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出典:https://www.shutterstock.com

お子さんの将来を考えると、できるだけよい環境で教育を受けさせたい。そう考える人は多いと思います。

その一方で、世帯収入が伸び悩む中、かかる教育費は上昇傾向にあります。“私立進学”を本気で考えるのなら、早めのリサーチや教育費準備が大切です。

そこで今回は、ファイナンシャルプランナーである筆者が、実際にかかる費用をシミュレーションしてみましたのでご紹介します。

【FPが回答】世帯年収700万で「私立小学校受験」は現実的ですか?

私立小学校は「公立の5倍近く」学校関係費がかかる!

文部科学書の調査(※1)によると、私立小学校でかかる年間のお金は、合計で約153.6万円ほどにのぼるとのこと。

【私立小学校学費の内訳】
    学校教育費・・・ 885,639円
    学校給食費・・・ 46,089円
    学校外活動費・・ 604,061円

それに対して、公立小学校の学習費総額は321,708円(同調査より)。私立小学校進学時に比べて約21%で済んでいます。

上記は平均的なデータです。具体的な都内の私立小学校の初年度で考えてみましょう。

たとえば、青山学院初等部(東京都渋谷区)の2016年度入学金・学費一覧をみると、1年次にかかる年額は、施設設備費や冷暖房費などを入れて、なんと、131.6万円です(※2 同学HPより)。

通学バッグや制服、体操服、上履き……さらに通学定期代や個人の習い事費まで考えると、初年度だけで200万円超えも十分あり得ます!

まるで大学生並みですね。

さらに、小学校は6年間と通学期間も長いです。公立と違い学校毎にかかる費用は異なりますが、いずれにしても相当の支出を覚悟して入学させることになります。

「受験したら合格できたので……」では済まされません。

小学校お受験を本気で考えるのであれば、お子さんが生まれた後なるべく早く学費のリサーチと教育費準備に向けた“家計改善”が必要です。

「世帯年収700万円」で子を私立小に通わせると家計はどうなる?

【FPが回答】世帯年収700万で「私立小学校受験」は現実的ですか?
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世帯年収700万円のご家庭(専業主婦、子2人を想定)でシミュレーションをしてみましょう。

まず、世帯年収700万円の手取りは560万円前後でしょう(各種税控除は考慮せず)。

その中から学費を支払うとすれば、住居費と合わせて手取りの5割近くが毎年消えていく計算です。

世帯収入が変わらないとしても、生活費のやりくりが相当厳しい6年間になるのではないでしょうか。

手取り収入における固定費比率が高くなると、家計破たんリスクも上がります。

専業主婦世帯はもちろんのこと、共働きであっても安心できません。

夫婦どちらかの給与減額や退職、産休・育休による世帯収入の減少など、収入ダウンが家計赤字に直結します。

下に弟や妹がいるご家庭であれば、なおさら注意が必要です。

数年後には、さらに教育支出が増えますし、お子さんのイベントごとも多くなるため生活費も膨らみがちです。今は家計が黒字であっても、将来のことを考えると楽観視できません。

公立以外の選択肢を想定した場合、将来の家計支出を見越して進路を決めることをオススメします。

入学前の数年が勝負!「年間貯蓄」がどれだけできるかが分かれ目

世帯収入が多い少ないで一律に私立小学校進学が大丈夫かどうかは測れません。

大切なことは、「年間でいくら貯蓄できたか」ということ。現状の家計収支のゆとりがどの程度あるのかが見極めポイントに!

一度入学した学校を経済的な理由で転校させたくはないはずです。子どもを私立小学校に進学させたいのであれば、保育料(共働き世帯の場合)と年間貯蓄額を合わせて、少なくとも進学を目指す学校の初年度学費を上回っている必要があります。

たとえば、制服などの諸経費も含めた初年度費用が160万円の学校を考えてみましょう。

仮に共働き世帯で保育料が月5万円(年60万円)であれば、その年の貯蓄額は100万円以上ありますか? また専業主婦世帯であれば、160万円以上1年で貯められていますか?

また、お子さんの数や進路の意向にもよりますが、下のお子さんも私立を目指すのであれば、さらに人数分のゆとりが欲しいところです。

「なんとかなるだろう」では、今はどうにかできるかもしれませんが、教育費は、お子さんの大学進学時がピークです。高校~大学でつまずく可能性が高いでしょう……。

以上から分かるように、しっかりとした資金計画が必要です!

今から私学進学を検討する際は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

【参考・画像】
※1 「子供の学習費調査」(平成26年度)- 文部科学省
※2 入学案内(入学金・学費一覧) – 青山学院初等部
※  Rawpixel.com、Valerii Honcharuk / Shutterstock