自転車の俗称で「チャリンコ」というのがありますが、この名前の語源は何でしょう? いくつかの説があるようなので、ご紹介します。
もともと自転車をチャリンコと呼ぶようになったのは戦後のこと。
そんな「チャリンコ」という名称の由来については、大きく3つの説があります。
まず1つ目は、自転車のベルの音を由来とする説です。

自転車のベル
一般的なシティサイクルから子供用の自転車まで、日本の自転車にはベルが付属していることが多いです。
そのベルの「チャリンチャリン」という音から、チャリンコという呼び方になったというものです。
2つ目は韓国語を由来とする説です。
韓国語で自転車は「チャジョンゴ」と言います。また、韓国の済州島の方言では「チャルンケ」と呼ぶこともあるようです。
戦前に大阪に移住してきた済州島の出身者やその子孫がチャリンコと呼び、それが全国に広まったという説です。
■「子供のスリ」説
3つ目は子どものスリを意味するチャリンコやジャリンコという言葉を由来とする説です。『じゃりん子チエ』のジャリンコですね。
実は江戸時代から、チャリンコはスリを意味する俗語として使われていました。
終戦直後の時期、街にはスリや食い逃げをする子供が多くいました。このような子どもをチャリンコやヂャリンコ・ジャリンコと呼び、これがだんだんと自転車を意味するようになったというのです。

しかしこの説に関しては、自転車と子供のスリにどのような関係があるのかは不明です。
以上のことから確かな由来は明らかではありませんが、チャリンコが戦後の呼び方であることは確かなようです。
■自転車の名称はバリエーション豊か
ところで、「チャリンコ」が由来となった言葉にはママチャリがあります。
ママのチャリンコを略した言葉で、初めは婦人用のミニサイクルを表す言葉でした。
それがいつしか婦人用のシティサイクルを表す言葉になり、現在ではカゴや荷台が付いているようなシティサイクル全般に使われています。

そもそも、自転車という名称はどの時代から呼ばれているのでしょうか。
昔、自転車は一人車や自走車、西洋車とも呼ばれていました。自転車と呼ばれるようになったのは、1872年に自転車の製造と販売の許可に関する書類に、その名称が書かれていたのが始まりです。
また、その頃に書かれた錦絵にも自転車という名称が記されています。
他にも、自転車以外の呼び名としては、名古屋では自転車のことをケッタマシーンやケッタと呼びます。これは「蹴ったくる」という方言からきています。
自転車ほど呼び方にバリエーションのある乗り物は、あまり他にはありません。
日本の自転車保有台数は約6,900万台と言われ、およそ2人に一人が自転車を保有しています。生活に根付く最も身近な乗り物だからこそ、さまざまな視点から名前が付けられたのかも知れませんね。
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