時代劇の映画やドラマ、落語などにしばしば登場する花魁(おいらん)。遊郭という独特の世界に存在する彼女たちは、その派手であでやかなお化粧やお着物に注目されることが多いですが、実はユニークな言葉・言葉遣いを持っていました。


それが、「花魁言葉(おいらんことば)」。

廓詞(くるわことば)、里詞(さとことば)、ありんす詞(ありんすことば)とも呼ばれる花魁言葉ですが、実は、現代にも残る言葉や表現がありました!

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花魁言葉は、江戸時代の遊郭において、遊女が使った言葉や言葉遣いを指します。有名な「ありんす」は新吉原の遊女が使いました。また、このことから、新吉原は「ありんす国」と呼ばれたとも言われています。

■「花魁言葉」が使われた理由は?

吉原で働く遊女たちは、自分たちの方言やなまりを隠し、出身を明らかにしないため、花魁言葉を使っていました。

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また、遊郭は男性たちにとって現実からはなれた夢や幻想の世界。上品で優美な女性たちを求めてやってきた男性たちにとって、遊女がなまり丸出しの話し方をしてしまったら幻滅してしまうでしょう。

そのため、遊女たちの話し方を少しでも品のある、あでやかな言葉遣いにさせるため、徹底的に花魁言葉を教え込んだといいます。

■現代にも残る「花魁言葉」って?

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「ありんす」などの強烈な語の印象から、「花魁言葉なんて今ではもうないんでしょ?」と思われるかもしれませんが、意外なところに残っているのです。

例えば、お寿司屋さんなどでよく聞く「あがり」。これはお茶のことを指しますが、遊郭でも最後に出すお茶のことを「あがり花」と言っていました。


また、「モテる」という言葉も、江戸吉原で「遊女から丁寧にもてなされる、もてなしを受ける」という意味で使われていたとか(諸説あるようです)。

いかがでしたか?花魁言葉というと、「もう使われていない古いものでしょ?」と思われがちですが、意外にも現代まで残っているのですね。この記事が、みなさんが少しでも歴史に興味を持つきっかけになれば嬉しいです。

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