■チャペルもいいけど、日本人なら伝統的な「神前式」!?

結婚式を挙げるカップルの間では、近年では宗教や思想に関係なく、チャペルで永遠の愛を誓う「キリスト教式」が圧倒的人気となっています。

結婚情報サイト『ゼクシィ』の「結婚トレンド調査2018(全国推計値)」によると、キリスト教式を選択するカップルは55.4%と過半数を超えています。


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結婚式準備ガイドの挙式スタイルに関するコラム内で

「通常のチャペルで行われる結婚式」

という言い回しが使用されていることからも分かるように、チャペルでの挙式は単なるブームを超え、もはや「定番」となった感さえあります。

一方
「日本人なのだから、日本の伝統的な文化を大切にした厳かな結婚式で!」
「『和婚』なら、日本人ならではの奥ゆかしさを実感できる」
という理由で、神社での「神前式」も根強い人気を集めています。

日本の伝統的な結婚式…の割に実は歴史が浅かった「神前結婚式」


しかし「日本の伝統的な古式ゆかしい挙式スタイル」とされている神前式には、そもそもどのくらいの歴史があるのでしょうか?

調べてみると、意外な事実が明らかとなりました。

■神前結婚式は意外と新しかった

現在行われている「神前式」が一般的になったのは、明治時代以降のこと。

1900(明治33)年5月10日、当時の皇太子・嘉人親王(後の大正天皇)と九条節子さん(後の貞明皇后)の「結婚の儀」が、宮中の賢所(かしこどころ=皇祖神・天照大神の御霊代(みたましろ)である八咫鏡を祀る)で行われました。

これに注目した日比谷大神宮、現在「縁結び神社」として人気の「東京大神宮」が式次第を簡略化させた「神前結婚式」を企画し普及に尽力したことから、国民に広まっていきました。

ちなみに嘉人親王以前の天皇や皇太子の結婚は、「結婚の儀」として行われることはありませんでした。

平安時代以降の皇后は、最初から「皇后」として天皇と結婚するのではなく、天皇の寝所に侍る「女御」と呼ばれる後宮の女官から昇進することが多かったのです。

そのため、後宮に女御や更衣などの身分の女性が上がる「入内」が、天皇の婚儀に相当する儀式とされていました。

■神前式が流行する前の日本の「伝統的な」結婚式とは?

では、神前式が広く普及する前の日本での「一般的な結婚式」とは、どのようなスタイルだったのでしょうか?

実は意外なことに、近年「式次第やルールにとらわれない、新しいスタイルの結婚式」として注目を集めている「人前式」に近いものでした。

結婚式は各家庭で、新郎の家に花嫁道具を運び込み(道具入れ)、花嫁が新郎の家に移動し(嫁入り)、家に親戚縁者を呼んでのお披露目会を行う(祝言)という流れで行われるのが普通だったのですよ。

【参考】

・ハナユメ「神社で行う結婚式、メリット・デメリットと確認すべきポイント3選!」
・結婚情報サイト『ゼクシィ.net』/[キリスト教式・神前式・人前式] 挙式スタイル、みんなはどう選んだ?
・『ザ・歴史トリビア』著:西沢教夫/廣済堂

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