そんな様子を妹の実衣(演:宮澤エマ)が「ぞっこん」と表現し、兄二人(片岡愛之助の演じる北条宗時、小栗旬の演じる北条義時)の反応が実に対照的でした。
宗時(政子が頼朝公と結ばれれば、やがて天下を獲った暁には……)
義時(いやいや、流罪人と縁続きになって平家政権から睨まれでもしたら……)
父と姉は恋に浮かれ、兄は突っ走り、妹はマイペース……頭を抱える義時(イメージ)
一方、父の北条時政(演:坂東彌十郎)も、新しく迎える三人目の後妻・りく(演:宮沢りえ)に「ぞっこん」のご様子。
ところで「ぞっこん」って何でしょうか。言葉からはベタ惚れな様子が伝わるものの、改めて意味を確かめたことはありませんでした。
そこで今回は「ぞっこん」の語源を紹介したいと思います。
■心の底根から、恋愛的なニュアンスに変化
ぞっこん、の語源には諸説あるようですが、有力な一つが漢字で「底根」と表記するもの。
元は「そここん」と読んだのが「(続く言葉が促音化して)そっこん」となり、やがて濁ったと考えられています。
(そもそも言葉の発生辞典から「そっこん」だったとする説もあるようです)

底根より申す
ソッコンヨリモウス最初は「心(心根)の底」を意味していた「そっこん」が「ぞっこん」となり、恋愛的な意味で「心から惚れ込んでしまう様子」の枕詞ようになっていきました。
【意訳】心の底より(真心をもって)申し上げる……『日葡辞書』より
そっこんから燕せ(やすんぜ。安んぜ)らるるぞ
【意訳】心の底から安心したぞ……『両足院本 毛詩抄』より
人には云い勝ともそっこん心には服せざるなり
【意訳】人を言い負かしても、相手は心から従うわけではない……『古活字本 荘子抄』より
滝川に属懇(ぞくこん)惚れた角左衛門が……歌舞伎「侠客五雁金」より恐らく属懇は当て字でしょうが、懇ろに属するとは、実に言い得て妙ですね。
其のぞっこんであった男が……泉鏡花『婦系図』より

心を射抜かれ、まさに卒根(イメージ)
ほかにも「卒根(そっこん)」という当て字もあるようで、卒は「にわかに」「おわる」など意味があるので、一目惚れや、思いが高まり果てて精根が終わり、卒倒してしまったかのニュアンスも感じられますね。
■終わりに

歴史を変えた二人の恋(イメージ)
さて、頼朝公にぞっこんな北条政子、そして”りく”にぞっこんな北条時政。
主人公・義時の活躍ともども、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」次回放送が楽しみですね!
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