華やかな下剋上、かっこいい武将のエピソードの多い時代である一方、戦国時代は、残酷で暗い顔も持っています。その一つが、今回ご紹介する「乱妨取り(らんぼうどり)」です。
■乱妨取り(らんぼうどり)とは?
乱妨取りは、戦国時代に行われた、戦のあとに兵士が物や人を略奪した行為です。乱妨取りという言葉の他に、乱取り(らんどり)と呼ばれることもあります。戦いが行われた地域には農村が含まれていたことも多く、農家の作物や家財、金品を奪ったりしました。
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さらに、略奪行為は人にまで及び、人身売買目的で連れ去られたり暴行されたりすることもありました。これらの行為は、大名も黙認し、「悪事ではない」と何の罪にも問われなかったと言います。
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これらを褒賞としたり、兵卒たちの士気を保ったりすることにも使われたと伝えられています。

■実際にはどんな乱妨取りが行われた?
ここからは、実際の合戦において、どのような乱妨取りが行われていたのか、ということをご紹介します。例えば、徳川家が豊臣家を滅ぼし、戦国時代より続いた大規模な戦闘の最後を飾った大坂夏の陣。この終結直後、徳川の雑兵たちによる乱妨取りが行われました。

これは大規模な略奪だったといい、この乱取りの様子は、「大坂夏の陣図屏風」という有名な絵に残されています。
■乱妨取りを規制する軍規も

このような残酷な乱妨取りを軍規で禁止しようという動きもありました。人道的な理由に加え、略奪行為をされた地域は復興が非常に困難となり、経済的な損失がばかにならなかったこともその理由に挙げられます。
戦国時代、戦いに勝った場合、侵攻した地域がそのまま自分の領国となる場合も多く、無意味に衝突を避けたいと考えることも重要な戦略でした。
いかがでしたか?
華々しい戦国時代の裏の顔。このような歴史があったことを、今に生きる私たちも覚えておきたいものですね。この記事が、みなさんが少しでも歴史に興味を持つきっかけになれば嬉しいです!
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