マンガやアニメ、または文豪たちの書いた文学作品などで、高貴な身分のお嬢様キャラクターが「ごめんあそばせ」と言っている場面を見たことがある、という人も少なくはないのではないでしょうか?

では、なぜ「ごめん」に「あそばせ」がついているのか、不思議に思ったことはありませんか?

実はこの「~あそばせ」には、意外な語源が隠されていたんです。

「ごめんあそばせ」の ”あそばせ” ってなに?ルーツは歴史の...の画像はこちら >>


■念のため確認「ごめんあそばせ」の意味は?

「ごめんあそばせ」というのは、「ごめんなさい」「お許しください」という意味になります。


「お許し」を意味する「ごめん(御免)」に、尊敬語の「なさる」を言い換えて、さらに尊敬を強めた言葉が「あそばす」。

この「あそばす」の命令・依頼形が「あそばせ」であり、「~しなさってください」という意味となります。

■「ごめんあそばせ」の由来は?

では、「ごめんあそばせ」という言葉の由来はなんでしょうか。諸説あり、ここでは代表的なものを2つご紹介します。

まず1つめは、室町時代に宮中で使えていた女性たちが使っていたというもの。これは女房詞と呼ばれ、「~する」の尊敬語で「~なさいます、~されます」という意味で使われていました。

続いて2つめは、西南戦争のときに他の件から熊本に集まった士族たちが別れの際に「御免阿蘇馳せ参じ奉る(意味:悪いが、阿蘇へ急いでいくんだ)」とあいさつしたというもの。

「ごめんあそばせ」の ”あそばせ” ってなに?ルーツは歴史の意外なところにあった


この「御免阿蘇馳せ参じ奉る」が略され、「ごめんあそばせ」になったとする説です。士族たちは、自分たちの件から戦場となっている熊本へ向かう際に使ったと言われています。

■あそばせ言葉はほかにも

「ごめんあそばせ」のような言葉は、あそばせ言葉といいます。

ほかにも、「ごらんあそばせ」「お取りあそばせ」「お出かけあそばせ」「おかけあそばせ」などさまざまな言葉があります。

女性の言葉遣いであり、きわめて丁寧で上品な雰囲気を出す話し方となります。
明治、大正期の女性たちは自然に使っていたと言われています。

昭和初期頃まで使われ、その後次第に使われなくなっていきました。

いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも日本語や歴史の面白さに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。

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