実は「日本画」という言葉ができたのは明治期以降、比較的近代なのです。
ここでは近代の日本画家・橋本関雪(はしもとかんせつ)[1883-1945] の描く、ふわふわでかわいい動物たちを紹介したいと思います!
まずは1941(昭和16)年頃に描かれた「唐犬図」という作品です。
唐犬図(右)足立美術館蔵
このふわふわ感!
思わず触りたくなるような、白い毛並みがたまりません。
この絵は2対になっていて、右側にボルゾイ、左側にハウンドが描かれています。

唐犬図(左)足立美術館蔵
ボルゾイのふわふわ感・ハウンドのビロードのようなきめ細かさがそれぞれ伝わってくるのも、この絵の魅力ですね!
「唐犬」とは「舶来の犬」という意味です。
この絵に描かれているのは、関雪が実際に飼っていた犬たちです。
関雪は大の犬好きで、日頃からよく観察・写生していた結果、この絵を描く頃には実物を見なくても頭の中で形が出来上がっていたと言われています。
関雪は四条派の写実的な動物の表現を基礎に、中国の古典や西洋画からも着想を得て、独自のスタイルを作っていきます。
その古典的手法を踏まえながらも、新たな要素を上手く取り入れた作風は「新南画」「新古典主義」と呼ばれ評価され、大正・昭和を代表する画家の一人となっていきました。

秋圃(1939年)足立美術館蔵
この絵では秋の草を背景に、イタチが描かれています。
有名な絵なので、見たことのある方もいるかもしれません。
また、動物画の中でも特に、関雪が得意としていたのが猿の絵です。

秋桜老猿(1938年) 橋本関雪記念館蔵
繊細な毛並みや、まるで人間のような表情が特徴的です。絵の題材としての猿はよくある古典的なものでしたが、関雪の猿の、あたかも近くにいるかのような臨場感は衝撃でした。
ということで、今回は大正~昭和にかけての日本画家・橋本関雪の動物画を紹介させていただきました。
関雪の動物画は、完成度の高い写生とふわふわの毛並み、何かを考えているような、まるで人間のような表情が特徴的です。
かわいいけれど真剣な表情に、思わず惹きつけられてしまいます。
京都、島根に実物を展示している美術館がありますので、機会があればぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
- 足立美術館公式ホームページ
- 橋本関雪記念館公式ホームページ
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