不穏な空気漂う戦国時代、恐ろしかったのは戦場だけではありませんでした。
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■湯起請(ゆきしょう)
「湯起請」とは、戦国~江戸時代初期に行われた裁判の一つの方法です。事件があった場合には犯人探しに用いられ、AさんとBさんが揉めに揉めて話し合いでは解決しそうにないという場合にも、どちらの主張に正義があるか定めるために用いられました。
やり方はいたって簡単。ぐらぐらと沸騰している熱ぅいお湯に手を突っ込み、火傷をしなかった人が勝訴または犯人ではない、という判断になるのです。簡単といえば簡単ですが、絶対にやりたくない、恐ろしい裁判ですよね。
■鉄火起請(てっかきしょう)
もう一つの恐ろしい裁判が「鉄火起請」です。鉄火起請は主に、近隣住民同士の所有地の境界線での争いなどを解決したいという場合に使われました。こちらも湯起請に負けず劣らず、方法はかなりデンジャラス。
まず神仏の加護のあるお札などを手に頂き、自らの正当性を祈念します。それからその手に真っ赤に焼けた鉄の棒を握りしめるのです。
これも火傷の少なかった方が勝訴という判断基準でした。
■なぜ恐ろしい裁判は誕生したのか
なぜこのような恐ろしい方法で裁判をしたかというと、当時はいわゆる「公平な裁判」を行う事が、現代より困難だったためと考えられます。

当時は現代のように指紋を検出することもできませんし、カメラ、ビデオがあるわけでもありませんから、証拠物件を並べたてるという事も非常に困難だったことでしょう。そのような時代にあって、誰かの主張に偏って贔屓することなく誰もが納得する裁きと言えば、「神仏による裁き」に他ならなかったのです。
例えば「神仏に誓って悪い事をしていない」という本人の主張が本当なのであれば、煮えたぎる湯に手を入れても神仏の加護があるから火傷しない。正義があるものは神仏の加護があるため焼けた鉄を持っても火傷しない。
証拠のない現場では、話し合いで拉致のあかないことは神の領域として、人間でないものに結論を求めた。これが戦国の恐ろしい裁判に繋がったのでしょう。
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