乳兄弟の今井兼平(演:町田悠宇)や幼なじみの巴御前(演:秋元才加)と共に今後の活躍が期待されます。
挙兵した義仲と巴御前。画像:Wikipedia(撮影:Bakkai氏)
やがて義仲は叔父の源行家(演:杉本哲太)にそそのかされて上洛を開始、北陸道を突き進みました。
火牛の策で有名な倶利伽羅峠の戦いをはじめ、平家の軍勢を打ち破り、ついには京都から追い出します。
後白河法皇(演:西田敏行)の喜びようは大変なもので、平家討伐の英雄として歓迎された義仲でしたが……。
■乱暴狼藉を諫められ、逆ギレする
「平家の都におはせし時は、六波羅殿とて、ただ大方恐ろしかりしばかりなり。衣裳をはぐまではなかりし物を。平家に源氏かへ劣りしたり」……こんな連中だったら、平家の方がよっぽどマシ(平家に源氏かへ劣りしたり)。残念ながら、それが義仲たちの評価でした。
※『平家物語』巻第八「鼓判官」より
およそ京中には源氏みちみちて、在々所々に入り取り多し。賀茂、八幡の御領ともいはず、青田を刈りて馬草にす。人の倉をうち開けて物を取り、持つて通る物を奪ひ取り、衣裳をはぎ取る。何しろ寄せ集め集団なので義仲による統制がきかず、また十分な恩賞もなかったため、あちこちで強盗や略奪に走る始末。
※『平家物語』巻第八「鼓判官」より
京都洛中で略奪に走る木曽の軍勢(イメージ)
極めつけは源氏の氏神であるはずの八幡大菩薩(が祀られている石清水八幡宮)に対する不敬。これでは遠からず加護を得られなくなってしまうでしょう。
しかし将兵たちが戦ってくれるのはこうした「旨味」「楽しみ」ゆえであり、自腹で参加させられている以上、これ(物資の現地調達、戦果=利潤の追求)を完全に禁じたら誰もついて来なくなります。
とは言っても、京都洛中で好き放題に暴れ回られてはたまりません。後白河法皇は義仲の元へ平知康(演:矢柴俊博)を派遣しました。
「兵たちの乱暴狼藉を何とかせよ、と院の仰せにございまする(狼藉鎮めよ)」
知康の訴えに対して、義仲はどこ吹く風。無関係な話題ではぐらかします。
「そもそも、殿を鼓判官といふは、よろづの人に討たれたうたか、張られたうたか」「ところで貴殿は鼓判官(つづみほうがん)とあだ名されておるそうじゃが、みんなから殴られでもしたのか。ビンタでも喰らったのか」
※『平家物語』巻第八「鼓判官」より
さぞやいい音がするんだろうなぁ、我も一つ殴ってみようか……とばかりの態度に知康はうんざり。さっさと戻って後白河法皇に事の次第を報告しました。
「義仲をこの者で候ふ。只今、朝敵になり候ひなんず。「義仲はとんでもない烏滸(をこ。愚か)の者なれば、間もなく朝廷に仇なすことでしょう。すぐにも討伐すべきです」急ぎ追討させ給へ」
※『平家物語』巻第八「鼓判官」より
後白河法皇はさっそく延暦寺や三井寺の僧兵たちを集めて臨戦態勢を整えます。
その様子を見た木曽方の者たちは「もはや義仲の命運も尽きた」と離反、信濃源氏の一族である村上三郎判官代(むらかみ さぶろうほうがんだい)まで後白河法皇に投降する始末。
「これこそ以つての外の御大事で候へ。さればとて、十善帝王に向かひ参らせて、いかでか御合戦候ふべき。甲を脱ぎ弓の弦をはづいて、降人に参らせ給へ」「一大事にございます。しかし畏れ多くも朝廷に弓を引く訳には参りません。ここは素直に兜を脱いで弓の弦をはずして降参の姿勢を示されませ」
※『平家物語』巻第八「鼓判官」より
喜多川歌麿「木曾冠者源義仲及其一門」
兼平が進言したものの、義仲は聞き入れません。
「我、信濃を出でし時、麻績、会田の軍よりはじめて、北国には砥浪山、黒坂、篠原、西国には福隆寺縄手、篠の迫、板倉が城を攻めしかども、いまだに敵に後ろを見せず。たとひ十善帝王にてましますとも、甲を脱ぎ弓の弦をはづいて、降人にはえこそ参るまじけれ……(中略)……これは鼓判官が凶害とおぼゆるぞ。その鼓め打ち破つて捨てよ。「我は信濃を出てより各地で戦ってきたが、一度として敵に背を向けたことはない。たとえ朝敵となろうが一歩も退かぬ!」今度は義仲が最後の軍にてあらむずるぞ。頼朝が帰り聞かむところもあり。軍ようせよ、者ども」
※『平家物語』巻第八「鼓判官」より
「こんな事になったのは、あの鼓判官めのせいだ。あの野郎、打ち破って捨ててくれるわ。朝廷に仇なした以上、これが我らが最後の戦となろう。そのうち頼朝の耳に入るだろうから、恥じないよう悔いなく戦え!」
かくして義仲は後白河法皇の掻き集めた僧兵らを打ち破り、ついには後白河法皇を幽閉。京への一番乗りを果たしながら、鎌倉の頼朝に上洛の大義名分を与えてしまうのでした。
■あまりの下品さに愛想を尽かされる
(前略)兵衛佐はかうこそゆゆしくおはしけるに、木曽の左馬頭、都の守護してありけるが、起居の振舞の無骨さ、物言ふ詞続きのかたくななる事限りなし。理かな、二歳より信濃国木曽といふ山里に三十まで住み慣れたりしかば、いかでか知るべき。かつて平治の乱で敗れるまでは都で育ち、きちんと教養を身に着けていた頼朝に対して、義仲は何と粗野で下品なことか……まぁ無理もありません。
※『平家物語』巻第八「猫間」より
2歳の時に大蔵合戦(久寿2・1155年)で父が殺され、木曽の山奥に隠れ住んで20数年以上。
義仲の下品なエピソードと言えば、もう一つ。ある日、猫間中納言(ねこまちゅうなごん)こと藤原光隆(ふじわらの みつたか)が義仲の元を訪ねました。
「猫間殿がお見えになりました。お伝えしたいことがあるのと仰せです(猫間殿の見参にいり、申すべき事ありとていらせ給ひて候ふ)」
郎党からの報告を聞いて、義仲は爆笑。
あいさつに来た猫間中納言(イメージ)河鍋暁斎筆
「猫だと?猫の分際で人間様に何の用じゃ(猫は人に見参するか)」
「いえいえ、猫間という場所でお住まいだからそのように呼ばれているようです(これは、猫間の中納言殿と申す公卿で渡らせ給ふ。御宿所の名とおぼえ候ふ)」
それじゃあ会ってやろうか、と義仲は光隆を迎えます。ちょうど食事どきだったようで、
「おい。珍しい猫が来たから、飯の用意をしてやれ(猫殿のまれまれわいたるに物よそへ)」
「いえ、お構いなく……(ただいまあるべうもなし)」
「遠慮すんなよ。飯どきに来たってのは、食い物が欲しいからだろう?(いかが食時にわいたるにさてはあるべき)」
義仲はちょうど新鮮な(無塩=まだ塩漬けにしていない)平茸があったので、これらを調理させて郎党の根井小弥太行親(ねのい こやたゆきちか。義仲四天王の一人)に配膳させました。
歌川国芳「名将四天鏡 源義仲朝臣」より、根井大弥太行親
果たして出された料理は、田舎風の大きな器にドカ盛りご飯、おかず3品に平茸汁という献立。
それだけならつき合えなくもないでしょうが、いかんせん盛りつけは汚いし食器もちゃんと洗ってあるのかどうか……光隆がドン引きしていると、義仲は機嫌を損ねて言いました。
「何だ、不満かよ。それでもとっておきの食器なんだがな(それは、義仲が精進合子ぞ)」
こうまで言われては食べない訳にもいかず、恐る恐る箸をとって、一口だけ食べる仕草を見せた光隆。これを見て義仲はますます不機嫌に。
「猫殿は少食なのか。猫が猫下ろしするなど似合わぬから、猫らしくがっついて食えばよいものを(猫殿は少食におはしけるや。聞こゆる猫おろしし給いひたり。かひ給へ)」
猫下ろしとは、自分の食べ残したものを食卓の下にいる猫へやる(下ろす)こと。ここまで言われては我慢の限界、光隆は言うべき用件も言わず退出したということです。
■終わりに
他にも後白河法皇の御前で叔父・行家と序列を争っては公家たちに見下されたり、公家装束が面倒だからと甲冑姿で牛車に乗って失笑されたり、など散々な義仲。
義仲と四天王。兼平以外の名将たちも登場して欲しいところ。
その粗野な振る舞いゆえに頼朝の引き立て役となってしまい、都を追われて無残な最期を遂げるのですが、それはもう少し後のお話し。
しかし、頼朝は頼朝で大変です。後白河法皇の求めを受けてすぐにも上洛したいところですが、鎌倉では御家人たちの不満が爆発しそうになっていました。
上総介広常「下手をすると、鎌倉は真っ二つに割れちまうぞ」第14回放送「都の義仲」は、チーム木曽の活躍ぶりと暗雲、そして鎌倉分裂の危機がどういう展開を見せるのか注目ですね。
※第13回放送「幼なじみの絆」より
※参考文献:
- 鈴木彰ら編著『木曾義仲のすべて』新人物往来社、2008年12月
- 『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 前編』NHK出版、2022年1月
- 『NHK2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全読本』産経新聞出版、2022年1月
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan
![LDK (エル・ディー・ケー) 2024年10月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/61-wQA+eveL._SL500_.jpg)
![Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2024年 10月号[日本のBESTデザインホテル100]](https://m.media-amazon.com/images/I/31FtYkIUPEL._SL500_.jpg)
![LDK (エル・ディー・ケー) 2024年9月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51W6QgeZ2hL._SL500_.jpg)




![シービージャパン(CB JAPAN) ステンレスマグ [真空断熱 2層構造 460ml] + インナーカップ [食洗機対応 380ml] セット モカ ゴーマグカップセットM コンビニ コーヒーカップ CAFE GOMUG](https://m.media-amazon.com/images/I/31sVcj+-HCL._SL500_.jpg)



