吉原の遊女には、最高位の花魁(かつては太夫)から末端の鉄砲女郎まで、様々なランクがありました。
更には遊女だけでなく、現代のソープランドに代表される性風俗店同様に、遊女の在籍する店(見世)そのものにまで格付けがあったのをご存知でしょうか?
見世の格付けは大きく分けると最高位の「大見世」から「切見世(または銭見世)」まであり、それぞれの見世に在籍する遊女の人気(値段や評判を含む)によって決まったといいます。
ちなみに、遊女がいる店である遊郭を「見世」と書くのは、格子の中の遊女を「世間」に「見せ」ることに由来しています。
■吉原の見世のランクは4種類!
気になる吉原の見世のランクには、以下の4種類が存在しました。
・大見世:揚げ代が1両(現代の約10万円)~2分(約5万円)
・中見世:3分(約7万5千円)~2分(約5万円)
・小見世:2分(約5万円)or1分(約2万5千円)~2朱(約1万2千500円)
・切見世(銭見世):2朱(約1万2千500円)~100文(約2千円)
最高級の遊女が在籍するのは、もちろん大見世。
大見世で花魁と遊ぶには、案内所である引手茶屋を通して宴会の準備をしなくてはならず、ただでさえ高額な花魁の揚代にこれらの料金もプラスされ、莫大な出費となりました。
一方、最下級ランクの切見世は、いわば「格安風俗」でした。
最下級の遊女の仕事の過酷さについては、以前こちらの記事でもご紹介しています。
江戸時代の遊郭の闇。劣悪環境で男性に性的サービスする最下級の遊女「鉄砲女郎」とは?
■「見世」のランクの見分け方のヒントは「格子」?
さて、気になる見世のランクですが、実は意外と簡単に見分けることができました。ポイントは、見世の正面や店の上り口にあった「籬(まがき)」と呼ばれる格子です。

稼いでも金持ちになれなかった花魁。豪華絢爛な衣装費は彼女らが売られてきた時の身代金や借金に上乗せ
妓楼の格子といえば、華やかに着飾った遊女が自分の姿を見せながら客を待つ「張見世」を思い浮かべる方が多いでしょう。大見世の場合、この格子が「大籬(おおまがき)」または「惣籬(そうまがき)」と呼ばれ、全体が格子になっていました。
中見世の場合、格子は「判籬(はんまがき)」となり、籬の右上の4分の1が開いていました。これが小見世になると、格子は下半分しかない「小格子」または「惣半籬(そうはんまがき)」と呼ばれるものになりました。
見世の格が低いほど格子の面積が少なくて客から遊女が見やすく、見世の格が上がれば上がるほど、遊女の姿が簡単には見られないようになっていたわけです。
ちなみに最下級の切見世の場合、遊女たちは5~8軒の長屋形式の「局(つぼね)」で客を取っていました。そのため「長屋」「局見世(つぼねみせ)」と呼ばれることもありました。
【参考】
・遊郭に関わる専門用語の説明
・江戸新吉原/見世の格と遊女の格
・遊女屋の様子
・コトバンク「切見世」
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