Japaaan読者の皆さんこんにちは。ライターの小山桜子です。
前回は北方領土問題の歴史についてご紹介しました。

北方領土問題の歴史。ロシアの立場が国際的に揺らいでいる今だからこそ知っておう

なぜロシア連邦と日本はそれぞれ北方領土を手に入れたがっているのでしょうか。北方領土の価値について、今回はご紹介します。

「北方領土」の価値とは?ロシアの立場が国際的に揺らいでいる今...の画像はこちら >>


■豊富な資源

北方領土には、石油に換算しておよそ3億6千万トンと推定される石油や天然ガス、世界の年間産出量の半分近い量の生産が見込まれるレニウムなど手付かずの豊富な地下資源が眠っています。水産資源も決して無視できません。

私たち日本国民に馴染み深い魚、たとえばタラやカレイ、それだけでなくカニなどもたくさん獲れます。さらに川においては、サケやマスの産卵の場所にもなっており、それらを加味すると世界3大漁場の内の1つに上げられるほど水産資源が豊富なのです。

実際にロシアの天然資源・環境省によると、これら北方領土周辺の資源価値は2兆5000億ドルに上ると推計されています。

当然日本もロシアもこんなに豊かな地を簡単にあきらめる事はできません。これらの資源を巡る問題もまた北方領土の日本への返還を困難なものとしてしまっているのです。

■軍事的価値

また、地政学的または軍事的にもロシア連邦にとって北方領土は重要です。


宗谷海峡(ラペルーズ海峡)、根室海峡(クナシルスキー海峡)をふくめ、ロシアは旧ソ連時代にオホーツク海への出入り口をすべて監視下に置いており、事実上そこからアメリカ軍を締め出しています。

しかし国後・択捉両島を返還してしまえば、国後・択捉間の国後水道(エカチェリーナ海峡)の統括権を失い、オホーツク海にアメリカ海軍が自由に出入りできるようになります。

これがロシア連邦にとっては痛手になるのです。

国後水道は、ロシア海軍が太平洋に出る上で凍る事のない重要なルートで、これが米国の同盟国である日本の影響下に入るのがとにかく嫌なのです。

■国後島、択捉島におけるロシアによるミサイル配備

2016年11月22日、ロシア海軍太平洋艦隊機関紙『ヴォエバヤ・ヴァーフタ』は、択捉島に3K96 リドゥートに代わる対艦ミサイルP-800地上発射型「バスチオン」を配備したこと、および従来対艦ミサイル配備のなかった国後島にKh-35地対艦ミサイル型3K60バルの移送がなされたことを明らかにしました。

つまり日本の主張を無視し、既成事実を作ってしまっているのです。

彼らのこうした行為に日本はどう対応するべきなのか。ロシア連邦のウクライナ侵攻が国際社会から非難を浴びている今こそ、日本は真剣に考える必要があるのではないでしょうか。

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