■親方として日本相撲協会に残るのは狭き門

大相撲の力士の多くは、おおむね30代~40歳前後で現役を引退します。

引退後の力士たちは、大きく分けて

・親方(年寄)として後進の指導に当たる
・相撲以外の職業に就く

という2つの進路の選択を迫られることになります。


長年相撲一筋に生きてきた力士たちは、そのほとんどが「できれば相撲協会に残りたい!」と望んでいることでしょう。

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■親方になれる力士は実はたったの105名

しかし相撲の親方になるのは、実はかなりの「狭き門」です。

親方として日本相撲協会に残るために必要な「年寄名跡(年寄株)」は、抜きん出た実績を残した横綱に贈られる「一代年寄」を除くと1927(昭和2)年以降は定員105と定められており、襲名するためには「日本国籍を持っていること」に加え

・最高位が小結以上
・幕内在位通算20場所以上
・関取(十両以上)在位が通算30場所以上

などのいくつかの条件が定められています。
もし「師匠」として相撲部屋を新設したり、既存の部屋を継いだりする場合には、更に厳しい条件が加わります。

そのため多くの力士は引退後、飲食・整体・介護をはじめとする業界に就職し「第2の人生」をスタートさせることになります。

親方の再雇用制度もアリ?相撲の力士や親方って退職後はどうしてるの?


引退後、部屋付き親方として後進の指導に当たった後に定年を待たず相撲協会を退職し、整体院を開業した元小結・三杉里の岡本公似氏のように、実業家として活躍する元力士も少なくありません。

■定年退職した元親方の「第2の人生」とは?

一方、親方になった場合は年収およそ1000万円前後~2000万円以上(職責による)に加え、場所手当、部屋維持費、力士養成費などの様々な収入が加わるため、十分な生活や社会的地位が保証されます。

しかしそんな親方も、相撲協会の規定により65歳が定年と定められています。
実際には定年を迎える前に亡くなる親方もいますし、現役時代からの故障の影響で療養生活を余儀なくされるケースもあるでしょうが、無事に定年退職を迎えた親方たちの送る「第2の人生」も、これまた色々のようです。

例えば元大関増位山の元10代三保ヶ関親方は、歌手として活動する傍ら、旧三保ヶ関部屋をそのまま生かした店内で話題の「ちゃんこ増位山」を経営しています。
相撲特番の収録が行われたこともあるこのちゃんこ屋には、多くの力士たちが稽古に励んだ土俵や鉄砲柱などがそのまま残され、ミシュラン東京2017にも掲載されるほどの人気店となっています。

また最近では、相撲協会にも

・定年退職を迎えた親方のうち希望する者は、最長5年間(70歳まで)年寄名跡を保持して再雇用される」

という「親方の再雇用制度」ができました。


この場合の条件は、

・給与は定年前の7割
・役員や部屋の師匠を務める事はできない

となっています。

親方の再雇用制度もアリ?相撲の力士や親方って退職後はどうしてるの?


再雇用制度ができた背景には、モンゴルをはじめとする外国人力士が増えたことで年寄名跡を取得する条件「日本国籍を持っていること」を満たせない力士が増え、指導者が不足していく事への懸念がありました。

「もっと日本人力士に頑張ってほしい!」という日本のファンの声は、実は将来力士を育てる人員の不足にまで関わってくる「重い意見」なのです。

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