皆さん、「相撲教習所」ってご存知ですか?日本相撲協会が、入門したばかりの力士(新弟子)たちに相撲に必要なさまざまなことを教えるために設けている、いわば「学校」です。
東京での本場所の前には「横綱審議委員会」による稽古総見も行われるこの施設ですが、いったいどこにあって、新弟子たちがどんなことを学んでいるのかは、なかなか私たちには知る機会がないですよね。
■相撲教習所ってどこにあるの?何を学んでいるの?
相撲教習所は、東京・両国の両国国技館の敷地の中の、向正面側にあります。新弟子として入門したら、前相撲から始める力士はもちろん、たとえ幕下付出しなどで入門した場合でも、例外なくここへ通うことが決められています。
教習所で学ぶ内容には、「実技」と「教養」があります。「実技」は、主に相撲の基本となる四股・鉄砲・股割り・すり足などに加え、力士に欠かせない「土俵上での作法」などで、教習担当の親方や幕下の力士が指導を担当することになっています。

また「教養」には、「相撲の歴史」「生理学」「運動医学」「一般常識」「書道」「相撲甚句」などがあり、行司や呼出も一緒に受講することがあります。こちらの指導を担当するのは各分野の専門家です。
実技の講習には、力士が寝ていたら叩き起こすための「竹刀係」がつくことになっているというから、厳しいですね!
タイムテーブルとしては、早朝に「実技」を3時間ほど行い、その後「教養」が約2時間、終わるのは正午頃となります。
■相撲教習所にはどのくらいの期間通うの?
相撲教習所に通う期間は、原則6ヶ月間と定められています。ただし幕下付出しで入門した力士は教習が一部免除されることがあり、さらに入門から半年以内に十両に昇進し「関取」となった場合も、その時点で教習所に通うことが免除となります。
しかし遠藤や逸ノ城のように、初土俵から2場所で十両に昇進したにもかかわらず、卒業まで教習所に通い続けた力士もいます。これには本人や、所属部屋の親方の意向も関わってくるようですね。
また外国人力士の場合は、日本語や日本の文化を身につける必要性もあるため、原則1年間通うこととなっています。

教習の指導をする親方は、外国人力士にはジェスチャーと外国語を混ぜるなど、工夫をしながら相撲の取り方を教えます。
おかげで外国出身の力士たちも、無理なく相撲の取り方や日本語を覚えていくのだとか。
これからは親方にも英語などの外国語に加え、グローバルになっていく相撲界に合わせた国際的な感覚が求められるようになっていきそうですね。
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