潤二氏描き下ろしポケモンは必見です
口直し(というと伊藤氏に失礼ではありますが)にこんな話題もあります。『オメガルビー・アルファサファイア』の発売から1ヶ月後となる12月20日からは、全国のTSUTAYA、ホビーショップ、ポケモンセンターなどでポケモンの一番くじ「DreamStore PIKACHU&FRIENDS WITH BERRIES」が販売開始となります。A賞のフードつきブランケットやB賞のピカチュウぬいぐるみは見ていてほっこりするかわいらしさ。『ポケモン』ファンの女性に強く訴求できそうです。一番くじはハズレがないのが魅力とはいえ1回620円(税込)という価格ですから、これもメインターゲットとなる年齢層はやはり10代後半~20代といえるのではないでしょうか。

なんともガーリーな雰囲気がただようA賞のフード付きブランケット

◆ヒミツは任天堂が掲げる「スマブラ・ルビサファ同世代仮説」にアリ
タネ明かしをしますと、こうやって10代後半から20代のユーザーにアプローチする理由は、任天堂公式ホームページに掲載されている「2014年10月30日(木)経営方針説明会 / 第2四半期決算説明会」で岩田聡社長自らが語っておられます。簡単にまとめますと、

・『スマッシュブラザーズ』はシリーズ初の携帯ゲーム機版(3DS版)も大成功を収めている
・『スマブラ』が大ヒットするシリーズとして認識されたのは、
 2001年11月21日発売のゲームキューブ版『大乱闘スマッシュブラザーズDX』から
・『ルビサファ』はその翌年となる2002年11月21日にゲームボーイアドバンスで発売
・当時『スマブラDX』と『ルビサファ』に同時に夢中になった人は多いのではないか
 =『スマブラ for 3DS』購入層には『オメガルビー・アルファサファイア』も響くのでは

という考えが任天堂にはあり(原文はこちらからご覧ください)、社内ではこれを「スマブラ・ルビサファ同世代仮説」と呼んでいるのだそうです。

世界中のゲームファンが『スマブラDX』と『ルビサファ』を同時期に楽しんでいます
18歳~25歳くらいの層にとりわけ熱い視線を向けるわけは、こうしたデータに基づく仮説があってのことだったというわけですね。特に、欧米では『スマブラ for 3DS』早期購入者の実に5割近くが18歳~25歳という年代であるとのことで、今回の『オメガルビー・アルファサファイア』もリメイクモノとは思えない大成功を収めるかもしれません。

キッズ層だけに売れても500万本、1000万本という数値には到達しないでしょうし、『ポケモン』は元より老若男女幅広い層に分けへだてなく売れるソフトです。そこへこうしたプロモーションが加わることで、その輪がさらに広がるといいですね。「昔ハマったなぁ、久しぶりにやってみようかな」と思える人がいれば、それは任天堂が兼ねてから掲げている「ゲーム人口の拡大」にもつながります。


そんな『ポケットモンスター アルファルビー・オメガサファイア』は、『ルビサファ』、『スマブラDX』などのビッグタイトルや新ハードを数多く世に放ってきた11月21日にいよいよ発売。ポケモントレーナーたちの懐かしくも新たな戦いが始まる日は、もう目の前です。

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