■最強パワースポットの氷室神社「恋愛弁天」
1800年の歴史がある氷室神社は、兵庫県神戸市にあります。仁徳天皇の兄がこの場所で氷室(氷を貯蔵する洞窟)を見つけ、氷を天皇に献上したことが名前の由来となっています。
祀られているのは、市杵島比売(いちきしまひめ)・大国主命(おおくにぬしのかみ)・仁徳天皇(にんとくてんのう)です。
氷室神社(wikipediaより)
神戸 氷室神社大国主命は出雲大社の祭神として有名で、市杵島比売は宗像三女神と呼ばれる三姉妹の女神のうちの1柱です。海を守る女神であり、かなりの美女だと伝わっています。
この女神を、厳島神社(広島県)からこの地に奉斎したのが平清盛です。そして後の神仏習合により、市杵島比売は仏教の弁才天と同一視されるようになりました。
弁才天は七福神の一員であり、こちらも美女として知られています。また、水神でもありますので、これらの共通点から市杵島比売と同一視されるようになったのでしょう。
この弁才天と習合した市杵島比売が恋愛弁天と呼ばれるようになったのは、平家物語でも描かれたある悲話が関わっているのです。
■平家物語で描かれた平通盛と妻・小宰相の悲話
氷室神社は源平合戦のとき、平通盛(平清盛の甥)と妻・小宰相が別れを惜しんだ場所だと伝わっています。
この悲話は平家物語に描かれており、身投げする前に小宰相は「極楽で夫と会わせてほしい」と願っています。
「南無西方極楽世界教主、弥陀如来、本願誤たず浄土へ導き給ひつつ、あかで別れ妹背のなからひ、必ず一つ蓮に迎え給へ」夫と再び会えることを願って、小宰相は海に身を投げたのです。夫の後を追った小宰相の最期は、多くの人の胸を打ちました。
引用元:平家物語
そうして海の守り神である市杵島比売は小宰相を想いを汲んで、恋愛弁天として存在するようになったのでしょう。さらに大国主命は「縁結びの神」なので、もともと恋愛の願いが叶う要素はあったのです。
そんな氷室神社では、「恋愛ポスト」や「愛の手紙」と呼ばれる願掛け方法があります。愛の手紙に心を込めて願いを書き、恋愛ポストに投函することで神さまのご利益をいただけるのです。
ちなみにネット上では強力な作用が発揮されるとかで、生半可な気持ちで願掛けすると痛い目に合うという噂が囁かれています。それは、小宰相の悲しい想いが影響を及ぼしているのかもしれませんね。
参考サイト:平家物語(原文・現代語訳)
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