「白羽の矢が立つ」といえば、大勢のなかから大抜擢されたときなど、よい意味に使われることが多い言葉ですが、もともとは大勢の中から犠牲者が選びだされることを指していました。

日本には古来より、山の神や水の神などに対して、願をかけるなどして見返りに人身御供(ひとみごくう)をささげるという伝説が各地に乗っています、その際、人身御供となるのはだいたい若い娘。
そして、人身御供に選ばれた娘の家には、軒下に白羽の矢が立ち、その矢が立った娘の家は否応なく神にささげられるようになったといいます。

先述のように、現在では良い意味でも使われるようになっていますね。

「白羽の矢が立つ」という言葉の由来、実は神様への生贄「人身御...の画像はこちら >>


また日本語には、「雉(きじ)も鳴かずば撃たれまい」という言葉があります。

これは、「余計なことを言わなければ、禍いを招かないですむ」という意味のことわざですが、この言葉にも「人身御供」を思わせるような由来が伝わっています。

概要だけ伝えると、

貧乏な家庭に生まれた娘が父親に高価な食べ物をねだる

→その食べ物を買ってやれない父親が盗んで娘に食べさせる

→その娘がてまり歌でその食べ物を食べたことを歌い、父親の犯罪が村人に知れ渡る

→村人にとがめられた父親は、人柱として川のほとりに生き埋めにされる

→娘はそのことを後悔し、以後一言も口を利かなくなる。

→何年かの後、娘はあるとき、漁師がキジの鳴く声を聞いて鉄砲で撃ち落とした様子を見て、「雉も鳴かずば撃たれまいに…」と呟く…

「白羽の矢が立つ」という言葉の由来、実は神様への生贄「人身御供」の風習から生まれた!?


多少話の中身が異なりますが、まあ大体大まかにこのようなエピソードとともに伝えられています。

日本で本当に人身御供が行われていたかどうかについては、明治時代以降様々な論争になっていますが、このように悲しい人身御供の話とともに伝わっている日本語も、少なくとも存在しています。

参考

  • 前田 富祺 『日本語源大辞典』(小学館 2005)
  • 出口 汪『本当は怖い日本のことわざ』(宝島社 2017)

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