そして、「エロ」へのこだわりから、海外で人気が出た作品も数多くあります。
ちなみに春画というと男女が見て楽しむものというイメージがありますが、実はほかにも様々な役割が!例えば、花嫁向けの参考図版としての役割もあったそう。
春画は新婚生活に必須?江戸時代、春画はただ見るだけのものじゃなかった
■小人が主役の春画『風流艶色真似ゑもん』
江戸時代の大ヒット作でもある『風流艶色真似ゑもん』は、鈴木春信(すずきはるのぶ)が男女の修羅場をテーマに描いた作品です。
風流艶色真似ゑもん
しかし、普通の修羅場とは違って、絵の中に小さな男がいるのにお気づきでしょうか?
実は、この小さな男が本作品の主人公です。
男が秘薬を飲んで小人となり、「性の奥義を知るための冒険」をしている途中で修羅場に遭遇してしまったという設定で物語が描かれています。
小っさなおっさんが情事を覗くw 春画もスゴかった錦絵の先駆者・鈴木春信
嫁の妊娠中に姪に夜這い!?浮世絵師・鈴木晴信の描いた春画「風流艶色真似ゑもん」の世界がけしからんw
江戸時代の修羅場の様子を知ることができるのも興味深いですし、小人が「性の奥儀を知るための冒険」をするという発想にも驚かされる、楽しい作品と言えるでしょう。
ちなみに上の作品ではニャンコも楽しんでいるの、気づきましたか?
■男しか登場しない春画『男色秘戯画帖』
『男色秘戯画帖』は、江戸時代に有名だった画家「菱川師宣」を、師とし尊敬していた若い画家たちが集まった「菱川派」が描いた男色モノの作品です。
本作品の登場人物は男3人のみで、修羅場をテーマに描かれています。

男色秘戯画帖
布団をかぶって男2人でイチャついていたところにやってきた、2本の刀を携えた武士。その武士に気づいた2人は、驚きのあまり開いた口がふさがらないといった様子です。
当時ならではの武士が登場したり、男のみが登場したりする世界観は、当時の歴史や男色文化を感じさせる興味深い作品となっています。
この後、3人はいったいどうなったのでしょうか?現代でいう3Pに突入したのかもしれませんし、武士が2人の行為を見せるよう強要したかもしれません。
どちらにしても、刀を携えた武士がカギを握っていそうですね。
■見方によっては「エロ」い春画『逢夜雁之声』
『逢夜雁之声』は、初代・歌川豊国 が描いた作品です。

逢夜雁之声
パッと見た感じでは、1人の女性がくつろぎながら本を読んでいるだけで、今まで紹介した春画と違い「エロ」の部分がないように思えるでしょう。
しかし、よく見てみると、女性が手に持っている本には、絡まる男女が描かれています。
この本は、現代の「エロ本」のようなもので、当時の春画を集めた「艶本」と呼ばれるものです。
この作品には他にもエロポイントがあって、女性がひじを掛けている机の下に、「張型」とよばれる男性器を模した江戸時代のアダルトグッズがいくつも描かれています。
この春画から、江戸時代にはすでに、さまざまな種類のアダルトグッズが売り出されてということがわかります。
もちろん、女性用だけでなく男性用のアダルトグッズも豊富に売り出されていたのだとか。
見れば見るほど、初代・歌川豊国 の「エロ」に対するこだわりを見つけることができて面白い作品となっています。
■当時の「エロ」へのこだわり
江戸時代には、タコや人魚などの人外モノ、男女の性器を妖怪に例えた作品も数多くあります。
100年も200年も昔の江戸時代に、知恵を絞って描かれた作品はどれを見ても、画家たちの「エロ」へのこだわりが濃く反映されています。
さらに深掘りすれば、当時の歴史的背景や環境まで楽しむことができて面白いですよ。
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