「切捨御免(きりすてごめん)」という言葉を、時代劇などで耳にしたことがある方も多いと思います。こんな言葉があることから、武士たちはさぞ簡単に人を斬っていたのだろう、と想像できますが、実は意外とそうでもないんです。


そこで今回の記事では、そんな意外と知られていない「切捨御免」のルールや真相に迫ってみたいと思います。

斬り殺しても罪じゃない?江戸時代の武士に与えられた特権「切捨...の画像はこちら >>


■「切捨御免」よく聞くけどその意味は?

説明不要……かもしれませんが、「切捨御免」とは「斬ってごめんね」という意味ではなく、江戸時代の武士に名字帯刀とともに与えられた特権のひとつで、町民や農民から無礼を受けたときに斬って殺しても罪には問われない、というもの。

他に、「無礼討ち」や「手討ち」などと呼ばれました。

■「切捨御免」は厳しいルールがあった?

こう聞くと、武士は簡単に庶民を斬りまくっていたのでは?と思いますが、実のところはそうでもないようです。

というのも、切捨御免を行うためには厳しいルールがあったからです。それは、武士が庶民から受けた侮辱の名誉回復・正当防衛の手段であること。

なにを持って“無礼”とするかの判断は難しいですが、一般的には、武士に故意にぶつかったり妨害行為があった場合とされていました。

ですから、気に入らないからと言ってむやみやたらに斬り殺すことはできなかったのです。ちなみに、勝手に人を斬ることは辻斬りと言い、死罪となります。

■切捨て後も大変だった

斬り殺しても罪じゃない?江戸時代の武士に与えられた特権「切捨御免」の知られざるルール


条件を満たし切捨てを行ったとしても、その後も大変なことが待っていました。まず役所(奉行所)に切捨ての事実を申し出なければいけません。

さらに、人一人切ったことは重い事実であるため、20日以上の自宅謹慎。


そして、切捨ての正当性を示す必要がありました。無礼な行為を働いたということ、そしてそれに対する正当性を立証するための証人も必要でした。

正当性が認められればおとがめなしで済みますが、もし「殺すほどでもないだろう」と正当性が認められなければ、最悪の場合家名断絶もありえました。

そのため、武士も簡単にはできない行為だったと考えられます。

いかがでしたか?時代劇などでよく聞くセリフが、意外にもそんなにシンプルなものではなかったのですね。この記事が、みなさんが少しでも歴史に興味を持つきっかけになれば嬉しいです!

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